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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
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神様も意外と自由

 お城の一室から、どこか分からない部屋に転移させられたんだろうけど。

 幾ら周りの状況を探ろうとしても探知が発動しない。


「ああごめんね。そんなに警戒はしなくても大丈夫だから」


 そう言ってこっちに手を振る、銀髪蒼眼の男の子?外見だけなら私と変わらないくらいの子が、どういう訳が手招きして座っている。


「立ち話は流石に申し訳ないからね。座ってくれると助かるよ」

「そうですか」


 このまま居ても話は進まなそうなので仕方なくではあるけど、私はその子とは反対の椅子に腰を下ろす。


「急な呼び出しで失礼したね」

「そもそもあなたは誰ですか?」


 悪気があっての事じゃないみたいだし、謝罪に関しては別にいいけど。そもそも私は目の前の子と会ったのは今が初めて、だからまず聞くべきは誰なのかって事だけど。

 するとしまったと言ったふうに頭を手で抑える仕草をしてから、何時から置いてあったのか分からない紅茶を一口飲んでから口を開いた。


「僕は君達の言う所の神様さ。名前は特にないから、まぁシンとでも呼んでくれ」


 いやいやいや、いきなり神様って……この子は一体何を言っているんですか?


「その気持ちも分かるけど、僕は正真正銘神様さ」

「……」


 さらっと人の心を読むのはやめてもらえますか?


「君がそうして欲しいなら今後は控えるよ」

「やめるつもりは無いんですね」

「まあまあ、それでだけどね」


 無理やり話を逸らしましたね。


「まずは賞賛の言葉を贈ろうか、そしてありがとう、君には感謝しているんだよ」


 私に感謝?特に何かをしてあげた記憶も無ければ会うのだってこれが初めてなんだけど。


「簡単に説明するとね。君は僕の眷族に選ばれたのです」

「眷族?」


 眷属とは、この星に存在している本物の神という存在達が、自分の力を託し、それを使ってもらう役のことを言うらしい。

 だけどどうして使ってもらう為だけに、人間に力を渡すのか疑問に思ったから聞くと。


「それは簡単な事さ、僕ら神って存在は、そもそもが概念だからさ。誰かが言わなきゃ存在しなかった。誰かが見つけなければそこには居なかった。そんな存在さ」


 なるほど、自分の存在を安定させるために私にスキルを使って欲しいと、そう理解して少しは見直したのだが……。


「まぁ、実際のところ、僕は時間というこの世界には切っても着れない存在だから、君に僕の力をたくすのは、僕もやってみたかったからってだけなんだぁ〜」


 ほぉう、なるほど面白半分で呼ばれたんですね私……。


「ああ!?でも悪気はないんだよ、それに僕の力は強力なものだと自負している。きっと君の力になると薬草するさ」

「ふん……」


 まぁ、貰えると言うならそれは貰うけど、正直あまり公に使うつもりは今の所は無いかな?


 そんな事を考えて居ると、目の前の神様改めてシンは、さっきの話に出てきた眷族とか言うのになるための準備を進めている。

 どこから取り出しているのか、神様って言うのは皆アイテムボックス的なものを持ってるのか、リアルで欲しい能力だけに羨ましいな。


 目の前の作業をゆっくりと眺めながら、もう一口紅茶を頂こうと手を伸ばすと、この部屋に入るための物だろう扉が勢いよく開けられた。


「ちょっとシン!?あんた私のお気に入りを何横取りしてんのよ!?」

「あれ?どうしたのミーア?」

「どうしたの?じゃないわよ!その子は私が最初に眷族にしたかったのに!なんであんたが呼び出してるのよ!?」


 入って来たのは金髪ツインテールにすごく綺麗な金色に輝く瞳の女の子?多分この子も神様だと思うけど。

 その神様、ミーアって呼ばれてる子に問い詰められている当の本人は。


「でもさ〜。ほかの神と違って、僕の眷族になれる素質持った子なんてもう数千年は産まれないよ〜」

「それでも最初は私がいいの!」


 このままだとずっと言い合いしそうだし、助け舟ってつもりじゃないけど、気になったことを聞いてみる。


「あの、そもそも眷族の契約って重複出来るんですか?」

「出来るぞ」

『え!?』


 今の私の状態がどう言ったものなのか、何となく分かるんだけど。そんなことよりもまずい。


『!』

「もう1つ。眷族にした順番は。特には関係ない。ただの個人的なわがままだ」

「ちょっとノイ何してんのよ!」

「ふむ。確かに。綺麗だ」

「話を聞きなさいよ!?」


 ノイと呼ばれた空色の長い髪を下ろした赤い瞳の男の人は、暫くの間観察するようにこっちを見下ろしたあと、空中に手放す様に軽く放ると、私は何時もの仮想の身体に戻っていた。


