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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
44/111

第2回イベント5日目 後半

 自分の姉が申し訳なく思いながら、意外と知らないところで交流があったのか親しげにしてるビルドに、そろそろお昼だからって一緒にログアウトしようとしたその時だった。


「うわあああああぁぁぁぁぁ!!」

「だっ、誰か!助けてくれ!!」


 そう叫びながら、パーティーを組んでるだろう人達だと思うけど、数組のパーティーがこっちに向かって走ってきてる。


「リズさんあの人たちって……!?」


 今のリズさんは……結構怒ってると思う、だって前見た時よりも真顔なんだもん、膝に頭を乗せてるビルドなんて手が触れてて変に離れられないからその場で固まってるもん、なんかこっち向いてるけど……ごめんね、流石に無理だよ。

 まぁこのままいても仕方ないからね、ただ……。


「ねぇラムネ」

「ああ……少し異常だな」


 今走ってきてる人達を追いかけてきてるモンスター、厄介事には間違いないんだけど、それが少し異常、それもここ数日から薄々思ってたこと、それが明らかな形で現れたんだ、これじゃあいやでもわかるよ。


「すみませんリズさん、その話はあとです、今はあいつら追いかけて来てる奴を何とかしないと」

「そうね……はぁ~、ごめんなさい、それじゃあ全員で早く終わらせましょう」

「それなら俺らだけで大丈夫ですよ、それよりもいつらをしっかり抑えといてください」

「わかったけど、大丈夫なの?さっきから難しい顔してるけど」

「それは大丈夫です、ただ少し面倒な事になって来たってだけなんで」

「その面倒な事ってーー」

「後で話します、それよりもお願いしますね」


 ラムネが言い終わるのと当時に、敵が木の間から見え始めた。

 見た目で言えばどこにでもいる普通のトカゲみたいだけど、大きさはそこらの木なんかよりも全然大きいかも、それから身体の至る所に岩のようなものがびっしり付いていて、木に当たっても傷一つないのを見ると相当硬いみたいだけど、私の鷹の目はしっかりと見ている。


「ビルド、あいつが森から出てきたら、あいつの下に転移させるから、お腹を全力で殴りつけて」

「んんん……見えないぞ?」

「少ししたら来るよ」

「んん、わかった!」


 そろそろ皆の察知範囲にも入るだろうから、そこはわかると思う。

 攻撃はビルドだけに任せて、私達はその間になにかしてこないかの警戒、任せて貰ったからにはしっかりやらないとね。


「そろそろ構えていいよ」

「おう!」


『グルルルルルルアアァァァァ!!』


 雄叫びと一緒に飛び出してきたモンスター、それじゃあやりますか、私はビルドと軽く目を合わせて合図をしてから、一瞬でモンスターの懐まで転移させる。


「せええぇぇえええやあぁぁぁぁ!!」

『グゥッ………!?』


 ビルドに全力で殴られたトカゲは、そのまま数十メートル打ち上げられて苦しそうな声を出してる。

 このまま落としてもビルドにまた殴られるだけの完全なはめ殺しだけど、身体中にある岩も警戒しないといけないからね。

 ようやく落下し始めたトカゲに向かって、魔魂装で作った巨大な鎖を伸ばして、ひっくり返してから地面に拘束、口も何かあると面倒だからしっかり拘束、これで動けなくなった相手を一方的に攻撃するだけ。


