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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
53/111

第2回イベント7日目 後半

(氷菓視点)


 全く……どこから湧いて出てきたのかな?


「おらぁ!!お前ら!こいつらのポイントは俺達で取るぞ!」

「「おおおおおおおぉぉぉ!!!」」


 私は今絶賛攻略組の所謂過激派的な人達が魔族の幹部と戦っている戦場を遠巻きに観察している状態だ。


「はぁ……」


 見てれば近接も後衛も職業専用の必殺技的な物を使っての一撃離脱ばっか、そんでそれがまた使えるようになったら再び接近からの一撃離脱……、このゲームは日曜の某特撮ヒーローや格ゲーみたいな大技炸裂からの大勝利とかそう言うのゲームじゃ無いんだけど。

 しかも今のところ全部防がれてて全然余裕って感じてあしらわれてるし、てかうちの近接組が言ってた通りあの魔族のおじさん相当な手練だねぇ……。

 一見当たっていそうな攻撃も身体を掠るかどうかのギリギリで避けてるから、プレイヤーからすれば何かのスキルか警戒するだろうし、そうなって焦ればまた当たらなくなる、こんなループだろうね。

 一方の魔法使いは私達プレイヤー側の魔法使いが全く知らない大規模な魔法陣空で作ってるし………。


「7……8………9………」


 そんな魔法陣だけど、現在私はその魔法陣を戦場そっちのけで観察中、最近色々とあってこの世界の魔法について少し勉強を始めた訳なんだけど、それの応用で自分で作るってのが今の私の課題なわけだけど、それとは別にあの魔族の子が使おうとしてる魔法………コピれないかな。


「なあ!あいつらなんかヤバそうな魔法使おうとしてんだろ!戻ったらどうだー!」

「無駄だな。聞こえて無さそうだぞ」

「はぁ……」


 下でトムヤムクンが何か言ってるけどそんなのは今は無視無視、魔力の流れから重要な場所になってる箇所は全部で14箇所……結構多いけど多分行けるでしょ、頑張ってある程度魔力操作のレベルは上げてるし制御を誤ることは無い、そこは断言するね。


「なんかあいつ笑ってるぞ……」

「なんか面白そうな事でも考えてんだろ(自分にとってのと付け加えるが)」


 魔法陣の全体はもう分かった。後はあれを再現して撃つだけだけど、今放とうとしてる大技だろう魔法を私が速攻でコピって使いますよーてなるのはなんか違う、ここはやっぱり相手を驚かせる意味も含めて詠唱も魔法陣を見せびらかしながら作るのもなし!

 頭の中で全部1から組み立てる。もし出来れば今後は発動が圧倒的に楽にはなるからね。

 そうやって魔法陣を作り上げていくこと数分、もう少しで完成するかなって所で相手の魔法が先に発動する。

 その魔法をくらいそうになると、私は腕を掴まれて拠点の中まで引っ張り戻された。


「馬鹿かお前は!あいつの魔法くらうところだったぞ!」

「心配してるのは分かるけど、一応防御用の魔法は使ってるよ」

「氷菓ちゃん、そこはごめんなさいだよ。心配させたって自覚があるなら尚更」

「むぅ……ごめんなさい」

「うんうん。これでいい?」

「あ、あぁ(何故フィロさんの言葉にはそこまで素直なんだ?)」


 はぁ……これは意外な伏兵が居たもんだよ。

 別に私はフィロの言葉に対してだけ素直な訳じゃない。それよりも問題なのはフィロの後ろで凄いこっちを凝視してくるラムネの方がよっぽど怖いよ!

 するとあえて引っ掛けたんだろうけど、魔力察知に何かの反応が引っかかった。何かって言っても、こんなスピードで移動出来る存在はこのゲームでは私は1人しか知らないね。

 まあ予想通りな訳だけど、ライムが戻って来た。


「戻った」

「早かったな」

「相手が本気じゃ無かったから」

「そうなのか?」


 今拠点の外では絶賛攻略組とその他諸々のプレイヤー諸君が意味の無いヒットアンドアウェイ作戦をして魔族軍の親玉とその他兵士と戦闘中、正直アレを戦闘とは言えないかもだね。

 だって獲物を得ようと集まる人ごと巻き込んで攻撃してるんだもん、既に何人かは死に戻って再戦している人も居る。中には運悪く何度も死に戻った挙句にデスペナのステータス低下デバフでまともなダメージなんて入れられなくなりながらも、まだ有るかもしれない可能性を信じてか特攻を繰り返す人も。

 正直見てて凄い非効率だし。さっきも言った事だけど、強力な必殺技の一撃離脱も当たらなければそもそも意味が無い、それ以前に技量が全く足りてない。

 本来なら最前線で戦っている攻略組の人達も、各サーバーから集まった同じ攻略組の人達と上手くいかなかったのか、全然協力しようともして無いみたいだし、このまま行けば全滅は確定だろうね。


 時間を見る、そろそろ午後3時過ぎるところだった。このイベントの終了は9時って書いてあったけど、運営はこの展開が分かっていたのかな、確かにこのまま減り続ければ残りの6時間も要らないくらいの勢いでプレイヤーは全滅するだろうからね。

 そう考えると今回のイベント、私達みたいなイレギュラーがもし居なかった場合、このイベントは初めから正面で戦えば負ける事が前提って事になる。そうなると運営がやりたい事、やらせたい事って何だろう……。


「おーい氷菓?」

「何?」

「そろそろ攻略組の奴らは限界だ、攻めるぞ」


 お!やっと邪魔なのがどきそうだ。見ると確かにかなりの数が減っていて何人かは諦めてこの場から遠ざかってるのが魔力察知でよく分かる。


「分かったけど、魔法使いの魔族は私がやるね」

「それは別にいいけど、あっちの軍団長は俺の方でやる」

「それじゃあ私とビルドは敵軍の殲滅で」

「え〜」


 ビルドや皆には悪いけど、これだけの実力の魔法使いと一体一でやれる機会がこの後もあるか分からないからね。


「それで頼む、フィロはトムヤムクンとここの防衛を頼む。今でも何体か襲ってきてるみたいだからな」

「分かった」

「任せとけ」


 流石に他の人達にまで指示は出来ないけど、リズさんも聞いてたみたいだし、ある程度纏めてはくれると思う、もし参加したい人がそれでも居るならそれでもいい。ただ助けに入る余裕は無いだろうけどね。

 そういう訳で各々が言った通り、言われた通りの場所に向かって行く、もしかしたらアレを使うかもしれないけど、それは本当にダメな時はだね。

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