危ない魔法使い
少し暇になって、仕方ないから街中まで戻ってリズさんに会いに行ってみることにした。
「あのねぇ、貴女が暇でも私は忙しかったりするのよ?」
「でもお店暇でしたよね」
「うっ……まっ、まだ人が少ないだけよ?」
どうして疑問形?
それとそうは言っているけど実際の現状は人があまりいないのも事実だ、おっと、リズさんの目が光を失いかけてるからこれ以上はやめておこう。
そもそもリズさんは見た目は私達より少し年上に見えるけど、学校があるなら商人がやりたかったんじゃなくて、商売がやりたかったのかな?
そして私はさっきの狩で手に入れた素材を売りながら、今日あった事を話してみる、するとリズさんは初めは驚いて、その後は何故か呆れられた。
「あのねぇライムちゃん、貴女がした事は凄いことなんだけど、多分それは本来魔法職の人が取るはずのものなのよ」
「へぇ〜」
「あぁ…わかってないわねこれは」
それから少し説明されてようやくわかった。
そもそもこれが本来は魔法職の人が取るはずのものって言うのは私にだってわかっている、じゃあ何がわかってないかと言えば、私は攻略サイトは見るが掲示板は余り見ない側の人間で、問題はその掲示板に集まっているプレイヤーなんかの攻略組が必死にレベルを上げてスキルポイントを貯めているところに今回のことである。
確かに先行版と言ってもまだ1週間の差、それだけの時間でレベルを18も上げてスキルポイントを集めるのは大変だろう。
しかしそんなのを一々気にしてはゲームは出来ないので気にはしない。
今日はどこかに行ってるビルドを待ってる以外にやる事もないし、そろそろログアウトする。
翌日学校に行くと、朝の時間に私の友達の瑠璃から今日からゲームに参加できると言われたので、放課後はゲーム内で待ち合わせをした。
「それじゃあゲームでねぇ」
「わかったから大丈夫だって」
「いや柚葉の場合約束して寝てるから、前科あるからね?」
生憎と私の低スペック脳は3度寝ると重要なこと以外まるまる忘れてしまうためそんな私は記憶にはない。
そんなわけで人を置いてったうえにお使い擦り付けた姉は置いといて、早く帰ってお風呂とご飯済ませなきゃ。
しかしいろいろとやっていたら時間が大変なことになってしまったな。
待っているとは言ったけど少し遅くなってしまい、急いでログインする。
するとやっぱり先に来ていたようで目の前には顔に面影のある瑠璃の姿が。
「遅くなった」
「まぁ来ないよりはマシだよ、それに大して時間も経ってないし」
「それで?何処か行ってみたいとかある?」
それで魔法系で何かと言われたんだけど、流石に私の分野外なのでリズさんのところに顔を見せる意味も含めて行ってみることに。
「へぇ、ライムちゃんのゲーム友達」
「小さい時からの腐れ縁です、因みに後でまた2人ほど連れてきます」
「腐れ縁てそんな歳じゃないでしょうに、えっと氷菓って言います」
「あらぁ、礼儀正しいわね」
「まるで誰かが礼儀正しくないような言い方ですね」
「事実よー」
リズさんが何か酷いことを言ってる、それならこっちにも考えがあります。
早速私は氷菓のローブでも掴んでいじけてますか。
「なぁライムよ……袖が伸びるからやめてー!」
「えっと冗談だからやめてあげて?」
2人がそこまで言うなら仕方ないです。
そういえば聞いてなかったけど、ゲーム内の名前氷菓って言うんだ。
そしてリズさんよ……。
「氷菓を常識に当てはめるには少し難しいですよ」
「え?」
「酷いなライム、私がやるゲームに爆発物があるのが悪い」
いきなりな会話に話についていけないリズさんに、説明のためにこれまでやってきたゲームの話を、一部だけ掻い摘んで説明した。
結果としては氷菓を危ないやつ、私達を苦労人という認識になった模様。
「ちょっと待って!?なんか誤解がないか?確かに爆発物は仕掛けたけど皆がそれで死んだことそんなにないよ?」
「結果と内容がどうあれ、デスペナで色々ロストしたこともあったんです反省しろ」
「はっはっはっ、だが断る!爆弾魔をやめたら私に何が残ると思っているの」
「お、ライム達みっけー!」
場が少し騒がしくなったためリズさんに叩き出されたので、ビルドの提案で街の外でモンスターを狩ることに。
「魔力弾」
