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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
52/111

籠の中の悪魔?

(フロスト視点)


 僕らは今後の展開に対応するために、弟のレーゼが纏めてる人達と合流して、互いに協力する事になった。

 その後の交流の後、僕とレーゼは報告部隊の人達から報告があった攻略組の人達が占拠してる湖と、その傍にあるらしい洞窟の調査を2人で行くことに。

 初めは何人か着いてきたいと言ってくる人も居たけど、イベントもこれからってとこで、下手に見つかって攻略組の人達と揉め事が起こるのは正直良くない、そう言った理由から他の人達には引いてもらって、ここに居るプレイヤーの中でもレベルが高い僕とレーゼで向かう事を了承してもらった。


 実際に報告に会った湖に向かってみると、確かに攻略組の人達が居るには居るけど、どういう訳か全員が倒れている。

 近くで確認してみると寝ているだけだったみたいだ。


「兄さん?」


 凄く聞き覚えのある声に後ろを見ると、草むらの影からフィロがこっちを見て驚いていた。

 初めは僕らも眠らされて、幻覚を見せられているのか警戒したけど、直ぐに後ろから前に会った。確かラムネくん達だったかな、どうやら全員居るみたいで、直ぐにこの状況の説明をしてくれた。

 話を聞けば目的は同じみたいで、ここは互いに協力をする事になった。

 ただ協力するのはいいんだけど、フィロとラムネくんの様子を見てレーゼが何かブツブツ言ってる、これはちょっとダメな雰囲気が既に出てるかも。

 まぁ、ラムネくんなら大丈夫だと思うし、もしもの事は起こらないと思っておこう、一応助けに入る用意だけはしておくけど。


 それにしても驚いたね。フィロの急な成長は勿論なんだけどフィロと一緒に遊んでくれてる子達が一人一人、癖はあるけど全員が僕ら以上に強いかも、もしかしたらフィロにも抜かされちゃってるかもね。

 それは嬉しいけど、同時に兄としてのプライドは僕にもあるからね。

 ここはまだまだ抜かされる訳には行かないね。という訳で洞窟の中の敵はほとんどを僕とレーゼでかたずける事にした。


 奥まで行くととても重厚な扉が出てきた。流石にこう言った物は壊すのも無理かと思っていると、ライムちゃんによく似た格闘家の子が盾役の子を挟んで扉に向かって押し込んんでいる。

 皆特に気にはしてないみたいだから多分大丈夫だと思うけど、なんかすごいギシギシ言ってるよ?そう思ったら今度は壁まで吹っ飛ばされた。


 すると今度は黄色いローブを着た魔法使いの子が扉に近ずいて、扉のすぐ隣に幾つかある魔法陣の一つに手を付いて魔力を流すと扉は簡単に開いた。

 なんだろうね、この子達の様子を見てると、これか日常なんだってわかる。

 だからなんだろうね、何者にも縛られない、自分達の好きな様に進む。その中でもし助けを必要とするなら互いに助け合う、フィロもいい友達が見つかったみたいだね。

 まあ、お友達は許すけど……お付き合いは僕も少し話が必要かな……。


 この間にも扉は開いて行き、飛びさの先の部屋が見えて来るけど、真っ暗過ぎて全く分からない。ただ一つ何かが中に居ること以外は。

 僕らが足を踏み入れたところで、部屋の仕掛けが反応したらしい、壁に設置された松明に次々と明かりが灯っていく。

 そんな暗闇の中から現れたのは一頭の白くて綺麗な龍だった。

 互いに警戒してる状態の中、レーゼが龍に話しかけるけど、どうやら全く掛け合って貰えないらしい、どうしたものかと思っていると、今度はラムネくんが空中に視線を泳がせてるのを見た。

