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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
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生産職達の戦い《料理部門》

 午前中にエントリーしてくれたプレイヤーを一通り案内し終わった私は、早速始めようと氷菓とミューの合作、マイク型拡声器を使って開催の挨拶をする。


「本日は私達のギルドが主催するイベントへの参加、ありがとうございます。皆さんの全力を見させてもらいます」


 締めくくった台詞に続く拍手に軽く礼をしてから審査用の席に座ります。


「ふん、小娘が、本当の料理を教えてくれる」


「やっぱ何度見ても可愛いよなぁ……」

「ああ、ぜってーにこのギルド入ってお近づきになりたいもんだ」


 料理を始める前から、審査項目ではなく私のあまり関わりたくない項目にチェックを入れてくるとは凄い余裕ですね。


 今回の料理部門。そのルールは特になく、調理場と食材は提供するけど、最低限の調理器具は持参してもらう事になってるのが今回のルール。

 それと一人一人調理して貰う都合でメインを一品だけを作ってもらう事にした。


「それでは一人目の方お願いします」

「はい」


 一人目の人は形から入る系のタイプなのか、縦に50cm(センチ)位ありそうな異様な長さのコック帽を被ってる男の人だった。

 一々手で金髪をなびかせながら、また一々高い位置から調味料を加えていくのを見せつけられて、今思ってることを正直に言えば、もっと落ち着いて料理できないんですか?

 態度も動作も一々大袈裟で、見てて凄くストレスが溜まりますねこれ……というか何度かタイミングミスってますし、これはただ周りに魅せるための茶番にしか見えない。

 魅せるなら魅せるでもっと上達してから出直してきてください、そんな頻繁にフライパンを日の強い所に当ててたら、折角の良いお肉が台無しじゃないですか……。


 自分の集めて来た食材を、それこそ玩具のように扱われている目の前の茶番に、私の中の黒い感情が膨れていくこと暫く、完成したものがコレだ。



身隠し牛のステーキ レア度3 料理 品質C+

·ヘイト軽減(中)

自然に隠れる牛の肉から作られたステーキ、食べると少しだが敵からのヘイトを下げる。



 どうして……どうして元々レア度4もあった食材のレア度が下がってるんですか、それに食事効果低くないですかコレ。


「どうですか?この完璧な仕上がり、これは初めから審査するまでもありませんね」

「そうですね、確かに審査するまでもなく……失格です」

「なっ!?」


 まるで自分の腕を疑わず、採用される事が当たり前と言う態度も、私の続く言葉に何故だと言わんばかりに目を見開いている。


「ここは料理を作る場です。びっくりショーがしたいなら中央広場を使ったらどうですか?」

「こっ、このガキ……っぅ!?」


 流石に挑発し過ぎたか、周りも巻き込みそうな雰囲気に、魔魂装で作り出した剣を男の首に当ててそのまま空中に静止させる。


「以上です。今度からは、人前で堂々と食材を弄ぶのも大概にして下さいね。お帰りはあちらです」

「クッ……クソ!」


 そのまま早足で食堂を後にするのを見送って、再び再開する事を伝える。


 結果から言えば割と普通だった。そりゃそうなるとは思うけど、出てくる料理は、どれも料理スキルを手に入れて直ぐに作るような物が殆どで、それ以外だと初めの方で凄い敵意バチバチの中年男性が凄く料理の腕が高かった事、というか見た目が料理人じゃなくて完全にヤーさんじゃん、いくら調理用の服着込んでも片目に深めの傷があるメイクしてたらどうやったって料理人には見えませんよ。

 何ですか、食材を求めて山に入ったら熊とバトっちゃったんですか?どこぞの美食屋何ですか?


 まぁでも、料理してる時は楽しそうだったし、他にも良さそうな人は居たから決まったかな。


 私は早速結果を伝えていきます。元々想定していた人数よりも少し多くなったけど、それでも技量も熱意も十分な人達を集められたから、私はとても満足している。


「採用はありがたいが、少しいいかい」

「何ですか?」


 採用を決めた人以外を返し終わったところで、厳つい顔のグルースさんから声をかけられて振り返る。


「俺はここで世話になる上で、嬢ちゃんの技量を知っときたい。本当に下で働くに値するのか」

「構いませんよ」


 そのグルースさんの言葉に対して、私は笑って返す。確かに私も料理は好きです。例え現実では趣味程度でも、私だって料理人の端くれ、母さんに仕込まれた技量を披露しましょう。


