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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
57/111

面白い偶然ってあるんだね

 イベントが終わった次の日、お昼に学校の屋上で集まっている私達。話してる事は当然昨日のイベントについてなんだけど……。


「今回のイベントのポイントと報酬どうなったかなぁ!」

「健二は昨日からそればっかだな」

「まぁ気になるだろ?」

「まぁ(落ち込んでるとでも思ったのか?昨日から頻繁に連絡してきて……)」


 さっきからずっとこの流れ、同じ話がループしてるんだよね。


「まあ今回は何でもいいさ、それに忘れちゃ居ないだろうけど」

「イベントの動画、編集して運営のサイトに投稿されるから」

「私達の手の内が顕にってことですか?」

「そうだな、まぁ今更隠す事でも無いんじゃね?」

「私も!強い奴が来たら全部纏めてぶっ飛ばしてやる!」


 今回参加した初めてのイベントに対して、皆で色々と心配事があったりだけど、それでも楽しみな物が有るのは確かだったり、だからマイナスな会話はここまで、それに何より。


「皆は現実(こっち)でも仲良しなんですね」

「まぁな」


 今私達の輪には、何時もゲームでお世話になっております。我等が聖女のフィロが居ます。

 いや、本当にびっくりしてます。


 時間を遡ること数時間前……。


◇◆◇◆さ


 教室でいつも通りに過ごしていると、何でか廊下が凄く騒がしかったり。

 気になって見てみると、凄い映画で見るような、まるでSP見たいに周りを歩く男子生徒集団、更に斜め後ろに控える秘書のような女子生徒、そしてその真ん中を歩く少し苦笑い気味の女子生徒が1人。

 うん、何だろうねこの状況。


 すると中央を歩く女の子と一瞬だけ目が合って、それで向こうは何でか凄いびっくりしてる。

 えっ、ちょっ、何でこっちに走ってくるの?


「ライムちゃん!」

「えっ!?」


 待ってフィロ……現実だとしっかり質量があって息が…………、フィロ?

 私は圧倒的質量の装甲から顔を出して、何とか呼吸できるように脱出して、相手の顔をしっかり見る。


「ライ………むぐむぐ………?」

「えっと………柚葉です。初めてお会いした筈ですけど……どなたかと勘違いを……」

「えっ!?はっ!そうだった。ごめんね、私はって夏目日彩って言います。よろしくね」


 何だろう、フィロ改め夏目さんって現実だとこんな人だったの?

 それとさっきから周囲の目が凄いんだけど………。

 すると今度は視線を合わせるように屈んで話しかけてきた。


「それで何だけどさ、ラムネくんも居たりする?」

「ああ、愁なら教室に居ますよ」

「ありがと」

「…………」


 フィロはこっちでもあっちでもフィロなんだね。

 初めから分かってる事だけど、こうして改めて現実で会うともっとよく分かるくらい、裏表のない人なんだね。

 それで何だけどさ……。


「何で抱っこするの」

「え?何でだろ、柚葉ちゃんがお人形さんみたいに可愛いから」


 説明になってないですよ。すぐに下ろしてくれたと思ったら今度は手を繋がれた。

 それと何でか、夏目さんのクラスの人達と、うちのクラスの人達がなんか言い争いしてるんだけど、その内の何人かは何故か幸せそうな顔で倒れてるし。

 そしてそこに休む間もなく手を引かれる。


「失礼します。愁くん居ますか?」

「んあ?」


 どうやら健二が来るまで寝ようとしてた見たいで、凄い間抜けな顔でこっち見てるよ。


「なっ!?あの方は1組の夏目日彩様!」

「そしてその輝かしい実話も然る事乍ら、この高校では今年入学して早々に音楽部のコンクールで堂々の優勝!」

「彼女の奏でる音楽で彼女の背中に天使の翼を幻視した人は数知れない!」

「まさかこの目で見る日が来ようなんてぇ………」


 今まで他のクラスを見に行った事無かったけど、うちの学校だとなんか凄い有名な人だったんですね。

 当の本人は熱演される謎の紹介に凄い苦笑いしてるし、これは多分周りの反応が異常で、私が普通って事で良いんですよね?