 何かいい方法か、それとも何か使えそうな物を持っているのか、おそらく画面を操作してるんだと思うけど。

 それで少し待ってると、ラムネくんは手元に何やら一通の手紙を手にしてる。

 どうやらそれが龍の言う証みたいで、それを見た龍は素直に協力してくれそうな雰囲気なんだけど、何処か暗い影あるんだよね。


 これでもまだ問題は続いて、いきなり人になったかと思ったら思い切り裸だった。

 変身の瞬間のライムちゃんの高速の着せ替えと妹の手の平アッパーで僕とレーゼは揃って倒れた。まさか妹の一撃で一瞬意識を手放すなんてまだまだだなぁ……まあそれだけ強くなったって事なんだよね。


 その後色々と話し合って、取り敢えず僕らは着いて行くことになった。こっちも情報が全くない様な状態だからね。

 それでラムネくん達が拠点にしている場所にお邪魔したんだけど、正直に言う驚いた。

 周りの壁や掘り高台と、結構しっかりとした拠点作りがされている。


 肝心の話し合いだけど、この拠点の人達の反応は見ていていいものじゃなかったね。

 突然知らない子がいきなり現状の説明をしてもそりゃ信じられるものじゃないよね。でも現状、彼女の情報以外に何か手がかりがある訳でも無い、レーゼも少し頭に来てるみたいだし、そろそろ助け舟が必要だろう。

 そう思ってると、この拠点の人達を纏めているらしいリズさんって人が周りを黙らせた。これには僕も驚かされたよ、正直今のは凄いね。

 戦闘力以外の何か、そんな感じの威圧感で場の空気を変えてしまったこのリズさんは、商人とは思えないね、もしかしたらそこらのプレイヤー何かより断然強いだろうね。

 そこからは普通に話も進んで無事終了。外に出ると、朝より酷く分厚い雷雲に空は包まれて、まるで夜にプレイしている様な不思議な感覚になるな。

 取り敢えず仲間にも情報を共有するために、一度レーゼを連れて戻ることに。


◇◆◇◆


 それから現在って事になるんだけど、この悪魔はどうやら空中での機動力が良いらしくて、さっきから攻撃が全部掠っちゃってる状態が続いている。


「とっとと降りてきたらどうだ?それとも地上じゃ戦えないか?ガッカリさせるなハエ野郎」

「ははは、そんな安い挑発には乗りませんよ。それにこのままの状態が続けば、不利になるのは明らかにあなた方の方です。思った以上に強いみたいですが、多少時間をかけてでも殺して差し上げますよ」

「面白い、やれるならやってみたらどうだ?ハエ如きに叩かれる俺じゃ無いがな」


 一見冷静そうなレーゼだけど、流石に焦りはあるよね。さてこの状況をどうしたものかな。そんな時だった。


「ちっ!ちょこまかと本当にハエ見てぇだな!」

「はははは!どうしました?先程から掠りもしてませ、グはぁッ!!」

「おっとすみません、とても遅かった物でついぶつかってしまいました。まだまだ慣れが必要ですね〜」

「お前あいつらのとこのメイド……」

「どうもライムですよ。後遅いです。このイベント、初めてにしては難易度が高過ぎます。そこら辺の強い人達を遊ばせる余裕は無いのでさっさとやりますよ」

「お前意外と痛い事言うんだな」


 ライムちゃんがいきなり魔族の顔面にドロップキックして来たのは驚いたけど、それよりも普段は大人しそうだったのは僕も思ってたから少し驚いたよ。

 だけど……。


「つっても実際どうすんだ?あいつは空中での動きが今の俺らより早い、それに自己再生能力もあるらしい、お前がいくら早くてもさっきみたいにはならないぞ?」


 そうだね、問題は今の現状、僕らには空で戦う術がないって事、つまりは苦戦する事は必然。


「大丈夫ですよ。攻撃も届きますし、自己再生能力も使わせません、オマケに逃がしもしませんよ……だってもう捕まえましたし、それに空だからって、足場がないからって言うなら作ればいいじゃないですか」


 この時僕ら2人は初めて、この子達の異常性を見たかもしれない。今僕の視線の先には、少しずつ小さくなる逃げ道のない檻に、そこらじゅうに浮かぶ盾のようなもの、この範囲支配力は……。


「そうそう真似出来ないだろうね」

「この!小娘が!」


 色々と聞きたいことはあるんだけど、教えては貰えないかな。それよりも今は戦闘再開、かな?


