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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
86/111

ここから始まる魔境伝説?

 私と氷菓が魔道王国に行っている間に、当然だけど皆も各々の行動をしていたのだろう。

 そんな中私達、と言っても何時ものメンバーの中で今揃ってる人だけだけど、全員がミューに呼ばれて集まっていた。


「それじゃあ皆!僕の呼び掛けに集まってくれてありがとう!」

「それでどうしたんだ?ミューから全員を読んでくれってのは初めてだな」

「それがね……ふふふ、遂に発見されたんだよ!」


 鍛冶に関しては人一倍自分の志を大事にするミューが、ここまで夢中になって話ながってるって言は、それだけ凄い武器がこのゲーム内で見つかったのかな。


「神の器と書いて武器の中の武器!皆も何処かで一度は耳に入った事があるであろうあの神器!それを所持している人が居たって情報が上がってきたんだよ!」

「分かったから一旦落ち着け、それでどうするってんだ?」

「勿論話が聞けるならそれに超したことは無いんだけどね。ちょっとその人のギルドは行きずらくてさ」


 何となく言いたい事は分かったけど、それは私達でも無理かなぁ。


「要は俺らの誰かが隣にいて欲しいってことだろ?」

「まぁそれもそうなんだけどね」


 まぁ、難しいとは言っても、気になる事には変わりはないから、少し話を聞いてみる。


 まず話題に上がってきたその人物のギルドは、神聖国に巨大な大聖堂を作ってしまうような程の大規模なギルドらしい。

 そこでギルドマスターをしている、司教の男プレイヤーが、今回の神器騒動の元凶みたい。

 けど実際のところ、その武器が本当に神器なのかと聞くと、名前だけが載せてある武器のステータス画面を撮ったのだろう画像が送られてきた。


「確かに書いてあるな」

「でしょ!?さっすがトム〜何時も皆のことを観察してる変態なだけあってナイスな着眼点!しかも武器の名前じゃ無くて、カテゴリーを示す部分に神器と書いてあるって事は本物なんだよ!」

「いや待て誰が変態だ!」


 自分の渡した証拠に、皆が口を揃えて認めているのを見て、今日一番の興奮具合ですね。それとトムが変態なのは仕方ない。


「まぁトムの変態疑惑は置いといて」

「置いとくなよ!?」

「ミューは別に、行けなかったとしても問題は無いんだろ?」

「さっすがギルマス、話が早くて助かるよ」


 そっか。さっき着いてきてもらうのが目的なのかって聞いた時に、ミューはそれを肯定しては居なかったけど、否定もしては居なかった。

 要は行ければいきたいけど、行けなくても何も問題は無い。

 そこでミューが何を求めてるか、そうなると。


「制作に必要な素材って事ですか……」

「そうだよライムちゃん。と言うわけでこの前の……」


 何が言いたいのかは分かったけど、それならもう少し待ってもらいたい。

 実は色々と貰ったものだったり拾ったものだったたりと、今良さそうな物を厳選しているところ。もっと何か、何処かにある、そんな気もするし。

 それを伝えると、ミューは、案外あっさり引いてくれた。


「まぁ、依頼人の期待を大きく超えて、その度肝を抜くのが僕の数少ない楽しみなんでね〜」

「いい趣味してますね」

「まあね〜。だけどそうなるとどうしようか………」


 宛が外れたって感じで唸りながら悩んでいると、ラムネが仕方なさそうに手を挙げた。


「それなら俺の刀作ってくれるか?」

「え、いいけど。それは普通に頼んでくれれば何時でも」

「神器、作ってもらおうかってことだ」

「ッ!?」


 ラムネのその言葉には、ミューだけじゃなくて、この場にいる全員が驚かされた。


「ギルマス、それってつまり」

「ああ、素材ならあるぞ」


 そう言ってラムネが取り出した物は……。


「それって……」

「あぁ。ようやく、あいつとの約束が守れる」


 それはあのイベントで、私達に協力してくれた光の最上位龍、シルヴィの龍核と融合していた記録結晶が一つのアイテムになった物。

 それと、もう片方はよく分からない謎の黒い塊。


「ねぇラムネ、これなに?」

「あぁ……そっちはまぁ、なんだ、拾いもんとでも思ってくれ。ただ質は保証する」

「いや、見れば分かるからそれはいいけど、これはまたとんでもない化け物だね……」


 するとまた暫く悩み出すミューを見て、まだ何か足りていないのかと思ったけど、問題は自分の方だったらしい。


「いや〜まさかこんな化け物が飛び出すとは思わなくってさ。でもそうだよね、それなら僕も、自分の相棒を作るとしようかな」


 どうやら今使っているのは鍛冶ギルドに売られている物らしくて、だけど最近はその仕事道具にも限界を感じていたとかで、新しく自分で作ってしまおうか、悩んでいた所に今回の神器騒動と言うわけ。