「それじゃあ、後はよろしく」

「本当ならもっと普通にやりたかったんだけどな、他の人に被害出ると怒られるから仕方ないか、それじゃあ」

『グルルルウゥゥゥ……』



 ビルドの口元が三日月みたいに避けた瞬間のトカゲから聞こえた声が、何か諦めたのうに聞こえたのは多分私だけじゃないと思う。

 それから数分後、あまり目立った外傷はないけど、完全に動かなくなった死体が出来上がった。


 せっかくだから解体してみると、どうやらこのトカゲも竜みたいで結構いい素材が取れた。

 これは後でトムヤムクンにでも渡して、ミューに依頼だね。


「終わったみたいね」

「まぁほとんどビルド1人で終わったけどな」

「リズさんの方はどうだったの」

「バッチリよ、この後色々聞くところだから、お昼食べてからもう一度来てくれないかしら」

「わかった、俺らの方からも一つ情報……というよりも確認しときたいことがあるから、また戻ってきたらその時に」


 そう言って一旦お昼のために全員がログアウト、ベッドから起きてそのままリビングに行くと、なんでか母さんの膝に頭を乗せてすすり泣くお父さんと、それを慰めてる母さん。


「何この状況」


 と言うか何このデジャブ……。


「ほら、すぐに来たでしょ」

「あ、あぁ……」

「お父さんどうしたの?」

「ふふふ、2人がしばらく待っても降りてこないから、お父さんが娘が反抗期だ〜って言ってたの」

「あぁ、なるほど」

「お母さんお腹空いたー!てお父さんなんで泣いてるんだ?」

「な、なんでもないんだよ、気にしなくていいんだ」


 お昼はチャーハンだったんだけど、なんでかそれをお父さんの膝に座って食べることになった。

 別にそんな事しなくても、お父さんのことは嫌いにならないじゃないよ。

 まぁ、やってることはお父さんがただやりたいってだけだろうから、何か言っても変わらないか。

 私とビルドがもう一度ログインすると、珍しくトムヤムクンがまだだった。


「すまねぇ、ついでに風呂に入ってきた」

「やっぱりな」

「別に時間は決めてないし大丈夫だと思うぞ」

「皆揃ったみたいね」

「ちょうどな」


 タイミングバッチリ、丁度よくリズさんが来て案内してくれる。

 幾つか建ててあるテントの中に入ると、さっきの人達がいた。


「お?お前ら久しぶりだな」

「クレイさん」

「クレイいたんだね」

「酷くねぇか!?それにお前ら、ミューって子から聞いたが俺がいながら他の鍛冶屋に仕事頼むなんて」

「実力が下なのも事実なんだから仕方ないでしょ、悔しいならもっと頑張る。それと今から大事な話だから静かにしてね」


 容赦のないリズさんの言葉を受けて小さくなるクレイさんだけど、それを気にせず話し合いの席に座るリズさんもブレないねぇ……。

 何人かいない人もいるけど、多分私達と一緒でお昼を済ましてるんだと思う。


「それで、あなた達は攻略組のメンバーね」

「ああ、そうだ」


 思ってたよりもあっさり認めるんだね、だけどリズさんに聞かれた途端に、なにか思い出したみたいに下を向いてる。

 その後の話も聞いてくとどうやら攻略組の人達は、ある一定の場所を占領してるみたいで、そのある場所に前回トムヤムクンが見つけたモンスターを引き寄せるトラップがあるらしくて、それでイベントポイントを荒稼ぎしてるらしい。

 だけど日に日に強さを増してくモンスターについていけなくなったこの人達みたいな人は、直ぐにその場から外されるらしくて、その後仕方なく森を探索してたところにさっきのトカゲに見つかったらしい。


「元々攻略組の奴らについてた俺らが言っていい事じゃないかもしんないが、ここに置いてくれないか、この通り」


 そう1人の男の人が代表して言うと、その他の人達も同じように頭を下げ始める。


「こっちとしては構わない、けど元々向こうについてた上に面倒事まで持ち込んだ、今回は心強い協力者が居て何事も無かったけど、この拠点にいる人達の反応は予想できる、それでもいいかしら」

「それでも構わない、どの道残りの2日を俺達だけじゃ生きられない、本当に申し訳ない」


 そう何度も頭を下げるのを前に、リズさんはため息を一つして気持ちを切り替える。


「それで?ラムネくんの確認したいことって何かな?」

「あぁ、それならそこの人がさっき言ってたモンスターが日に日に強くなってるってことについて、実際に俺らが感じてることがいくつかあって、1つが今言った強くなってるモンスター、2つ目が自然にある魔素の変化、最後に3つ目、これが一番見てわかりやすいと思うが、強くなったモンスターの体の一部が少し黒ずんでるんだ」

「なるほどね」


 それから1人思考に集中しだすリズさん、多分ここの人達のことを考えてるんだと思うけど、これからどうなるかなんて実際は分からないしね。


「わかったわ、こっちでもなにか出来ないか話してみる、後は拠点を本格的に作り始めないと行けないかもしれない………」


 また1人考え始めたリズさんに一言残してからテントを出た後は、情報集めも含めてモンスターを狩っていく。

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