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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
35/111

その頃の運営

 今日この日、今までの苦労が報われようとしていた。


『それでは続いてのニュースです。本日、世界初の五感を完全再現したフルダイブ型のVRゲーム機、そしてそれに対応したソフト「Another Life」の発売に、日本各地では今、大行列ができています。』

『いやぁーついに発売しましたね、実は私も息子と2人で予約してるんですよ』

『そうなんですね』


 朝、とても静かなオフィスで流れたニュースに、その瞬間ーー


「やった……やりましたねリーダー!」

「ああ!俺達の作ったゲームが……ついにぃぃッ……発売したぞ!!」

「「おおおおおおぉぉぉぉ!!」」


 社内の窓ガラスが割れるんじゃないかと言うくらいの雄叫びが響いたとか。



 さらにしばらくすれば、攻略に積極的な前線のプレイヤー達、また彼らをサポートしている職人達、その中でもゲームの正式サービス開始から、ただの1度も死ぬことなく、連戦連勝を貫き通すただ1人のみが許される座、この【AL】の世界において、トッププレイヤーと他のプレイヤーから認められる者、そして最近目に付いた新人5人組。


「いやぁ〜、今日も居るっすねぇフロストくん」

「ははは!あの子は僕達の作った……いや、僕達が手を加えた世界を十分に楽しんでくれているってことさ!」

「そういえばリーダー、この前面白そうな子達がいるーとか言ってなかったですか?」

「ああ、彼ら?うん、なかなかに見ていて飽きない子達だよ、なんせ全員で個性が強い!オマケに戦闘スタイルもバラバラだから、こうも上手く連携が取れてるのは、見てて楽しくなるんだよ」

「金塚さん本当に筋金入りのゲームオタクですよね」

「ちげぇーねぇや!」

「「わはははははは!」」

「あらぁ?なんでだろう、同じチームの仲間から変に暖かい視線を感じるぞ?」


 上司部下の関係なんて気にしない、ここにいるのはそんな仲間(やつ)らだけ、そんな社内は明るく、サーバーの管理の合間、プレイヤー達のログを見ては、この子はどうだ、こんな子もいるぞと今日も賑やかな運営達。


 そしてある日の夜中、運営内は少し荒れていた。


「金塚くん?」

「は、はい!」

「なんで私が怒ってるか、わかってるかしら?」

「は、ははは……済まなぃ、何が何だか」


 そこには上司を正座させて怒る部下がいた。


「金塚さん何したんすか?」

「いやさっぱり……」

「あら、あなたも一緒になってもいいのよ?清水くん」

「え?」


 本当に分からないという顔をする上司と同僚に、流石に我慢の限界が、そして室内のはずが、何故かその時は雷雲の音が、そしてその雷は正確に2人に落とされた。


「ふふふ……分からない?ふざけんじゃないわよ!あんたらが採用した称号のせいでサーバー内にバケモンがばっこしてるんじゃねぇか!」

「あらぁ、これは麗奈ちゃん本気で怒ってるわね」

「まぁ、元がゲーマーですからね」

「ちょお!?先輩達助けーー」

「まぁ〜だ話は終わってないわよ?」

「ヒッ!?」

「清水くん……諦めるんだ……」

「リ、リーダー……」


 今回は、ライムが手に入れた性能のおかしい称号のことで特大の雷が落とされる室内、我関せずと自分の作業を進める2人と、関係ないとわかっていても、どうしても怒った時の同僚が怖く、作業中の2人のそばに資料を持って作業する後輩と、温度差の激しい運営達だった。


 そして迎えた初のイベント、そしてこの後に控える本当のイベントへ備えるためでもある今回の探索イベントに、2日間と短い期間ではあるがプレイヤー達は望むところと言うように燃えている。


「初のイベントっすけど、結構な数のプレイヤーが参加してくれてますね」

「そうね、これなら本イベントにも問題はなさそうね」

「それじちゃあ金ちゃん頑張って」

「高梨さんその呼び方は……まぁいいか、それじゃあ行ってくる」

「初めてのイベントなんです、頑張ってきてください」

「おう!」


 こうして始まった2日間の小規模イベント、このイベント中の運営は各サーバーの状況の観察以外に特にやるべきことも無く、イベント終了まではあっという間だった。


 それと今回のイベントでステータスが異常に高くなったプレイヤーはライム達だけじゃなかったりもする。


 そして迎える2回目のそして本番のイベント、このイベント開催の前、すごい剣幕でイベントの報酬一覧を確認していた部下が1人いたりしたのだが、あまりの数に途中で断念、イベントの運営のために、そっちに意識を切り替えてパソコンとにらめっこを始める。


「さて、なんと言うご都合的タイミングか、完成してしまったね」

「あのぉ金塚さん、これほんとに大丈夫なんすか?」

「データ上は問題ないよ」

「まぁ、全プレイヤーをひとつのサーバーに移すのは結構大変よね」

「はは、もしもの対策はしておくさ」


 この後の運営による程度のルール説明が終わり、その運営からのいきなりの発表に心配に思う者もいれば、よりやる気になる者もいる。

 そして今回、このゲームのサービス開始後初の大規模なイベントが始まった。

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