「こうして戦うと魔族の幹部も随分と弱いんですね」

「くっ!あなた真面目に戦ったらどうなんです」

「さっきまで空を飛んで逃げ回ってた羽虫に言われたくは無いですね」

「死ね!人間風情が!!」


 ライムちゃん煽るねぇ。それに改めて見ても敏捷値が圧倒的過ぎる。

 顔を見てもまだ余裕そうだし、職業なんなんだろ、本当にメイドさんなのかな?


「考察も良いですけど戦ってくれませんか?と言うかお手伝いで来てるだけなので、やらないならこの魔族の報酬貰いますよ?」


 おっとそれはいけないね。という訳で早速戦闘を再開するんだけど、はっきり言ってさっきまでとは大違い、空中に足場がある事がこんなにも戦いに影響するなんてね。


「それじゃあリクエストにお答えして、早めに決めようか。レーゼ」

「分かってる」


 2人同時に斬りかかりラッシュをかけると、流石に相手も防御に手一杯になっているみたいで反撃はしてこないね。


「聖剣『ホーリーソード』」

「暗黒剣『ダークソード』」

「ふはは……『反転する結果(インベージ)』」

「ッ!?」「こいつ!?」

「ははは!自分の技で死ぬのはどんな気持ちですか!!」


 この魔族……初めから狙ってたのかカウンター系のスキルを使って来た。ただ考えが足りなかったね。


「なっ!?何故生きているのです!私のスキル反転する結果はカウンターと同時にその威力を増幅するもの、生きていられるはずが無い」

「馬鹿かお前、カウンターを警戒するなら自分が死ぬ様なスキルは使わねぇんだよ」

「まぁ今回が偶然だったのは確かだけど、それでなくても生き残れる様にはしてたね」


 僕もレーゼも、今回生きているのは条件の達成で取得できるスキル『不屈の心』があったお陰だね。


「さあ、続きと行こうか」

「ふふっ、ははは!あなた方2人は本当に笑わせてくれますね!その満身創痍の身体で何が出来るのです?精々地べたを這いずって死んでいればいいものを!この私をコケにしてくれた御礼ですよ、2人仲良くあの世に……!?」

「「はっ!?」」

「魔族はゴーレムと同じで核があるんですね」

「あなた何故……」

「誰も攻撃しないとは言ってませんよ?それとこの身体本体じゃないですよね」

「バレてましたか」


 本体じゃなかったんだ……。すると目の前の魔族はライムちゃんの武器を掴んで発光しだした。


「人形とはいえタダでやられるつもりはありません、最後は武器を無くし苦しみながら死になさい!」

「俺らも離れるぞ!」


 僕らが距離をとるなかで、ライムちゃんはその場から全く動いていなかった。

 このイベントやその前の事からあの子の固有スキルがどう言ったものなのかは知っているつもりだけど、それだから分からない。

 助けようにも今の僕の生命力じゃ巻き込まれて殺られる。攻撃の速さや範囲も分かってない状態じゃ無理だろう。

 そして光が収まってそろそろ爆発するかと思ったら。


「こんな人形一体の魔力爆発程度じゃ、私に届く事はないですよ」

「……」

「マジかよ」

「あぁ、ごめんなさい。2人に横槍した上に奪って行った形になってしまって。もし良かったらこの魔族分のポイントで何か報酬を」


 普通は何処のプレイヤーもポイントの奪い合いで殺伐としてるのに、律儀だね。


「必要ねぇよ。幾ら先越されたからって女にそう言うのは違うからな。お前もいいだろ」

「そうだね、僕も構わないよ。どれ程のポイントかは分からないけど、今回のイベントの報酬位は自力で貯めてみせるよ」

「そうですか。それならお言葉に甘えます」


 今回の報酬もそうだけど、それよりもライムちゃんのスキルの確認が出来たのは今後のイベントでも生かせるからね。

 次は先越させないけど、今回はこれでいいかな。

 相手だってまだ居るみたいだからね。

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