「魔法が使えないうちは杖のスキルしかないって不憫だな」
「下積みも大切」
「それはいいんだけどね…………少しは前衛してくれない!?なんで一人一人で狩りしてるの?パーティー組んでるよね?」
何を言っているんだこの爆弾魔は、これはこれで理にかなっているつもりだけど。
今私達がやっているのは出来るだけ広い範囲を一人一人で潰しているのだ、危険が増す分実入りもいい。
「全く、魔力が底尽きるっての」
「他のゲームで杖の使い方は教えたから、さっきのリズさんから貰った長杖使ったらどうですか?『エアバレット』」
「そうするしないかってぇ、何魔法使いよりも先に魔法使ってくれてんのおい」
仕方が無い、基本とはいえ4属性をたくみに操る近接魔法使いは魅力的だったのだから。
「その顔だとなんも考えてなさそうだからもういいや」
「それはそれとして、明日はどうする?」
実はゲームにログインする前に連絡が来ていて、愁と健二も親から許可が出たから明日から参加できるとのこと。
「フルメンバーー!楽しみだなぁ!」
「爆魔法ってないかな」
「物騒だけど手伝いますよ」
『暗殺のレベルが5に到達しました。スキル【静かな者】を取得しました。』
『暗殺のレベルが10に到達しました。スキル【見えぬ者】を取得しました。』
『風魔法のレベルが5に到達しました。風魔法【エアカッター】を取得しました。』
『土魔法のレベルが5に到達しました。土魔法【ストーンニードル】を取得しました。』
『光魔法のレベルが5に到達しました。光魔法【プチヒール】を取得しました。』
結局いつも通りになって、いい感じにレベル上げを進めていったあとは、魔法の習得のためにはどうしたらいいか、こんな時はということでリズ○もんのところに来たわけだ。
「私はどこぞの猫型ロボットか!」
「はっははは!リズ、お前いつの間に保護者にでもなったんだ?」
「リズさん誰ですか?」
私がリズさんの店の裏から出てきた男性について聞くと、どうやら彼はベータ版からのリズさんとの付き合いらしく、今回は素材などを仕入れるのと、リズさんは何か情報を貰いながら話していたそうだ。
やっぱりベータ版のプレイヤーはある程度互いに顔見知りなのかな?
「まずは自己紹介だな、俺はクレイ!鍛冶だけしか脳のないただのプレイヤーだ、よろしく!」
「私はライムです」
「私はビルド!」
「氷菓」
「2人は知ってる、名前は知らなかったが始まりの街付近の平原でモンスターを蹂躙しているプレイヤーがいるってので噂になってるぞ?あとはそっちの魔女っ子は新顔だな」
随分と失礼な事を言いますね、私はビルドと違って何もしていませんよ、ただ草むらに隠れるもふもふをサーチアンドハグしてからの苦しまないように急所を狙っているだけです。
あれ、改めて思うと結構酷いかも?でも倒さないとレベルも素材も集まらないしこれは仕方の無い犠牲です。
「それでライムちゃん達はなんの用なの?」
「用があるのは私です、実は魔法関係で何処かで調べられないかなと」
「あぁなるほどね、おすすめはしないけど図書館なんてのもあるわよ」
「へぇ」
「なんでライムちゃんが知らないのかしら?」
仕方が無い私の低スペ…以下略、という訳でそんな情報覚えていない、と言うよりも消える前に思い出せた。
しかしおすすめはしなとはどういう事なんだろうか、聞いてみると文字が全く読めないそうで、最前線で攻略を頑張ってる人や、一部の研究熱心なプレイヤーが団結して解読に励んでいるとの事。
「流石に本の文字が読めないとかあるんですか?」
「それは私達も思ったから、何かないかクエストを探しているのよ」
ふむ、これは私達も探してみる必要があるかもしれないですね。
仕方ないので各自探すことにした。
結果当然かもだけど何も見つからなかったから今日はログアウトすることにした。
名前 ライム 短剣使い Lv5→9
生命15→19
魔力50→58
筋力15→19
防御15→19
敏捷25→33
器用165→173
スキル
短剣Lv12→18、暗殺Lv8→13、気配察知Lv5→14、料理Lv1、裁縫Lv1、掃除Lv1、錬金Lv1、火魔法Lv1→4、水魔法Lv1→4、風魔法Lv1→5、土魔法Lv1→6、光魔法Lv1→5、闇魔法Lv1→2