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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
51/111

第2回イベント7日目 中盤3

 やっと終わった。コレなら私の方が余っ程上手くできてたと思う異論は認めない。


「それで?契約云々は終わったみたいだけど、一旦戻……ッ!?」

「どうした?」

「来る!?」

「来るって何が来るんだ?」


 島に向かってなんか来てるね。それも大勢で。シルヴィの反応を見た感じだと、味方ってことはまず無いね。


「何が来てるかは分かった。なら尚更急いで戻るか、ライム頼む」

「分かってる」


 言われなくてもこれは戻った方がいいかもね。

 私達は兎も角リズさん達が心配だし、ただこの数の対象を一気に転移させるって相当魔力値高い相手が居ることになるね。


 急いで転移して戻ってみると、拠点は少しザワついてる。

 取り敢えずリズさんの元に向かっていると、会議用のテントからフィロさんが出てきて、こっちを見つけると走ってきた。


「2人とも何処に言ってたの。森で大きな戦闘音がしてて今大変な事になってるの」

「知ってる。なんならさっきその原因と会ったよ」

「それじゃあラムネくんでも勝てない敵だったの?」

「いや、フィロの兄さん2人が代わりに戦ってる。それに俺達はこの後が本番だ。その事についてリズさん達に今から報告に行く」

「そうだったんだね。でも何の連絡もなしに居なくなると心配するんだから、連絡はなるべく取ってね」

「善処はする」


 はぁ……。2人で仲良く話してるのは良いですけど、そんな事より早く報告に行かないと、多分もう少ししたら敵来ちゃうよ?

 中に入ると、そこには前回も居た人達に当たり前のように氷菓達も居た。

 そして今わかってる事で話し合いが始まる。


「なるほどね、つまり今その魔族と名乗った敵は2人が相手してくれてるのね」

「兄さん達は大丈夫でしょうか……」

「まぁ、あの二人に限って殺られはしないだろ。それで実際に戦闘してるとこ見て分かったのは、相手はまずステータスがどれも並外れてる。軽く見ても億よりは上だぞあれ」

「「………」」

「どうしたんですか?皆して固まって」


 あぁ、そういう事か。私達の強さに関しては多分みんな短い間に見て知ってる。でもステータスの情報は教えてないせいで皆固まってるんだと思う。

 氷菓とトムヤムクンも頭抱えちゃってるし、フィロも少し苦笑してる。


「ラムネ……」

「私達はしーらない」

「あ?何言ってんだお前ら」

「ラムネくん。なんだかんだ私も、貴方達について理解していたつもりだったけど……。どうして相手のステータスの話で億なんて単位が出てくるのか、それとラムネくんはどうしてそれが分かったのか。教えてもらえるわよね?」

「あぁ……別にそれは構わないが、なんか顔怖くないですか」

「そんな事は無いわ〜」


 それからあくまでもラムネ個人のステータスについてと、その訳の話を少しすることに。

 そして現在……。


「なるほどね、あのアイテムを複数使ったらそうなったわけね」

「まあそんな訳です(最初にそれしたの俺じゃないのに)」


 説明してるラムネはなんでかこっち見てるけど、別に私は何もしてないですよ〜、ただ貰ったから使っただけですよ〜。

 それにラムネ今の説明の話で自分の細かなステータス値言って無かったし良くない?ダメ?しかしそんな事は知らない。

 という訳ですかさず視線を逸らします。


「その様子だと皆多少の違いはあれど似たような成長してるみたいね」

「そうですね。それでどうします?俺らを前線に突き出しますか?」

「まさかね。これでも私は商人なのよ?これからのことを考えれば、尚のことあなな達との縁は切れないわ」

「そうしてくれると助かります」


 やっぱりリズさんはいい人です。と言うかさっきから取り入ろうとしてるの聞こえてますよ?そこの数人。

 来ても振る気で居るけど、後々そういう人が増えるとなると面倒くさいですね〜。

 そんな私利私欲に塗れた人達のコソコソ話を聞いてると、外から慌てて入ってくる人が。


「た、大変です!」

「どうしたの?」

「そ、空にいきなり!武装した集団が!」


 おっと?そう言えば途中から意識してなかったけど、敵の転移が終わってる。


「ライム、これって?」

「敵の魔法使い、それも転移魔法を部隊規模で使える奴」

「それは楽しみね……」


 隣から珍しく氷菓が敵の事聞いてきたけど、この様子だと相手は完全に遊ばれるんだろうな……今からでも冥福をお祈りしようかな?

