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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
93/111

お忍び旅行?

 さて、旅行の前日なんだけど……。


「ムギはお母さんと一緒にお散歩したい」

「あ、アズキも……一緒に……」

「僕もお母さんと寝る~」

「アメは寝たいだけでしょ」

「シズクだってー悪戯ばっかだもん」

「むぅ~」

「イチゴがお母さんの事を案内するわ」

「でもイチゴは地図読めない」

「はぅ……」

「だからツキミが代わりに地図を読む」

「ツキミ~」

「皆揃ってだらしないわね。私はお母さんに美味しいものを作ってあげるの」


 うちの子達が今日も天使です。あまりの尊さに、この通り語彙力なんてその辺にポイ捨てしてきました。

 寝るまで見守っていると、お腹に少し重みを感じて視線を落とすと、コトネとココアがお顔をスリスリしながら甘えてきた。


「2人は相変わらず甘えん坊ですね」

「ココアはお母さん好き」

「コトネも好き」


 私も大好きです。その後はみんな混ざって川の字、ではなく全員が私に抱きついて来るから、ここぞと言う事で霊獣化を使って全員を尻尾で包む。

 暫くすると静かに寝息が聞こえてきて、私も直ぐに眠りについた。


 ゲーム内で朝を迎えるというのにも少し慣れてきて、全員を起こしたら私も身支度を始めないと。

 そこで何か暖かいことに気がついて、少し布団の中を覗き込むと、ココアの寝顔が出てきた。


「もしかしてずっとここで寝てたの?」


 この日初めて、自分の娘のステルス能力に驚いたかも。


「まあ、私の娘なんです。これくらいは許容範囲です」


 布団に埋もれてるココアや、尻尾にしがみついて寝ているムギ達の頬っぺたに、軽くキスをしてから腕輪に戻す。


 この腕輪には小空間があって、その空間は普通の環境として使えるってことだから、好きに家を建てたり、お庭を作ったり、色々といじってみた。


 結構頑張って作り込んだ結果皆喜んでくれて安心した。

 それにベットだって拘り抜いたから、あの様子なら起きてももう少し先だと思う。


 霊獣化のスキルを解除して元に戻ったら、そのまま必要そうな物は片っ端からアイテムボックスに突っ込んでいざ出発。


 途中で氷菓に会ったけど、何故か行き先を聞いて着いてくることになって、それならと全員誘ったら、ラムネとフィロはやる事があるみたいで、書類の山の隙間から見送ってくれた。


「楽しみだな〜。木刀とかあったら買おうよ!」

「必要か?てかそれならテルにでも作ってもらえよ」

「分かってないなトムは~。こう言うのは現地で買うから良いんだよ」

「悪かったな。つうかお前は木刀握れるのかよ」

「大丈夫だ!直ぐに私専用になるくらい馴染むし」

「いやそれ絶対力強過ぎて持ち手部分凹んでるだろ!」

「煩いなぁ。運転中何だから静かにして」

「すまん」

「ぷぷぷ♪怒られてやんの~」

「ビルドも」

「すんません……」


 今私達は、氷菓が運転してるらしい空飛ぶ絨毯で共和国まで向かっている最中です。

 今乗ってる絨毯は、氷菓が付与を魔法みたいに魔改造する練習で、偶然できてしまった副産物の一つみたいで、幾つか便利そうなのは一応残してあるんだとか。


「これは後で自動操縦機能も付け足しかな」

「後は風の抵抗も何とかして」


 今は私が魔魂装をガラスみたいに透過して、正面を見えるようにして風を避けながら進んでる状況で、ゲームを初めてからずっと使ってて慣れてるけど、それと面倒かって言うのは別なんですよ。


「そろそろ降りる」

「やっぱ狭いよな〜このマップ」

「それは仕方ない。けどそのおかげでこうして直ぐ旅行にも行けるんだし」


 私もこの位の広さのマップでいいと思う、と言うかこのイベント自体が時間加速付きでゲーム内2週間、現実時間はたったの6時間、このゲームの運営は本当に人間なのか疑いたくなりますね。


