これも割とお約束ですし
やってきたお店は、既に行列が消えていて、案外簡単に入ることが出来た。
「へぇ〜、結構しっかりとした武器扱ってんのな」
「そりゃそうだ。なんてったって俺の作だぜ?」
「ああー!!クレイだー!」
「久しぶりですね」
「作し「やめい」私達も忘れかけてた」
氷菓今凄く言ってはいけない事言おうとしてませんでしたか?
「中々に言ってくれるな。まぁお前らは自分で職人捕まえた様だし。俺の話はあんま聞かねぇか」
「順調なんですか?」
「まぁな、これでもベータテスターだぜ?そこいらの鍛冶師になんざ負けるかよ。それに、俺は自分で鍛冶ギルド作ったからな。リズのやつから聞いてないのか?」
「特には?」
迷宮攻略をして、市場暴落させてる原因になりかけてるって注意されまくってるくらいには、私もリズさんとはよく会いますけど、特には聞きませんでしたね。
「それにな。この後ちょいと依頼が入っててな、あっ!そうだ。なあライム、何か素材持て余してないか?それなりにいい素材なら、特別に色付けて買わせてくれ」
「仕入先とかはないんですか?」
「この後リズが来るんだが、お前がいるなら丁度いい。リズもお前なら納得してくれんだろ」
それは褒めてるんですか?まぁ、ここで断る理由もないし、今手持ちの素材でも、そこそこいい素材持ってますね。
「因みに予算は?」
「そうだな……ライムは普段、ふっかけても平気で売るし、それでもとんでもない額の素材を持ってくるってリズが言ってたしなぁ。だからって装備も困ってはないんだろ?」
「そうですね。私は鎧は来ませんし、武器だってこの通りスキルで作ったもので十分すぎます」
「うーん……そうなると中々俺が渡せるものってのはなぁ」
「別にお金でも大丈夫ですよ?」
「ならそうさせてもらうか」
と言うわけで今回はお金で買い取ってもらいました。
「よし。これなら問題なさそうだな」
「イベントのためでも、自分を倒すための武器の素材を売るのは複雑ですね」
「いやいや、お前ら倒せなかったら話が進まねえから」
「まあ、そのために俺らもステータス下げてるんだけどな」
「そんだけはっきり言われると逆にどんなもんか気になるくらいだよ」
そう言えばいつからか、ステータスを下げたまま確認していなかったっけ。
なんか色々と貰ってるし、変わったスキルとかもあるかもしれないから、このイベントが終わった後で確認してみよう。
そんなことを考えてると、入口が開く音と一緒に、リズさんが入ってきた。
それと……。
「まったく、久々に会って嬉しいのは分かるけど、あんまり親密な交友はダメよ」
「分かってるよ。だけどイベントに会えるとは思ってなかったんだし、少しくらいいいだろ?」
「彼等がいなければね」
「ん?」
それで気がついたようにリズさんの後ろを確認したクレイさんは、やらかしたかといった顔を手で覆った。
「おや?魔王の部下がお揃いでどうしたのかな」
「軽く観光ですよ」
「それだけ?」
「まさか、勇者の偵察とでも?」
「考えない訳では無いよ」
まさかの遭遇で、明らかに険悪なムードを作ってますね。
まあ、今回は皆が役を演じるためにあえてやってるけど、こっちのことを知らない勇者らしき人はめっちゃ慌ててますね。
「はいはいそこまで。ここで戦闘は禁止よ。それに今はライムちゃん達も観光してるみたいだし、尚更争いはダメよ。それもこんな街中で」
「分かっているさリズ」
「あの、そっちの人達は?」
「それじゃあ自己紹介でもしましょうか」
最初は私達の方から紹介をして、次に勇者組がそれぞれ軽い自己紹介をしていく。
「それにしても随分な気合いの入りようだね」
「折角ですからね。少し頑張って作ったんですよ」
作った服を褒めてもらえるのは嬉しいことです。
こんな状況じゃなければ余ってる分を渡すんですけどね。物が物なのでそうもいかないんですよね。
「そういや勇者の武器は確定として、お前らはどうするんだ?」
「私はこいつがあるのでな」
「俺も、今の相棒が一番使い慣れてるので」
「そうか。じゃそこの勇者の武器でも作ってくるか」
そんなこんなで奥に消えてしまったクレイさん。
「さてと、ここであったのも何かの縁だ。少し手合わせしてもらっていいかな」
「それ俺はに利点あります?」
「これでも私は勇者の仲間だが?」
いやいや、それならこっちは魔王側の幹部なんですよ。
そんな感じで話してたんだけど。
「ん?」
「これは……」
「どうしたんだ?」
私と氷菓が揃って渋い顔をしたのにいち早く気付いたトムが聞いてきた。
「私達には同僚で、そっちの勇者組のお客さん」
「は?」
「つまり魔族の襲撃ですよ」




