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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
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お城に行く時って何かあるのが決まりなの?

 王妃様がうちのギルドに来て、ティアが本格的に居候する事になってから数日、私と氷菓はどういう訳なのか、王妃様にお城に呼ばれていた。


「ねぇライム、お城に行く時も分身使うの?」

「だって面倒だし。本体連れて行くよりも、分身連れてった方がいざって時に直ぐに逃げられるし」

「ここ敵地って訳じゃないからね」


 はぁ、そういう言葉はまず前見て歩ける様になったら言ってくださいよ。

 氷菓は相変わらず、地面を見つめて何か考え事をしている。


「止まれ、ここより先は王城になる。何の用だ?」

「王妃様に呼ばれて来ました。ライムと言います」


 王妃様の事が出てきて少し警戒をする騎士に、一応貰った手紙を渡すと、さそこに着いている判子の家紋を見て、慌てた様子で通してくれた。


 一国の城と言うだけあって、給仕さんも大勢とすれ違った。

 案内されて着いたのは、豪華ではないが綺麗に整えられた見事な扉の前、多分ここが王妃様のいる部屋だと思う。


 その予想は当たったみたいで、メイドさんがノックをして中に確認をすると、少し前に会って聞いたばかりの声が返ってきた。


「数日以来ね」

「今日はどうしたんですか?ティアと話したいならまた空間繋げますけど」

「できるならお願いしたいけど、今回お呼びしたのは別の要件なの」


 話を聞くと、少し面倒な要件だった。

 その話の内容は、私と氷菓が魔道ギルドに目をつけられた事、そしてその上に居るらしい魔道議会とか言う人達が、褒賞を渡したいので是非とも招きたいと言った内容だ。


「別に褒賞とか要らないんですけどね」

「そう言うとは思ったけど、議会はもう動いているわ。明日にでも迎えを寄越すと思うわよ?」

「素直に確保しときたいって言えばいいのに、どの道興味は無いけど」


 言わせて断るんですね。だけど私も、ここまで目に見える様な私利私欲で褒賞押し付けられても、それこそ困りものなんだけど。


「何か少しでも利点って無いんですか?」

「そうねぇ、褒賞がどのランクにもよるかしら」

「ほぅ、少し聞いておきますか」


 氷菓は相変わらず現金な性格だけど、これは私も聞いてみたい。


 魔道議会のランクとはそもそも何なのか。この世界の魔法使いを管理しているらしい魔道議会は、それぞれの魔法使いの技量や魔力によってランクをつけているらしい。



 そのランクは……

 一番下で魔法使い見習い、まだ魔法は使えない文字通りの見習い。


 次がお馴染みの魔法使い、魔法が使える様になった者は、自然とこのランクになるらしい。と言うのも、魔道議会とやらは、魔法使いになった者達が直ぐに分かる神器を持ってるんだとか。私や氷菓は、どちらかと言うとその神器の方が気になるけど。


 次は魔導師、コレは複合の魔法属性を扱う事が出来るようになった者がなるみたい。


 次はその魔導師の性別によって大魔道士、または大魔女と呼ばれるランクになるみたいで。これは魔法言語、要は詠唱している時に言っているあの言葉、其の意味を覚えるのではなく理解した者がなれるらしい。


 次は賢者、これは魔法言語をより理解する事でなれるみたい。この賢者になった者は、詠唱の省略、もしくは無詠唱で魔法を使えるらしい、他にも魔法陣を弄ったりなども出来るみたい。


 普通の魔法使いならここまで、だけど更に才能のある者は大賢者、自信で新たな魔法を作り上げてしまう様な者達らしい。


 ここからは本当に数えるくらいしか居ないらしい。ランクは魔人、前ランクまでの事が出来ると言う前提と、常人を逸脱する程の膨大な魔力量の人間がなると言う、この世界でもかなりの発言力を持つ事を許された人達だとか。


 最後に大魔人、ここまで来ると数世代に一人居るかどうか、と言う程の逸材らしく。なれるのは魔法の祖である魔神様から寵愛を賜った者だけだとか。



 以上がざっとではあるけど、魔道議会のつけるランクの説明になる。

 因みにこれは、上級職に転職なんかでなれる職にも関わってくるから、別に私達2人だけをって事では無いらしい。

 それを聞いた氷菓は、それなら早くギルドで話をつければ良かったなんて言ってるけど、より上に行く為に言っただけであって、魔道議会とやらに対しての評価は未だに地に落ちたままだ。


「ごめんなさいね。もっと早く話せればよかったのだけど、ティアの事で少し多忙になってしまって」

「構いませんよ。取り敢えず褒賞は受けますけど、魔道議会とやらに尽くす気は無いですけど」

「氷菓さんは正直なのね」

「内心では私も同じですよ」

「そうなのね」


 私も氷菓と気持ちは同じと言うと、王妃様は手で口元を覆いながら笑って返した。


 その後は最近のティアの様子なんかを話したり、少し空間を繋いで会話をしたりしていた。その途中で私は、この部屋に入った時から気になっていた、古くて大きな置時計について聞いてみた。


「あれはね、万年時計と言って、私の祖父やそのまた祖父、先祖代々続いて受け継いできた物なの。今ではどう言った物なのかは分からないけど、これだけは一族の全員で大切に守って来たものなの」

「へぇ……」


 前のガラス張りになっている部分から覗く歯車に、私はその置時計にとても興味を引かれた。

 そしてその見た見の異様さについて聞くと。


「この万年時計はね、星の時を刻むってお爺様が言っていたわ。真ん中は普通の時計のように秒針、そして長針と短針。その下にあるのは日と月、そして上にあるのが年を数える物よ」


 説明された順に見ていって、納得した事と、疑問に思った事がある。


「もひとつ聞いてもいいですか?」

「構いませんよ」

「では、あの1番外側の時計は動かないんですか?」

「え?」

「え?」


 これはあれかな?王妃様の一族の人達、一番外側で輪っか状にガラスになってる部分の印が時計の針と繋がってるの気付いてなかったのかな?


「ライムさん、これは本当に時計なんですか?」

「そうですよ。多分この辺……?」


 そう言って説明しようと時計に触れると、予想よりも大きな鐘が鳴り響いた。


「意外と大きな音ですね……王妃様?」

「こんな事は初めてだわ……ライムさ……!?」

「どうしたんですか?」


 こっちを見た王妃様が、言いなり驚いた顔をして見てくるけど、何かそんなに不味い事をしてしまったのかと不安になったが、後から氷菓に肩を叩かれて、ようやく気付いた。


「ライム、身体光ってるよ」

「えぇ……」


 ここ最近は本当に面倒な事ばかり起きてるから、こんな事が起きているにも関わらず、私の反応は驚きや焦りでは無く、ただただ面倒事はごめんだという思いでいっぱいだよ。


「えっと、何かしてしまっていたらごめんなさい。私は一応生き返れるのでそこは気にしなくで大丈夫です」

「だ、大丈夫なの?」

「害がある物には感じません。氷菓」

「分かってるよ。王妃様は見ておくから」


 どうやらここで時間切れみたいで、気が付けば知らない洋風の一室に立っていた。

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