ギルドを作ろう?
あの後午後の授業を受けて、今は家に帰ってきたところ。
「でもびっくりだよな、フィロが同じ学校にいるなんて」
確かにびっくりはした。しかも家の場所聞いてみたけどそこまで遠くなかったし、なんなら私の家とも割と近かった。
そんなふうに今日あったことを話しながらゲームの世界にダイブする。
早速ビルドと2人でログインしたのはいいんだけど、何故か周りから凄い数のの視線を感じる。
「あの子達よね……映像に映ってた……」
「間違いないわ……」
なんか周りの話を聞く感じイベントの映像が関係してるみたいだけど、まさかこんな晒し者みたいになるなんて……。
するとリズさんから連絡が来て、内容を見るとイベントの後のお祝い兼報酬の話があるらしいから来て欲しいって内容だった。それと何か他にも大事な話があるとか。
私もビルドもこ晒し者の様な状況が嫌になってた所だったしちょうどいいや。
そう思ってビルドと一緒に動き出すと、目の前の道を塞ぐように謎の集団が出てきた。
「なあ、あんたらがライムとビルドか?」
「そうならなんだ?今から予定があんだけど」
さっきので少しストレスが溜まったのか、少し機嫌が悪そうに言い返すビルドに、目の前の集団のリーダー的な人がニヤニヤしながら言ってきた。
「おっと、そいつはすまねぇ事をしたな〜。だけど悪いな、あんたらは俺らと一緒に……」
「おいおい。人の連れに難破とは、攻略組は相当暇なんだな」
男とビルドの間に突然出てきた手に、その手の主を見ると、フィロのお兄さんが立ってた。
「ああん?誰だテメェ!俺らが先に話してたんだよ!テメェらそこどっか行きやがれ」
「ふんっ、これだからレベルの低い奴らは……。攻略組なんて言っておきながら、攻略も心の広さも余裕が無いのね!」
「それは言い過ぎだ」
「だってレーゼをバカにしたんだよ!」
何か更に人が増えた、と言うか早くリズさんのお店に行きたいんですけど良いですか?
すると絡んで来た男と人がまた怒鳴り出す。
「んだとゴラァ!テメェクソアマが!ぶっ殺し……グエッ!?」
「はあ……せめて正当防衛で処罰が軽ければいいんだがな……」
「ご、ごめんねレーゼ……」
「別にいいさ、どうせ相手は暴力だろうが普通に振るうつもりだったろうし、それでやり返さなきゃ付け上がる。どっちにしろ面倒だったよ」
なんか私達の代わりに罰を受けるみたいな話に聞こえて凄い申し訳ないんだけど……。
すると何かを察してか、振り返って笑うレーゼさん
「別に気にすんな、ここは俺が受け持つからもう行っていいぞ。俺も時々見かけるこいつらの脅迫紛いの勧誘には嫌気が刺してたんだ。で、お前らはどうするんだ?このまま決闘システム使ってやり合ってもいいが?」
「チッ……!んな事するわけねぇだろ!」
「今回は失敗したがな!次のイベントでは覚悟しとけ!」
うわぁ……。攻略組だから腕は確かだど思うけど、なんだろう、この溢れるような小物感……。
でも行っていいって言ってくれたし、お言葉に甘えることにしよ。
まだ少し騒がしい噴水広場を離れて、なんだかんだいつも集合場所になってるリズさんのお店に向かう。
ログインしたら届くように設定したメッセージを他の皆に送りながら歩いているとすぐに着いた。
「来たわね」
「リズ姉やっほ〜」
「どうも」
「なんか絡まれてたみたいだけど大丈夫?」
「大丈夫だったぞ!」
リズさんはやっぱり情報が早いですね、あの時情報がお宝って言ってたのをそのまま見せられてる気分になりますね。
「それで、ライムちゃんとビルドちゃんはイベントのポイントはどうだったの?」
「そう言えばそうだったな」
「今確認します」
という事で確認した結果こうなった。
討伐
A 100×108 10,800Pt
B 50×356 17,800Pt
C 30×4,306 57,180Pt
D 20×15,601 129,180Pt
E 10×21,538 215,380Pt
F 5×30,012 150,060PPt
生産
料理 5×3+5×3……… 4,827Pt
特別討伐
魔王軍幹部 100,000,000Pt
魔王軍小隊長 10,000×21 210,000Pt
魔王軍兵士 1,000×2,563 2,563,000Pt
合計 103,358,227Pt
結構溜まってる、それと最終日のやつかな?別で何か凄いポイントが溜まってる。
まぁ。あの魔族も分身だったみたいだけどそこそこ?それなりに?は強かったから、1人でこの大量ポイントは納得出来るのかな?