 と言うか魔法だからかな?氷菓にも転移を察知出来てるみたい。


 そんなおふざけも程々にして、早く外に出て敵の確認をしないと。

 念の為にトムヤムクンを先頭にしてテントを出ると、さっきの人の報告通り空には武装した集団が構えてる。

 様子を見ながら警戒してると、集団の中で一番強そうな気配を感じるのが少し前に出たかと思うと、隣の……多分この集団を転移させた魔法使いだと思う女の人が何かの魔法を使った。


『聴け。島に存在する全ての生命に告ぐ。我等は魔王軍第7軍、そしてこちらに居る方は我等第7軍団長、ブィディガ様だ!この島は既に我等が手中、大人しく開け渡せば命は保証しよう!』


 う、うわぁ……凄いテンプレな展開ですね。


『私が第7軍団長、ブィディガだ。些か面倒な虫が住み着いているみたいだが……』


 はぁ?面倒な虫とは私達の事を言っているのかな?

 あーあ、周りの皆は大激怒、私もラムネのことが無ければ今すぐにでもあの叔父さんの首を取りに行くんだけどね。

 だけどそれが相手の狙いだったのか、少しでも感情的になった思考は、確かな思考の隙を作った。

 完全に戦闘しないつもりでいたせいもあって、相手の初動に少し反応が遅れた。


『問題は無かろう……死になさい』


「!?」

「な、なんなの?」

「全員纏まれ!!死にたくなければ全力で対象しろ!!」


 この時一番早く敵の攻撃の対処に回ったのはやっぱりラムネだった。

 ラムネはフィロとシルヴィを連れてすぐにリズさんの守りに、氷菓は早々にトムヤムクンの影に、残りは私とビルド、それと拠点の人達。

 いくら私の敏捷性と広範囲をカバー出来るスキルがあっても全員は守れない。

 取り敢えずビルドの傍に行って、あとは申し訳ないけどお世話になったユウナさんやミュー、クレイさんの守りに徹しよう。


 それからは各々が、いつ止まるのかも分からない謎の斬撃の雨を捌き続ける。

 私もビルドと背中合わせに、ビルドでも捌けるくらいに迫る斬撃を相殺したら、後は自分やカバーしてる人達の周りにスキルで作った盾や剣を出してひたすら相殺と防御を続ける。

 何かのスキルか称号のお陰なのか、私はなんでか相手の攻撃が来る方向は何となくわかってるから、その分やりやすいのがまだ救いかな。


 それから暫く捌き続けて、ようやく斬撃の嵐は止んだ。


「(ふむ……まだ残っては居るが想定内か、しかし数人の強い魔力を感じる、この(スキル)では倒せんか)」

「ヴィディガ様。私はこれより目的の物を」

「ああ……場合によるが、あまり時間は貰えそうにない。急げ」

「は!」


 こんな強力なスキルあるんだ……ステータスはまだまだ縛ってあるけど、それでも対処するのに手一杯、ただ攻撃をして来た相手が動いてなかったのは、それに見合う何か、代償的なものがあったりするのかな。

 だけど今はそんな事よりも。


「全員!拠点の守りに。あいつは俺とシルヴィが相手する」

「大丈夫なのか?」

「ああ、それに今は拠点の方こそ守りが必要だ。そっちこそヘマするなよ」

「ははは!どれだけお前らの盾やってると思ってる」

「そうだったな」


 なんか2人で盛り上がってるけど、もう皆拠点の防衛準備始めてるよ。

 まぁ。普段好きにやらせてもらってる分、ここで少しは頑張りますか。


 それはそれとして、私はあっちの加勢に行った方がいいかもね。

 という事で今そこかしこから戦闘音がしている中、森の中を走り出す。

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