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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
62/111

一等地って憧れるよね

 次の目的地についての目標を決めた次の日、私はこの街でお世話になったギルドに挨拶に来ている。


「すみません、ギルマス今大丈夫ですか?」

「ああはい。ギルマスに御用ですね少々お待ち下さい」


 するといつも通り奥の扉から走ってくる音が、案の定家事ギルドのギルドマスターが出てきた。


「誰か私を呼んだかしら!」

「あ、ギルマス、この子が……」

「言わなくていいわ!!貴方ね!私を呼んだのは!」

「お久しぶりです」


 このやり取りももう何回目か、今日はこの街から離れるってことで挨拶に来た事を伝えるとギルマスさんは何かを取り出した。


「これライムちゃんにあげるわねん」

「これは?」

「紹介状よん。離れるって事は多分ギルドを作るのかしら?」


 どうして分かったのか驚いていると、どうやら今私達とおんなじプレイヤーは、次々に他の国に向かっているらしい。

 それで予想できるギルマスさんも凄いけどね。


「その紹介状はもしギルドを設立しようって時に、土地について困ったら出しなさい。きっといい土地を譲ってもらえるわ」

「そんな物貰って大丈夫なんですか?」

「構わないわよ、それじゃあまた何時か」

「はい。大変お世話になりました」


 これで家事ギルドへの挨拶は終わり。次は錬金ギルドに行っておばあちゃんに挨拶しないと。

 という訳で早速挨拶に来たんだけど。


「ほれ、これを持っておいき」

「これって」

「ああ、紹介状さ。あんた達どうせ大したコネもないでしょ。だからこれは私からの贈り物さ。頑張んなよ」

「はい。ありがとうございます」


 二つ目……紹介状って必ず貰えるものなんですかね?暫く紹介状の入った色違いの小さな筒を二つ見比べてたけど、正直考えても分からないし。


 後で同じギルドに入ってそうなカイザーに聞いてみたけど、そんな物は貰ってないらしい。


 まあ、ここでやり残した事は無くなったし皆のところに戻って早速出発するとしますか。


『ちょっと!?私は?』


 今どこからか残念なスキル屋さんの声が聞こえた気がしたけど、きっと気の所為だよね。

 私は少し駆け足でリズさんのお店に向かう。


 お店に着けば、ちょうど皆も今来たみたいで、早速リズさん案内の元、借りたらしい馬車に同席させてもらい、これから3日間の大移動が開始される。

 少し値が張ったらしいけど、それでもリネルティスまで街を挟んでも現実時間で3日間、社会人側はイベントのついでに取った有給がもう少し残っている事、それ以外の私達学生側も、夜の参加なら問題はなくて、この3日間は全員が確実に予定の会う日で、遅いものだとそれこそまた数日かかるらしくて、そんなに移動に時間をかけられないって事で、少し奮発して早い馬を借りたらしい。


 そして移動を始めて3日間目。私達の目の前には、巨大な城門が見え始めていた。

 街に入る時は、ギルドカードを見せれば通れるらしい。

 もしカードを無くしていた場合には、よくある水晶で犯罪なんかを調べるやつをやってもらうらしい。


 早速街にお邪魔した私達は、早速宿屋を探すことに、ここは人数を活かして全員がバラバラに探す事に。

 そして泊まることにしたのは、宿り木って名前の宿屋になった。

 ここは中心に近い立地で周りにある施設からも丁度いい距離なのに対して、一泊の値段も安くてなかなかにいい宿屋だったのでそのまま全員がチェックインした。


 宿探しが一段落したので、今度はギルドの本拠地を置く土地を買いに行く事に、実はって言うほど隠してる訳でもないけど、私達はそれなりにお金は持っていたりする。

 と言うのも、ゴーレムが湧きまくったあのダンジョンらしき穴には、私達以外のプレイヤーが来た所を見た事ないと言った具合で、長い事独占していて。更にはその洞窟で手に入れた鉄も、普通に流すと出処が面倒だからってミューにしか渡してはいなかった。