その後ポイントで何交換しようかと思ったところで皆も来たみたい。
お店の裏に入るなり、私達が思った事と同じ事を言ってて少し笑った。
そのあとは皆でポイントの使い道を話したんだけど、結局前とそんな変わらない。
イベントの報酬で用意された装備にしても、運営はチート過ぎる物は前回の事があってか渡す気は無いみたい。
ただその中に気になる物はあったけど。
「なあライム……それ交換するのか?」
「前の事もあるし、なんか面白そう。ただ今回は交換に制限がかかってるけど」
景品の中には、確かに強力な武器や防具、スキルなんかは無かったけど、元の素材になりそうな物はあった。
そして私が気になった物はこちら。
無限の可能性 レア度10 素材 品質S
どこにでも転がっている無限の可能性、ひょんな事からとてつもない力を手にするかもしれない不思議な力が宿った見た目は普通の石。この可能性をどう使うのかはあなた次第!
これで作られた物は果たしてガラクタか!果ては神がもたらした神器か!
今後のあなたに期待します!
これの他にも、愛とか勇気とか、某子供番組の菓子パンヒーローのお友達なんかもイベントの景品にされてた。
とは言っても、イベントのポイントはこれだけじゃ全然余るし。
取り敢えず今後に使えそうな物を探すために、景品の一覧を下に下に読み流していると、リズさんがイベントとは別の話を振ってきた。
「それと皆は、一緒にギルド作るのかしら、それともどこかのギルドに行くつもりかしら?」
「へ?」
「ギルド?」
「ギルドって言うのは俺らが個別に加入してるギルドの事ですか?」
「あぁ………もしかしてまだそっちは見てないのかしら」
流石はリズさん、私達が揃って疑問を顔にうかべてるので察してくれた。
それからリズさんが教えてくれた事は、今回のゲーム内容の追加で、自分達のギルドが設立出来るようになったこと。
それで疑問になったのが、初めから有った各職業ごとに対応して存在する大規模ギルドとの違いだけど、ギルドとしての違いは無いみたいで、生産系なら生産のギルドと、戦闘系なら戦闘のギルドと変わりないみたいで、元からあるギルド等は、各国で協議された結果認められた、言わば大手企業的なものらしい。
それに対して私達プレイヤーが作ろうとしてるのは、全く新しい組合な訳で、一番ランクの低いギルドになるらしい。
初めの登録は冒険者ギルドか商業ギルド、または生産ギルドで行うらしい。
私達みたいな戦闘をメインにするプレイヤーは冒険者ギルドでギルド設立の契約。
リズさん達の様な様々な取引をメインにする人達は商業ギルドでギルド設立の契約。
そして生産をメインにしているプレイヤー達は生産ギルドでギルドの設立、または商業ギルドから土地や空き家を借りて個人の店をするかのどちらからしい、それと生産と商業は互いに協力して商売をする事も出来るみたい。
例えば商業ギルドがあったとして、そこに所属する専門の生産者はその腕を振るって、経営側はその技術に見合った取引をして、その売上を見返りにして生産者はまた腕を振るう、こんな感じの関係になる事も出来るみたい。
「なるほどなぁー」
「まあ、ざっとした説明ならこんな感じ。それでここからは商談みたいな物なんだけど、あなた達が作るギルドと協力させて欲しいの」
そう言うとリズさんは深く頭を下げた。
「えっ、ちょ!?リズさん!?」
「勿論あなた達がギルド作るかは分からないけど、商人としてはね、前に行ったみたいにあなた達との縁はどうしても繋げたいの」
いきなりで驚いたけど、結構真剣に私達の実力を考えての対応だったみたい。
でも実際にギルドを作るってなるなら……。
「「ギルマスはラムネだね(だな!)」」
「はあ!?」
「だってギルマスってカッコイイけど面倒なんだもん」
「俺はいつだってお前のサポートだからな」
「本が読みたい、事務処理に割く時間は一切無い」
「メイドだもん、ギルドマスターなんて職論外です」
「お前らな……」
「わ、私が代わりにやってもいいよ?」
「いや、フィロにそこまでさせる程じゃない」
そんな言い合いをしてると、リズさんが追加で説明してくれる。
「別にギルドマスターでなくても、副マスは何人も作れるみたいだから。それは今後考えればいいと思うわ」
「まぁ……そういう事なら?」
まぁ、面倒そうな話はここまでかな、それとギルドを作るならやる事もあるしね。
「それじゃあ、各々追加のメンバーを探してこい、これはギルマス命令だ。俺とフィロでギルドの設立はやっとくから、お前らは精々優秀な人材を探してこい」
「それなら簡単だ!」
「私も心当たりはある」
「俺はねぇな……」
「私は何人か」
どうやら皆、何人か心当たりは有るみたいで、それぞれリズさんのお店を出て探しに出る。
私も急がないと、結構注目は集めてる筈だから、早めに交渉しに行かないと。
少し急ぎながら、私は自分のフレンド一覧を見て、既にログインしてる2人の元に向かう。