「はぁ……(柚葉、ちょっとその子と屋上こい)」


 なんかアイコンタクトしてきた。それなりに長い付き合いのお陰で何言ってるかは理解出来るけど、夏目さん連れて屋上行くって難易度高くない?

 色々と考えながら廊下に視線を向ければ、更に熱が篭って勢いを増した口論は、どこから持ってきたのか謎の裁判所セットみたいな所にそれぞれ座って話し出したし。

 あれ?実はこれそこまで難しくないのかも?


 取り敢えず私は夏目さんと繋いだままの手を引いて、屋上に行って今に至るという訳です。


◇◆◇◆


「一応入学から少し経ってるけど、なんか初めて通ったって感じで少しキョロキョロしてたし、何でフィ……夏目さんは今日あの場所を通ったの?」

「よーく見てるんですねムッツリドM壁さん」

「待てなんだよその名誉毀損この上ないあだ名わ!?」

「………(じ〜ー)」

「愁もその目を止めろ!そう言うんじゃないから!」

「ま、入学式からそろそろ1ヶ月位、確かに他のクラスの廊下を通った事が無さそうな様子は見てて気になったけど」

「フォロー入れるなら落とすのやめて!?」

「断る」


 瑠璃と健二が言い合いしてるのはいつもの事だけど、それは私も気になる。

 もしかしなくても夏目さんが凄い有名人なのは、周りの反応を見れば明らかだけど。それであそこの廊下を使わない理由が分からない。


「えっとね。その事なんだけど……クラスの人達は私が移動する時はだいたいあんな感じなの。それでこれまでも何回かそっちに行ったことはあるんだけど、放課後とかで誰も居なくて……。人の居る賑やかな様子は初めてだったんだ。」


 と、その後も夏目さんは、ここまでの自分学校での思い出を、苦笑い気味に話している。

 才色兼備とか神は二物を何とやらとは言うけど、本人がその容姿と知性、それに身体的能力が基本的な平均よりも高かったりするせいか、昔からクラス委員やら生徒会会長やらの選挙に名前が()()()上がっているらしい。

 ただそれに関しては毎回自分で断りを入れてるらしい。


「大変なんだな」

「ち、違うよ!それだけじゃないんだよ!ただ……いつもみんなの前に立たなきゃいけないのって、私には凄く大変なの……」

「そっかそっか」

「ラ!?じゃなくてし、愁くん!?」

「まあなんだ。こうしてこっちでも会えたんだし、少しは頼ってくれてもいいぞ、出来ること少ないから頼りは無いがな」

「ふふ、何それ」


 あーハイハイお熱いこと、だけどまだお昼食べてる途中だからそういう事は他所でやってくださいね〜。


「はいはいそこまで。異世界旅行も結構だけど、今の話題はこっち」


 すると氷菓が見せてくれたのは、新しく来た運営からのお知らせメールだった。

 そこに書いてあるのは今後のゲームの進行についてと編集されたイベント動画の公開、ゲーム機器の再発売のもので、お知らせには……。


「なになに………プレイヤーの皆様、ベータ版、アルファー版のプレイをありがとう。これからもALを宜しく頼むぞ !そして、今日この時より……我々は新たな世界へと皆様を誘いましょう、異世界はもう夢じゃない……だって」

「て事は前から言ってたマップの拡張か?」

「イベントも終わって一区切り付いたし、それに運営は第2のゲーム機器の発売を発表してる。考えれば当たり前かも」

「それにイベントの時運営は、確か新しく作ったサーバーが云々言ってたし、それの完成があっての事だったりするかもな」


 言われれば確かにそんな事も言っていたような言っていなかったような。

 まあ、何はともあれ、先ずはゲームに入ってみないと分からないし。話はまた午後になるのかな?

 という事で私達は、放課後にゲームでまた会う約束をしてから、それぞれの教室へ帰ることに。

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