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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
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優しさの裏返し

 帝都に訪れた俺達は、早速帝国の皇帝の前に呼び出された。


「ふむ……お前が勇者か……少々期待外れだな」


 いやハマり役にも程があるだろ。なんなのこの人めっちゃ傲慢なんだけど、客の前なのに国の貴族とか居ねぇし、騎士なんて敬礼じゃなくて膝ついてるし、どんな政治体制してんだよこの国は。


「ハズキ皇帝、彼はまだこの世界に来たばかりなのです」

「だから仕方ないとでも?」

「ここまでも幾度か戦闘はありましたが、筋はいいですよ」

「ならば少し試してやるか。レーゼ」

「ハッ!」

「そこの勇者と戦え」

「分かりました」


 いや無理でしょ、レーゼだっけ?あの人絶対にガチの人じゃん、見ただけでわかる装備品の異常さよ。


 しかし問答無用で訓練場に移動することに。


 するとさっきのレーゼさんと途中から一緒に行くことに。


「随分と大変そうだね」

「あの人は別格だよ。それこそあいつらみたくな」

「まあ戦闘に関してはハズキさんの方がベテランのはずなんだけどね」

「あの、2人は知り合いなんですか?」


 結構仲が良さそうに話してるのを見て、つい質問してみたけどどうなんだろう。


「一応リアルの知り合いかな」

「だな。それとこの後の試合だが、折角だから出来るだけ全力で戦おう。死ぬ気で捌け、あの人が味方に入れば、今後の戦いはより有利になる。まずは自分の実力を示せ」

「分かりました……」


 このイベントで色んな人と話す機会はあったけど、この人は結構分かりやすい、と言うか全力でって言いつつも、こっちの事考えて言ってくれてるわけだし、レーゼさんは結構親切な人なんだろう。


 訓練場では、さっきのハズキさんや、その他にも数人が上の席にいるみたいで、完全に闘技場だなこれは。


「それでは始めてもらおうか」

「それじゃ、審判は僕がやらせてもらうよ」


 フロストさんの掛け声を合図に、レーゼさんが一瞬で目の前まで接近してきた。


「いくぞ勇者」

「ちょっ!?」


 いきなり攻撃はキツすぎる。


「反応が遅いぞ。もっと素早く剣を振れ、攻めに出ようとは思うな。防御に徹して隙を窺え」

「くっ、簡単に言ってくれますね」


 正直驚いたとかそんな次元の話じゃない、こんな人間離れした連中しかいないのかよ上位勢は。


 そうして暫く攻撃を受けている中で、レーゼさんがある一定の感覚で攻めていることに気付いて、一つ賭けに出てみることにした。


「ここだ!」


 確実に躱せる剣の軌道を読んで、俺はここぞとレーゼさんの懐に潜り込み、今出せる最速の剣を振り抜いて、命中するかというタイミングで、首に強い衝撃を受けた。


「そこまで!」


 フロストさんが終了の合図を出した後、起き上がってレーゼさんにどうやったのか聞いてみると。


「柄の部分で首を殴りつけただけだ。途中から俺が一定の間隔で攻撃していたのに気が付いたんだろう」

「そうですけど、あれって最初から試すつもりでやってましたね」

「まぁな。あんな事を実戦でやってたら、相手に攻めてくれと言ってるようなものだ。こんなのが通用するのは初心者までた」

「俺はまだまだ初心者ですか……」


 だけどそうだよな。今考えてみても、アレは流石に分かりやすかったし、それにまんまと引っかかったのも俺なわけで……。


「だが、俺の剣を躱してのカウンターは良かったと思うぞ」


 その評価は素直に嬉しかった。

 手も足も出なかった中で、確りと評価されている事を知って、俺は無性に嬉しくなった。


「浸っている所悪いが、話を進めようか」


 するといつの間にか、俺の後ろにたっていたハズキさんがいた。


「それで、彼はどうですか?」

「評価は変わらん。だが持っているものがあるのも確かだろう。レーゼ」

「はい」

「帝国は暫く預ける。私が直接共をしよう」

「はっ!」


 て事はこれでクリアって事か?

 確認のためにフロストさんに視線を向けると、アイドルみたいな見事なウインクを返された。


 イケメンは何やっても似合うとかそう言うのは置いといて、やったぜ。

 これで新しく戦力確保が出来た。


「それでフロスト殿、この後の旅先は?」

「一応、魔族領に隣接している夜の国ハインドまでに、共和国カラクリに向かって、装備の強化をしたいと考えています」

「そうか。確か共和国には鍛冶師で有名なクレイ殿がいたな」

「ええ、彼ならばきっと、今後激しくなっていく戦いにも遅れをとらない程の名剣を造りだしてくれると思います」


 何だかよく分からんけど、凄腕の鍛冶師がいるのは分かった。

 それと俺の装備も強化できたりするのかな、今から楽しみでしょうがない。



(ここは魔族領のとある領地)


 これははたしてお茶会なんですか?

 用意しておいて言うのもあれだけど、お茶会なんてお洒落な空間には見えませんね。


 と言うのも、フェルエラさんの屋敷の庭にテーブルとお菓子を載せたところまではいいんですけど、問題はそのお菓子の量で、完全にスイーツバイキングになってしまいましたね。


「これがもし現実だったなら、近所のケーキ屋は大打撃ね」

「そう思ったので追加戦力を用意しました」

「追加?」


 すると丁度庭に案内されて来た私のギルドメンバーが向かって来た。


「ライムちゃん、呼んでくれてありがとう」

「糖分の補給は大事。ゲーム内でもそれは一緒」

「なあライム、シュークリームあるか?」

「あっちにある」

「ショートケーキ……」

「エルサ涎が出てるよ」

「ハッ!?」


 ふむふむ、エルサはショートケーキが好きなんですね。

 一応覚えておきながら、私もチーズケーキをお皿に取り分ける。


「ライムはチーズケーキが好きなのだな」

「私は初めからショートケーキとかは重たいので、徐々にペースをあげるのには丁度いいです」

「もしかして全部食べるのか?」

「折角のこの体ですから。と言うかフェルエラさんはもう3分の1は制覇してますよね」

「そ、そうだな。どれもとても美味しかったよ」

「それは良かったです」


 その日のお茶会は、完全にスイーツバイキングとなってしまったけど、堅苦しくない気ままな一時、魔王様にもいいガス抜きになった筈です。


 それに数日後には、魔王様から休暇を貰って少し遠出しますか、分身がいるって言っても、私だって休暇は欲しい、今までは情報云々であちこち回ったけど、せめてその日だけは気の向くままに旅行を楽しみたいです。


 早速旅行先の事を頭の中で纏めながら、そのまま私達の領地まで転移して戻って来た。

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