オイどうすんだよこの空気
「お茶会?」
「ええ、魔王様も暫くは暇をしているでしょう。ですから私達の屋敷でお茶会でもと」
回ってくる書類に朝から判子を押していた魔王様に、流石に暇をしているだろうとお茶会に誘っているのは、魔王四天王第二席のギルド戦乙女の茶会でギルドマスターをしているフェルエラさん。
この人のギルドは所謂男子禁制の女性史上ギルドで、正しく戦乙女。戦闘面でも結構強くて、多方面のプレイヤー達から人気が高いギルド。
この前運営が、ゲームのイメージとしてギルドを取材する活動に、真っ先に取材を受けてたんだとか、実際にゲームの知名度も上がったし、うちもそのうち取材来るかもとか、他のギルメンはかなり楽しみにしてたのを覚えてる。
うちが取材を受けるかはラムネ次第として、お茶会に誘われた魔王様は。
「う〜ん……お茶会って何するの?」
「普通にお話をするだけですよ。そこにお茶とお菓子を合わせたりとか」
「お菓子かぁ〜」
因みに私は案の定、分身を使って色々と回っていて、魔王様、ミュアの給仕も一応やってはいる、と言うかやらされました。
誰にって、今回はミュアが駄々を捏ねて、ラムネが立場的なことを考えて魔王に対してあまり強く行けなくて、最終的に折れた結果、こうして分身体が今も給仕に当たってるんです。
「それならライムさん、お茶会の日のお菓子をお願い出来ますか?」
「え?」
いきなり何を言ってるのかなこの人は……
だけど、それに反応する子が今いるのも事実で。
「ライムが作るのか?」
「………」
いつも何万、何億って分身を使いまくってるからって、こうも多方面に使われてると、流石に管理も面倒になるんだけど、断る訳にもいかないし。
「分かりましたよ。フェルエラさんも人を引き合いに出さないでください」
「それに関してはごめんなさい。でもミュアちゃんがここ最近はずっと机で判子を推してるって聞いたから」
それは分かるんですけど、それでも私の人権は気にしてくださいよ。
確かにミュアの年齢で、こんな機械的な作業を延々とやって、精神的にどうなのかって思ったけど、そこは大抵本人のギルドメンバーの大人達が手伝いに来てくれるから、本人はそこまで辛くは感じてないと思いますよ。
こうして今度、戦乙女の茶会の本拠地、魔王城二つ手前の防衛都市、フェルエラさんの治める街でのお茶会が決まった。
(その頃の勇者サイド)
街を出てそれなりにたって、今は小さな村を見つけてそこに滞在している。
「フロストさん、帝国までって後どのくらいですか?」
「ん〜、実を言うともう2日後には帝都についてると思うんだよね」
「え?そんなに早いんですか」
「どうしても聞きたいなら話すけど、コレは理由がメタ過ぎるから、聞かない事をオススメするよ?」
一度気になってしまうとどうしても聞きたくはなってしまうが人ってもんでさ、ここで聞かなくてどうするんだって、半ばヤケになって聞いたのがいけなかった。
「………」
「ははは……」
まさか、エリア範囲の問題で国との間を近付けなきゃいけなかっただけだなんて……。
そんな……そんな……。
「まあ、冒険は直ぐに終わるけど、その分色んなプレイヤーの色が見えるから、なかなか飽きもこないさ」
「まぁ、今はそういう事にしときます」
そして何も無いまま、俺たちは帝国の王都に足を踏み入れた。