 という事で台所に立ったけど、別に大した物は作らない、今回は私の十八番料理、オムライスを作ろうと思う。

 という事で私は、オムライスが作りやすい()()に移動する。

 今回の試験でどれだけの人が気付いたか知らないけど、このキッチンはある程度作る料理に合わせて配置の違う区画分けがされている。

 少しでも今作ってる料理から目を離さないようにするために、私が基準だけど企画したこのキッチン、侮ってもらっては困るのです。


 早速料理を開始、先ずは血のにじむ様な迷宮探索の末に見つけた少し特殊なお米、それをユウナさんに栽培、量産してもらった物を初めに水で軽く研いで、そのまま飯盒にセット、そのまま火加減を気にしながら、用意した食材を程よく刻んでいく。

 私は自分のステータスを存分に活かして、次々と具材達を刻んでいき、そのまま炒め作業に、そしてここで使うのが、これまた迷宮産の牛乳を錬金術で水分を飛ばして作ったお手製のバター、流石に錬金術で一気に水分を飛ばしたからなのか、品質は多少落ちたけど、今回はそれは気にしないで進める。

 炒めた野菜たちが、私の鼻をくすぐって食用を誘うけど、そこへ炊けたばかりのお米を追加、そしてもう一つお手製のトマトソースを絡めてそのままお皿に移動、中の具を冷まさないため、少し前から火にかけておいたフライパンへ、再びバターと、その後に卵をすかさず投入、焦げても張り付かないから、なるべく落ち着いて、ゆっくりと均一になるようにフライパンと菜箸を動かしていき、いざホカホカなご飯の上にペロリと被せる。

 更に、ナイフで卵を縦に切れば、まだ半熟の卵が流れ出す。会心のオムライスが完成。



半熟卵のオムライス レア度6 料理 品質A+

·一時間生命力自動回復(大)、一時間筋力アップ(大)

シンプルだが、食材の能力が最大限に引き出された、正に最高のオムライス。

その味は懐かしく、食べると自己回復力と筋力が暫くの間上昇する。



 出来上がった料理を、そのまま食堂に運んで並べます。


「どうです、期待には応えられそうですか?」

「……ああ、十分だ」


 するとこっちに向き直って、頭を下げ出すグルースさん。


「これからは、ここで料理をさせてくれ」

「喜んで」


 そのまま互いに手を差し出して握手を交わして、早速グルースさんに頼み事をしてみる。


「グルースさん、一つお願いを良いですか?」

「ああ、俺にできるならなんでも言ってくれ」

「それじゃあなんですけど、ここの料理長を任せても良いですか?」

「ああ、構わな……なんだって?」

「えっと、このギルドの料理長を任せても良いですか?」


 採用されていきなりの大役に、流石に驚いたのか聞き返してきたのでもう一度同じことを、今度は少し遅めにお願いする。


「えっと、嬢ちゃんがここの料理長じゃないのか?」

「あぁ、私は別に料理だけを専門にしているわけではないので、なので今回採用した方で任せられそうな方がいたら任せるつもりでした」


 少し唸って悩んでいたけど、直ぐに折れて了承してくれる。


「分かった。折角任されたんだ、何処にも負けねぇ位の料理作ってやるよ」

「ええ、お願いしますね」


 こうして、私が監督する料理部門は終了。午後にも別で審査しなきゃ行けないから、ここで一旦ログアウトする。

「個人的にはようやっとここまで来たって感じだな!」

「久しぶりですね。安定して投稿しないんですか?」

「しない!もとより暇潰しの一環だ!」

「読んでくれてる人居るのに清々しいくらいのダメ人間ですね。もっと感謝しやがれ」

「あれライムさんなんか当たりキツくない?」

「そんなことは無いですよ?投稿期間が空く=書くのも久しぶり、でキャラや書き方が多少ブレブレでも気にはしませんともええ」

「やめて!?それは書いてる僕に効く!あと一応前に書いたやつ見て寄せてはいるから!改善の一環として許して!」


「ライムは何やってんだ?」

「作成さんが最近投稿してなかったからつっついて来るとか」

「まぁながい目で見る事だな。と言うか怠け者が怠け者叱るなよ」


「私はいいんです」

「何この理不尽!?」

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