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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
37/111

第2回イベント1日目 前半

 揃ってるのはいいけどどこに行くべか、話しているといつからか後ろにひとつだけモンスターの気配がある。


「「……」」


 気配察知も魔力察知も持ってないフィロさんはいきなり同じ方向を見つめる私達を不思議に思ってる。

 そして私達も少し戸惑ってる、そこに反応はあるのに敵の姿がない。


「!?……下!」


 氷菓の警告に全員がその場から一気に離れると、地面からいきなり無数の根っこみたいな物がせり出てきて、氷菓が言わなきゃ始まってそうそうに全員が1回死んでる。


「なんだ?こいつ」

「多分トレントだと思う」

「トレント……じゃあ」


 イベント前は見た事もなかったし、多分今回のイベント限定か今後追加される予定のモンスターなんだと思う。

 結構誰でも知ってそうなモンスターだったし、名前が分かればほとんどの人が予想できると思う、それにトレントってことは今の状況からしてあの木だよね。

 私は魔魂装で槍を作ったらそれに火属性の魔力を付与して、探知スキルの反応と一致する木に向けて投擲する。


『グギャアアアアア!!』


 だよね、正体が分かれば後はもうただの的、全員でフルボッコにしてポイントゲット。


 全員でポイントを美味しく頂いたところで、一旦話題をリズさん達に変える。


「そんでリズさん達との合流の話なんだが……どうだ?ライム」

「無理」


 試しに探知系のスキルを使ってみたけど、性能が良くなった分探知に引っかかるプレイヤーの数が多くなりすぎてる。

 おまけに前もって分かりやすく登録してたリズさんの反応が見つからない、多分イベント開始時に運営にリセットされたんだと思うけど、これじゃあ探し出すのは無理。


 一応今持ってるスキル的には、この島の大きさなら全体の2分の1は探知できるだろうし、そうでなくても一方向に集中すれば自分を中心から、自分の意識する先を探知できるって最近わかってあまり問題もないって思ってたけど、予想外は付き物かな。


「特になんか集合場所とかないからなぁ」

「じゃあできるだけ高いとこ、俺が見つけた小屋まで行くか?」

「そうするか」

「確認してみたら察知系のマーカーは兎も角、フレンドのチャットと通話は使えるみたいだし、何かあったらその時向かう、俺らは俺らで探索しようか」


 ということで移動開始。

 しばらく歩き続けても、出てくるモンスターは前の探索の時と変わってない、たまに来る新しいモンスターのスキルに注意しつつ、警戒を続けながら進んでいくと、また前回はいなかったと思うモンスター。


『ギャアアアアァァァアア!』

「ジュラ○ックパーク?」

「いやこっち来てるから!」

「あれ一応地竜らしい」


 こっちに来てるかなんてそりゃ見ればわかるよ、タイミングを測っておなじみ魔魂装で作った巨大ハンマーを迫る地竜のお腹にドーンと当ててみる。

 流石は地竜いい音するね、ただ今の私の攻撃に耐えられるって事が気になって後で調べると、地竜は竜固有のスキルで物理魔法のダメージを半減する【竜鱗】ってスキルと、これまた地竜固有の加護で生命力を1だけ残して耐える【地龍の加護】ってものを持ってるらしい、地竜恐るべし


『ギ……ギュウウゥゥウ……』

「痛そうだね」

「いややったのライムだからね!」

「でも地竜だからかな、やぱり硬いね」

「むふぅ……!!」


 後ろからすごいやりたそうな視線を感じるから、とりあえず無言でゴーサインを出す。


「イッパーツ!!」


 ビルドが放った一撃は、残り生命力を1だけ残している地竜だけど、やっぱり本来なら一撃で終わるはずだったのか、お腹を痛そうに抱えて丸くなってるそのみぞおちに入っていき、最後には疲れ果てたような雰囲気を出す地竜がゆっくり地面に倒れた。


