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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
65/111

夢の島はまだ遠く

 あの後ダンジョンの中を探すこと数日、それっぽい動物が何体か見つかった。

 見つかったのは、首が少し長めで身体には石みたいな硬い突起があるロックバード、見た目は鶏だけど猛毒を吐いてくるコカトリスとか、その他にも有精卵らしい鳥の卵を拾った。

 そして私は見つけてしまったのだ、それは迷宮を50階層よりも下に降りた時の事、お馴染みの全力ダッシュで次の階層まで向かっていた時に、近くから本当に微かなものだったけど気配探知に引っかかって、それから立ち止まって周りを探すと、なにかの寝息が聞こえて、近付くと微妙にだけどそこに何かがいるのが分かって、試しに触れてみると凄く柔らかかった……。


 そしたら直ぐに迷彩を解いて走り去って行っちゃった。

 どんなモンスターだったのかって?それはですね……羊です!!


 そしてあの羊は絶対に欲しい、手で触れて分かったけど、あの毛の量で殆ど熱は感じなかった。

 通気性が良い上にあの柔らかさは反則級、よって捕まえて育てることにしました。


「と言っても中々見つかりませんね」


 見つけてから何度か探してるけど、あまりいい成果は無い、ここ何日か来てるけど、私以外のプレイヤーの影なんて見た事ないし、やられる事はそんなに無いと思う。


 すると近くの何も無い場所から気配がした。

 どうやら見つけたみたいで、直ぐに寝息が聞こえてきた。

 よし、ここはモンスターじゃなくてマ○ターボールで、と言うお巫山戯は置いといて、この捕獲用の鉄網で暫く捕まいて置ければ捕獲成功の通知が来て終わり。


「さて……まずは網に仕舞いますか」


 それからは網に入れた羊を守りながらのんびり過した。

 この羊警戒が強いのか弱いのか分からないけど、終始眠り続けて簡単に捕獲成功の通知が来た。


「よし!」


 お目当ての羊を捕まえた私は、そこから更に数時間探し回り、更に一匹捕まえたところで、早速島で離そうとホクホク顔でリネルティスまで一気に転移する。


「あ!ライムおかえりー、どこ行ってたんだ?」

「迷宮」

「ずるい!私も行きたかったぞ!」


 ビルドも行きたそうなのは分かってたけど、多分所構わずに殲滅するからあえて連れては行かなかった。


「今度誰か誘って行ってみたら?」

「ライムは?」

「私は暫くやる事がある」

「ええぇ〜、じゃぁ分身は?」

「それなら良いけど」

「よっしゃ!」


 という事でその日のビルドのお守りは分身の私に任せることにした。

 今更ながらに思うけど、我ながらよく分身を使いすぎてる気がする。まぁ分身も私だからそこはいいけど、このシステムって結局何なんだろうかね、意識は完全に別、だけど向こうの状況が知りたければ記憶もその場の状況も映像で見れる。

 これといったデメリットも、全員が私だから少なからず分身のダメージがこっちにも通ってきちゃう位で他は魔力も器用もインフレしてる私なら対して気にならない訳で、正直な話現状なんの問題もない。


「あぁ、それからライム、ラムネがギルドの名前決めたいって言うから集まれだって」


 多分そっちが本題なんだろうけど、思い出したように伝言だけ言ったビルドと一緒に会議室に向かう。


 早速と日の目を見た会議室には、既に全員が揃っていた。


「遅かったな」

「どこ行ってたんだ?」

「迷宮」

「早速行ったんだ、感想は?」


 なんだかんだラムネも気にはなるみたいで、少し予定を変えて簡単に迷宮の話をするけど、感想も何も今の私が1人で行っても何ら問題が無いわけだから、戦闘に関しては皆も多分楽しくはないと思う。


「でも罠とか敵の連携とかは見てて面白かったよ」

「戦ってないのか?」

「いや?戦いながら見てた」

「要は弱すぎて暇だったんだな……」

「となるとやっぱ俺らのステータスは少し以上か……」

「だな、まぁ普段はスキルで抑えて……ん?なぁライム、ステータスは抑えたまんまか?」

「そうだよ、でも全然問題にはならなかった」


 すると室内の反応はいくつかに別れた。私達元から一緒のメンバーは少し残念そうに、イベントで知り合った人たちは苦笑いして、今回から知り合った人たちは少し有り得ないものを見るような目をしている。


「まぁ、現状の迷宮はギルドの資金確保の場所って事でいいか」

「「異議なし」」

「「マジかよ(本気?)」」


 ラムネの取り敢えずの迷宮の対処に諦めて賛成する派と、その発言に驚く派、確かに私たちの会話は普通のプレイヤーからしたら異常な気もするし仕方が無いのかな?


「それじゃあ話を戻すが……」


 その言葉で部屋の空気は一瞬で静まり、無駄に重い圧力だけが残る。


「このギルドの正式な名前をどうするか、それを今日この場で話し合う」


 という訳で始まったギルド名決定会議はそんな重たい雰囲気から一転して、次々に案が出されていく。


「ジム!」

「却下」

「変人集団」

「否定はしないが却下だ」

「せめてもっとましなものをだな」

「なあ、そもそもこのギルドの目的ってなんだい?」


 するとここで年長者のギデさんから最もらしい意見が出てきた。

 そう言われると確かに、私達はこの世界での目標らしい目標は立てていない。


「一応だが目標……というかやる事は決まってる」


 すると今度はラムネからこのギルドの一応の目標を教えてもらった。


「このギルドの方針は、この世界を全力で楽しむこと、それだけがこのギルドの決まりだ」


 そんなラムネの言葉には、当然色々と言いたいこともあるだろうけど、その方針は誰に対して迷惑のかかるようなものでは無い、もし仮に多大な迷惑をかけるようならば、ギルド総出で対処する。

 まだ納得はしてないだろうけど、一旦この話はここまでにして再びギルドの名前について考える面々。


「この国の特徴で言えば各種族間の自由を主張する国ってことだったっけ」

「自由なぁ、まあそれも理由でここに来たんだけど、ぶっちゃけ今そんなに関係ないしな……」

「んん~、ここは神様にでもあやかって見るとかは?」

「例えば?」

「ふむ、自由ってワードで調べて直ぐに見かけるやつなら、リベルを抜き取って使うとか」

「ほお、そういつはいいな」


 そこから更に色々と意見がではじめて、さっき話したギルドの方針も踏まえて考えていく。


「自由を主張……掲げる……」

「なら、自由を謳う者達って事でリベルシングとかはどうだ?」

「ああ、それでもまぁありか?」

「他に意見や反対のやつは?」

「決まったみたいだな」


 今決まったギルド名に対して反対する者は居なかった。

 という事で、早速決まったギルド名を冒険者ギルドに届けに行くラムネを見送って、私は早速やりたい事を始めよう。


 メニューを操作して選択、移動先は放置し続けていた島、当たり前だけど放置してたから、島と言う概念としては一応形になってはいるけど、そこにはなんの自然もない平坦な孤島かあるだけだった。


 まさかのゼロスタートとは、動物達を飼育するには余りにも環境が酷すぎる。


「これは動物を買う前にまず環境整備をしなきゃいけなかったかな……」


 動物達の生活環境の事を一切考えずに連れてくるなんて、こんなの使えない動物園の経営者みたいじゃないですか。


 こうなればこの大陸中を探して環境作りしていくしかありませんね……


 静かに元いた場所に戻った私は、早速と分身隊を作り出して探索を開始する。

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