「………」

「ノイ、余りそういうのはやめてよね」

「分かっている」


 シンが本当にやめてほしそうな顔で注意すると、心配はないと顔に貼り付けて返事を返すノイ。


「てかあんたまで来るなんて」

「これは全員来ちゃうのかな?」

「ああ。廊下で2人会った。うちの上司も既に座っているぞ」


 そう言ってこっちを見てくるノイに、まさかと思ってその反対、私の座ってる長椅子に、いつの間にか女の人が座っていた。


「お邪魔していますよ」

「ラウムまで来ちゃったか〜」


 薄い桃色のボブヘアーに、左肩には三つ編みにされた後ろ髪をかけた、アメジストの様な瞳に和装の女性。ラウムは、シンに遅めの断りを入れて、ちゃっかり私の紅茶を飲んでいる。


「シン、折れてあげなさいよ。あなたは眷族を作ってみたいだけで、順番は気にしてないのでしょう?」

「はぁ、分かっよ。仕方ないから先は譲るよ」

「やった!それならライム、早速眷族の契約するわよ!」


 切り替えるのが早いですね。

 早速契約だと言って、目の前に用意された謎のオブジェクトを挟んで向かい合う私とミーア。


「ん?」

「どうしたの?」


 なんだろう、何かがこっちに向かって来る様な、探索系のスキルを使った時みたいな感覚だけど。

 片方は少し尖った様な、鋭い様な感覚がして、もう片方は平たくて、すごく硬い物に触れた様な、そんな錯覚を感じる様な気配がこっちに、向かってるんだと思うけど。


「おや」

「へぇー」

「………」

「あら」


 そんな何かの気配だと思うものを感じ取った私を見て、各々の神が何かあり気な反応を返してくる。


「因みにライムは今どんな感じ?」

「どんな?」


 聞かれた言葉に対して少し理解が追いつかなかったけど、すぐにこの気配感知みたいな感覚について言ってるんだと分かって、もう一度よく感じ取る。


 さっきよりも近付いているからか、より鮮明に感じ取ることが出来た。

 片方は圧倒的な存在感と、鳥肌が立つ様な危険な感覚、それこそ初めて包丁持った時みたいな。もう片方は、なんだかトムみたいな、そこに居るだけで大きな存在感で敵を足止めするような。この流れで行けば相手はきっと何かしらの神様、そんな存在を相手にしてパッと感じることの出来る気配なんでこの位が限界だと思う。


 ただでさえ今まで沢山の魔力や個々の気なんかを感じてきた私だけど、それでも多少似通った部分はどこかしらにはあったんだよね。

 何が言いたいかって?ここにいる神様達から感じられる気や魔力、いや、そのどちらとも似ていないよく分からない気配は、どれも違うものに感じる。


「半分は正解だけど、もう半分はね。私達にも似た気配は存在するわ」

「そこの神が俺の上司な様に。他の神にも。一応だが上と決めたやつがいる」


 なるほど、神様の世界も世知辛い御時世なのね。それはそうと、入口まで来て消えた気配、どこに行ったんだろう。


「「ばあ!」」

「?」

「あれー?」

「驚かないのー?」


 下からいきなり現れたのには驚いたけど、そこまでのリアクションを期待されると申し訳ないですね。


「あら、つい先日もイタズラはダメと言ったばかりよ?」

「これ違う!」

「シンが言った!」

「シィン?」

「うぇ!?僕は何も!」


 凄い慌てようでそこまで口にしたけど、ラウムの威圧感に圧倒されて、今は完全に沈黙してしまった。

 すると我慢も限界になったのか、声を荒らげるミーア。


「もー!いい加減契約したいんだけど!」

「そうね。先ずは契約指定まいましょう」



『眷族の契約が完了しました。獣神の眷族になりました。』

『獣神の加護を取得しました。』

『獣神の寵愛を取得しました。』

『獣神の眷族になったことで、スキル『獣神』を取得しました。』

『眷族の契約が………………



 それから数回、契約のための儀式を繰り返し、無事に六柱の神様と眷族の契約が完了しました。


「契約ってこれで全部ですか?」

「一応もう1柱いるにはいるんだけど………」


 シンが申し訳なさそうに方をかくと、再び部屋の扉が勢い良く開かれた。と言うより壊れた。


「ちょお!?」

「あぁ〜悪ぃな、それと遅刻の件も」

「相変わらずね」

「ま、自由なのが私のモットーなんでね!」

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