「と、言うわけでギデさん!一番いいの!」

「へっ、そう言うと思ってなぁ。あっためて置いたぜ?」


 ミューの注文に、待ってましたと言わんばかりに笑顔をうかべるギデさんと、何故か得意気な顔をしているビルド、多分一緒に取りに行ってたんだろうね。


「こいつをなぁ!」


 そう言って取り出したのはなんてことの無い金?みたいな鉱石だけどこれって。


「オリハルコンだーーー!?」

「「……はあぁぁぁ!?」」


 ミューが真っ先に反応して、今も現在進行形で声にもならないような奇声を上げている。

 私も声は出してなくとも驚いてる。

 なんと言ってもオリハルコン、どんなゲームにおいても、エンドコンテンツに分類されるであろうその鉱石を、なんの躊躇もなく取り出したのだ。


「これ……使っていいの?」

「いや、使ってもらえなきゃ取りに行く意味無いだろ」


 ギデさんの言うこともご最も、折角取ってきたのに、勿体なくて使えませんなんて言われたら、それこそ取ってきた意味が無い。

 何かしらの記念にときではなくて、こうして使ってくれと自分で申し出ている事だし、今回は有難く使わせてもらえばいい。


「分かったよ、ギデがそこまで言うならそうする。だけどこれを使う以上、これから作る武器は当然だけど、何処の武器にも負けない一級品を量産するしかないよね」


 何だかんだで、こんな風に何か企んでますって顔でミューが笑うのは初めてかな?


 今回集まったのは神器の事だけで、その後は普通に解散、私もあと少しの素材探し、頑張りますか。



 数日すれば、ミューは新しいオリハルコンのハンマーを片手に、自分の戦場で戦っていた。


 適当に作業の合間の風景を聞くと、殆どが愚痴だった。

 例えば「初めさぁ、どんなに焼いても叩いても、全く形が変わらなくてさぁ〜有り得ないんだけど!?って思ったよ」とか、制作工程で実は幾つか駄目にしていて、ギデさんに何度も頭を下げていたとか。


 最終的にどうやって加工したのかって聞くと、どうやら氷菓に協力をお願いしたみたいで、天井知らずの火力でゴリ押したとか、だけどその甲斐あって、魔力を使った加工ならば、形を変えられるって分かったみたいで、それからは自分の完璧な相棒が出来るまでひたすら加工と再利用の繰り返しで、結局100本近くを打ち上げたんだとか。


 そして今日は、遂に来たのですよ、私の厳選しまくった素材達が日の目を浴びる日が、と言うか実際に火の目には当たる、何なら入れられます、物理的に。

 それは兎も角私はミューのいる工房の一番奥その扉を勢い良く開け放つ。


「ミュー、来たよ……」


「痴れ者が!?」

「痛ッ……」


 え?


「不倫現場?」

「何処がだよ!?」


 まるで魂が抜けたように椅子にもたれて、さらに口からは謎の白いモヤが途切れること無く立ち上って、それはもう一昔の白黒ドットゲームを連想させるレベルで燃え尽きてるミューと。

 そのミューの作業机の前に立つ少女?と、その子に変態扱いされてぶっ叩かれてるラムネ、と言うかラムネのこんな格好は珍しいですね。

 スクショ……。


「撮ったら斬る」

「なんのことだか〜……」

「はぁ……悪かったな」

「一体何なのじゃ!そこの者が使い手と言うから期待しておれば、ただのケダモノではないか!?」

「だからちげーよ!?」


 ああ、本当に、本当に心から残念に思います。ラムネのこんなところをもし残して置けたら、後で皆で鑑賞も良かったですね。

 まぁ、それはそれ。お巫山戯も度が過ぎると本当に怒られるからね。それにしてもシルヴィによく似……。


「シルヴィ?」

「違うぞ、私はまだ名も無き神器じゃ」


 ああ、成程ね。何となく状況が分かったかも。

 このままだとラムネの誤解、はどうでもいいけど、このままじゃ話すら進まない。

 なので今この場で動ける私から、目の前のシルヴィに似た神器さんに、これまでの事を軽く説明した。


「成程……私を作り出したこの心臓は、元々はお主の仲間だったというわけか」

「そう、ラムネが何をしたのかは知らないけど。あなたのその姿の元の持ち主は、ラムネにとってそれだけ大事な仲間だったってこと。それにラムネはフィロ一筋」

「あくまで仲間としてな」


 どうだかねぇ。私達でもそうだけど、相手がフィロになると凄い過保護になるから説得力が全くない。


「まぁ、今回だけは許してやる。だからさっさと私に名前を付けろ。先に言っておくが、別の名前だぞ!」

「分かってる。今回つける名前はもう決めてる」


 ラムネにしては珍しいですね。まぁもしかしたら、シルヴィの元の能力から、出来上がる神器の能力に関してはある程度予想をつけていたのかも。


「名は、天照だ」

「何でそこから?」

「こいつの能力見てたら、字面的にもこれがしっくり来たもんだからか?」


 いや質問に疑問で返さないで下さいよ。


「天照か……良いな。私はこれから天照だ!精々私の力に振り回されるなよ?」

「大丈夫だよ。確りと使いこなしてやる」


 おおー、いいですねこう言うの。

 私も自分の()()()こんな風に良好な関係を築きたいものです。


 さて、私も依頼をと思っていると、ミューがようやく気が付いた。


「いやぁ本当にびっくりしたよ。武器がいきなり女の子になっちゃうんだから」

「驚かせてすまなかった」

「いいよいいよ〜、無事に契約も済んだみたいだし」

「契約?」


 そう言えば私もラムネも、と言うかこのギルドの皆、ミュー以外は神器に対して全くなんの知識も持ってないと思って、頼む前に色々と聞いてみることにした。

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