 うわぁ……地竜の方はわかるけどなんでそれとぶつかったビルドの拳から火花が散るんだろ。


「よしっ!」


 まぁ経験値も沢山貰えたし別にいいかな、しばらく進むとラムネが言ってたすごく長い洞窟に当たった。


「ここも一応来たことのある場所だが何が変わってるか分からないから慎重にな」


 迂回路とかがないのか聞いたけど、どうやら大きな窪みに巨大な岩が落ちたような地形になってるらしくて、目的の場所がその上にあるからそもそも迂回路がないらしい、と言うかこの洞窟の出口もよくそっちに繋がってるね。

 この洞窟を通らないとどうなるかについては、本人曰くそこの見えない滝に突っ込んで更にそこから這い上がってくることになるとのこと。

 あ……それならいいです。

 魔魂装を使えば行けるかなって思ったけど、今度限界とか調べてないしやめとく、それは崖を登る時にでも試してみればいいだろうしね。


「止まれ」

「「……」」


 これはまた結構な数がいるみたいだね。

 よく目をこらすと、洞窟内でも不自然に光る瞳が天井をおおっているのが肉眼でもわかる。


「来るぞ」


 そうラムネが言った後、いっせいに飛びかかってきたのは、翼を広げても手のひらほどしかない小さなコウモリだった。

 そして始まった乱心はラムネがフィロさんを背に360度完璧に捌いてる……怖、氷菓はトムヤムクンを盾にしながら魔法の準備、私とビルドは出来るだけ密集してるコウモリを処理していく。


「おまたせぇ〜、もういいよ〜『ファイヤーウェーブ』」


 倒しても次々奥から湧いてくるコウモリに、詠唱が終わった氷菓の魔法で綺麗に殲滅されて終わった。


「こんなに簡単に殲滅できるならもっと早くにやって欲しかったよ」

「敵の情報も必要かなって思ったからね、それに魔法の詠唱って破棄出来ないんだよね、何かそれ系のスキルってあるのかな?」

「(あぁ絶対にわざとなやつだ……)」


 詠唱が破棄出来ないのは本当の話なんだろうけど、魔法を発動したタイミングはこの反応は絶対にわざとだね、正直今に始まったことじゃないし別にいいけどさ、ただ最前線で防御頑張ってたトムヤムクンがすごい噛まれてるよ。

 解体の時にアイテムの名前を見ると、どうやら今のモンスターは吸血コウモリらしくて、道理で特攻ばかりしてくるはずだよ。

 おかげでトムヤムクンは絶賛吐き気の状態異常にかかってます。

 状態異常無効取っといて良かった、まあ触れられてすらいないけど……あっ吐くなら死んでから初期リスでね。


「なんか今すごい辛辣なこと言われた気がウッ……」

「だっ、大丈夫ですか!?」

「吐き気がつらすぎてとうとう幻聴まで聞こえたのか?あとフィロが回復させてるんだ大人しくしてろ」

「最近のラムネ、フィロさんが絡むとすごい辛辣だね」

「まあいつもの親属性が発動してるんでしょ」

「なはははは!!」

「おいそこ3人組斬られたいのか?」


 しばらくしてトムヤムクンの状態異常も回復したから再び出発、変わっていても何も知らないよりはマシかと思ってこの洞窟について聞くと兎に角左に右に、そして何よりひたすら下にと下がった後に今度はひたすら登るだけ、そもそも前回はモンスターの影すらなかったらしい。


「そういえば前回の報酬の事なんですけど、まだ魔族が出たとかないと思うんですけど、やっぱり今回のボスなんですかね」

「あぁ……そういえば完全に忘れてた」


 確かに前回のポイントの報酬で貰ったアイテムはどれも魔族また魔の者なんかに特攻や耐性を付ける物ばかり、だけど今回まだ全くそれらしい敵とは会ってない、それが今回普通のモブじゃない場合、もしくは夜に何かしらのイベントがあって来るのか、もしくは今回のイベントに魔に属するボスがいるのかって話はさんざんしたんだけど。


「てかまだしたつかないのか?」

「確かに結構下ったと思うけど」

「前回と変わんないならもうすぐなんだが」


 すると目の前に壁が薄く発光する鍾乳洞が見えてきた。

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