「宿は皆同じで良いの?」

「俺は構わないぞ」

「私もー!」

「どっちでも」


 なら折角だし、和室の旅館にでも泊まろう。

 和室は好きです。おじいちゃんの旅館を思い出します。


 丁度イベント掲示板で人気の旅館があったはずです。


「あ、折角です。皆で着物でも来ますか。一応変装と言うことで」

「動き安いのがいいな~」

「そう言うとは思ったから、一応そこはアレンジしてます」


 早速宿屋で部屋をとって全員一斉にお披露目。


「なあライム……これって和服ってか隊服なんじゃ……」

「ベースは確り和服ですよ。それとも草履とか履きますか?」

「いや、これで大丈夫……」

「後は確り羽織来て」

「これで私も死○だー!」

「いや似てるけど言うなよ!?」


 トムは松竹梅の羽織、ビルドは麻の葉の羽織、氷菓は花丸紋の羽織、私は熨斗目の羽織です。


「これって何か意味あんのか?」

「羽織ですか?」

「ああ」

「そうですね。例えばトムは忍耐力の意味で選びました」

「じゃあ私は?」

「ビルドは確か魔除けとか厄除けだったかな」

「いや真っ黒の布に赤って、これどっちかってっと魔寄せだろ」

「かっこいいから問題ない!」


 まあ、ビルドの好みに合わせたらそりゃあそうもなりますよ。


「氷菓は一応魔法関連で無限の発展って意味を載せてみました」

「なるほど、でもできるなら黄色い羽織で良かったのに」

「流石に無地の羽織はちょっと……」

「そんでライムのは?」

「私のは沢山の祝福みたいな感じです」


 冗談じゃなくて本当に沢山の祝福を貰いましたし。


「あ〜、そう言えば子沢山だもんグェッ!?ちょっ、おま……」

「今のはトムが悪い」

「そうだぞー、トムはデリカシー無さすぎるぞー」

「そこまで言うか……?」

「そんな事よりも、早くこの街を見て回りましょう。夜道も良さそうですけど、朝だってこんなにも活気があるんですから」


 という訳でトムはビルドが引きずって連れて行くことに、旅館を出るまでには復活してちゃんと付いてきてる。


「そんで、どっから回る?」

「木刀は!?」

「それは後にしろ」

「ちぇ~」


 膨れるビルドを見て、氷菓が魔力で刃を作る魔剣をビルドに渡してた。

 しかも予想してたのかフォルムは刀そのもので、刃を作る魔力をビルドから送られてるからか、凄く禍々しい赤黒いと言うか、紫と言うか、全体的に禍々しい妖刀が出てきた。


「おおー!○装色の○気!!」

「おいコラァ!?それ以上はやめい!」

「まあまあ、全員分あるし、この際皆で斬○刀でも差して行こうか」

「いやお前も危ねぇな!?」


 何だかんだ言いつつも全員が氷菓から刀を貰って一度抜いてみる。


「ええ……」

「何か薄らと赤い?それと」

「なんで両刃?」

「なんで相手どころか自分にも刃先向いてんだよこの刀!」

「なるほど、トムのドMの性格が刀に……」

「仮にそうなら何で刃が若干赤らんでんだよ!?絶てぇに違うからな!?」


 なるほど、確かにそれなら納得ですね。

 それじゃあ私も。


「これは」

「何かすげーカラフルだな」


 出てきたのは、背中が真白で刃に近づくに連れて綺麗な桜色になってて、後見えずらいけど、刃の本当に外側の方黄色?だと思うけど細く縁どりされてるみたいになってて、重さを減らすために削られた溝を見ると、中はうちに行くにつれて白から桃、最後に黄色?だと思うけどそんな感じの三層になってた。


「ライムの場合は、多分加護影響でまだ少し纏まりが無いんだと思うよ」

「なるほど、まぁ黄色の縁は兎も角、これはこれで好みですし構いませんよ」

「因みに私はこんなふうに星空見たくなってる。まあ流す属性帰ればこれも変わるけど、面倒だからこのままかな」


「おい、何だあの刀……」

「すげー、この街で売ってるのかな……」

「てかあの装備カッケー」


 なるべく人目の無さそうな場所に入りはしたけど、それでもだいぶ目立っていたみたいで、気がつくと結構人目を引いてたから、急遽個室のある茶屋に逃げ込む事に。


「やっぱ物珍しいとすぐ目をつけられるな」

「こっちは楽しくてやってるけど、コレを作るだけのゲームなんてごめんだよ」


 それには一理あります。

 私も服を作るだけのゲームはちょっとどうかな……。


「お母さん。私もお団子食べたい」

「ツキミ、もう皆起きてるの?」

「うん。デモ皆で出てくると狭いからじゃんけんしたの」

「そうですか。それじゃあ皆は何か食べたいか聞いてる?」

「大丈夫」

「流石ツキミです」


 それから注文を入れると、沢山のお団子やお菓子が運ばれてきた。


「お前ら甘いもんから食うのかよ」

「硬いな~トムは」

「私も一応うどんは頼んでますよ」

「私も、蕎麦を待ってる」

「じゃあ誰だよ……」


 そう言ってトムが少し視線を下げると、そこには私の膝に座って少し大きいお団子を、小さく分けて食べてるツキミがいた。


「ん?」

「ツキミ、口元汚れてる」

「お前本当に俺らと同い年か?」

「ライムは少し面倒見がいいだけだぞ?」


 少しって……。


「にしても可愛いもんだな」

「「「え?そう言う趣味?」」」

「違ぇよ!?なんでお前らはいつもそうなるんだよ!」


 例えどんな財宝やお金の山を積まれても、うちの娘達はお嫁に渡しませんよ。


「いや誤解だ!そんな目で俺を見るな」

「変態さん?」

「ウグッ!?」

「「ぷッ!?」」


 ツキミ……今のはいいダメージが入りましたね。


「それよりほかにも見に行こうぜ」

「あ、話逸らした」


 だけどその意見にも一理ありますし、早めにお会計を済ませて移動することに。


「それで、次はどこ行く?」

「それならさっき行列が出来てた店があったから行ってみようよ!」

「ならそれで決まりだな」


 さっきの行列って、結構並んでたみたいだけど入れるかな。

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