 と言う事で最終的には、私達はゴーレムの湧く洞窟を独占、それをミューに流す事でそれを今度はミューが独占、そこから出来た装備は初期の段階では規格外な性能をたたき出してぼろ儲け、その売上が巡り巡って私達の元にも周り、その間を取り持っているリズさんにもある程度回っていく。

 これが最近出来始めていたサイクルで、結構な額の予算があるのはそういう事があったから。


 という訳で土地の購入、土地の購入にはこの国の管理の一部を任されている商業ギルドに行く必要がある。

 商業ギルドでは当たり前なのか、私達が入るなり一斉に視線をむけられた。

 正直居心地がいいとは言えなかったけど、割とすぐにそれた視線もあるから、そんな長い時間見られてた訳じゃなかった。

 カウンターにはお馴染みの受付嬢さんがいて、一人一人に丁寧な対応をしている。


「商業ギルドへようこそ。初めての方ですね、本日はどの様なご要件で?」

「ギルドの設立で、ホームを建てたいんですけど、どこか広い土地って有りますか?」

「申し訳ありませんがお客様、それなりの土地となりますと色々と手続きが有りまして」


 ラムネが話してるのを横で聞いてると、どうやらいい土地を買う場合、購入者はそれなりの経済力を持っているもの、例えるなら貴族のお偉い様とかかな。

 一般人でもそれなりの土地は購入出来るけど、私達が買おうとしている土地の広さだと、一定の条件があるらしい。


 そう言えばこんなタイミングで使うこともできるのかな?


 そう思って私は2人から貰っている紹介状を取り出して受付の人に見せる。


「すみません。こちらよ紹介状はどなたから?」

「えっと名前は聞きそびれてしまったんですけど、一応商業の街の家事ギルドと錬金ギルドのギルドマスターから頂きました」


 そう言うと受付の人は、紹介状の入っているであろう筒を調べてから、慌てて奥に言ってしまった。


「なあライム、お前何渡したんだ?」

「さあ、ただ紹介状って言われただけだから」

「でも期待は出来そう」

「そうだと言いけどな」


 そんないつも通りの話し合いをしていると、奥からさっきの受付嬢と、若そうな男の人が一緒に出てきた。


「あなた方ですね。私は本商業ギルドのギルドマスターをしている、レイクと言います。以後お見知り置きを」


 そう言って初対面の私達にも丁寧な挨拶をしてくれる商業ギルドのギルドマスターらしいレイクさん。


「紹介状はどちらとも目を通させてもらいました。魔力の痕跡も本人の物で間違いありません、しかし凄いですね。あの二人は紹介状なんて書いた事がないと聞いていたのですが」


 少し興奮気味に話し出した商業ギルドマスターのレイクさんを、さっき呼びに行った受付嬢が宥めて、ようやっと話しが進んだ。


「そうだね……。兎に角広く使いたいって言うなら、こことかどうかな?立地もこの王都では中央の方によっていて、各ギルドや商業区にも行きやすい。なんでか買取手がつかなかったから放置していたんだけど、土地の広さならここら辺では一だね。ただその分高くなってしまうけど、どうする?」

「決まったな。何かあっても解決すりゃあいいだけだ。この土地は買ったら好きに建物は建てていいのか?」

「それはもう君達の自由さ」

「なるほどなそれで幾らだ?」

「そうだね……。紹介状がある事を考えても12億Gはするかな」

「まじか……。紹介状が無ければ?」

「無ければその10倍はするかな?」


 それを聞いて驚く一同と、何故かラムネから肩を叩かれて、リズさんからは頭を撫でられる始末、紹介状が効果覿面なのは明らかだけど、別にそこまで高いとは思わないんだけどね。

 前にも言ったけど予算にはかなり余裕がある。だから別に紹介状が有ろうが無かろうが大して慌てる必要も無かった。

 という訳で購入、それぞれ互いに1億づつ出せば足りるのはなんの偶然だろうか。リズさんは購入には関わらないけど、その後の連携とかもあるから自分達のギルドも後で建てるらしい。

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