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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
21/111

生産は大変

 さっきの攻撃で完全に退路は塞がれちゃった。

 それに戦う以外の選択肢もなさそうだね、まあないならないで、死ぬよりも先に倒せばいい。

 いつもは武器しか作ってない魔魂装も、今回は防具も作ってフル装備、それでも動きを邪魔しないための最低限度、肘から先と膝から下を覆うように纏ったもの、あとは胸当てにさっき使った四角い片手剣と盾を装備したけど、それでも動けるのは、自分で作った武器の重さを変えて限りなくゼロに近くしてるから。


「本当に便利なスキルですね」


 攻撃を避けながらも武器防具を作って準備ができたから、今度はこっちから攻撃を加えるけど、案の定私の筋力じゃまともなダメージは入らない、入っても少し凹むだけ。


 うん、この細腕でどうやって金属凹ませてるんだろ、ああ、そう言えば私のステータスって人間やめてるんだった。


「あははは……」


 こうなったらもう手数で勝負、多少の魔力消費は覚悟して空中に片手剣の刃だけを出して削りきるつもりで攻め続ける。


 数十分間も攻め続ければ、流石に効いたみたいでさらに続けていると身体の真ん中に紫色の石が出てきた。

 多分あれが弱点なんだと思う。

 もうこれ以上の持久戦は出来ないと言うか面倒だからしたくない、そこに向かって一斉に攻撃を加えると、ゴーレムはあっさり倒せた。

 長かった戦闘も終わって解体すると、今にピッタリな物が出てきた。



魔鉱石 レア度5 鉱石 品質A

長い間鉱石などが魔力に晒された結果、性質の変化した鉱石。魔力への適性が高く、武器に使えば強力な魔法攻撃、防具に使えば高い魔力耐性の上昇効果が得られる。


純魔鉱ゴーレムの高純度魔核 レア度7 素材 品質A

強力な魔力に長い間晒され続けたゴーレムが変質し、そこからさらに長い年月をかけて生成される貴重な魔核。普通のゴーレムの魔核と違い、その魔核は自ら魔力を生み出すため加工することで魔力回復力の上昇、魔力の自動回復の補助が付く。



 うん、魔鉱ゴーレム最高です!苦労に見合うだけの報酬は貰えました。

 あとはこれを使って制作するだけです。

 細かいやり方なんて分からないから、また家事ギルドのお姉さんと錬金ギルドのお婆ちゃんに聞きに行かないと。


 私はやっと始まる、初めての生産活動を目前にすっかり自重を忘れ全力疾走で街まで戻って行った。

 途中すれ違ったプレイヤー達は驚き、後に掲示板で「音速並で走るモンスターを見た」だとか「超高速で走る銀髪ロリ現る」だとかすごい盛り上がったらしい。

 後でリズさんから聞いて知った私は、今度から暗殺スキルを使って隠蔽して全力疾走することを1人心に止めておいた。


 街に戻った私は、まずは材料を揃えなきゃ行けないから、錬金ギルドに来ています。


「ほう、金属を服に使えるようにしたいと?」

「はい、でもどうしたらいいか」

「あんた錬金スキルのレベルは?」

「ええっと……今は28です」

「それならもうすぐさ、レベルが30なったらスキルが増える、少し裏で作業でも手伝っていきな」


 という訳で簡単なポーションの調合をお手伝いしてると、すぐに必要なレベルに上がった。


『錬金のスキルレベルが30になりました、スキル錬金に【形状操作】【性質付与】が追加されました』


 お?このスキルかな、見てみると形状操作は名前通り物の形を変えるための物で、もう片方の性質付与はどうやら今回私が欲しかった素材を作るのに必要なもう1つのスキルみたい。


「驚いたねぇ、あんた随分とスキルの成長が早いんじゃないか?」

「あぁ、それが実はいくつか称号をもらって、それの効果で少し」

「ハッハッハ!これはますます将来が楽しみだよ」


 師弟って言うよりももう完全に孫みたいな感じになってると思ってしまったのは私だけ?

 だけどその認識は間違ってないみたいで、今からやりたい作業で過去の人達の失敗談だとかいろいろと話してくれる。

 それはもうお爺ちゃんが昔の事を孫に自慢するみたいに延々と。


 でも私の祖父母は片方は海外、片方は完全に山の中、凄い両極端だからどちらも行くに行けないし、行かなくても年に数回は会いに来る、そしてどちらも私とビルドに凄く甘い、だから私達は自分ではなく祖父達が満足するまで甘えるだげ、たまにやり過ぎで祖母達に怒られる姿を見ながら楽しくしてて、目の前のお婆ちゃんはまさにそんな祖父達と同じ雰囲気を感じる。


 そのあと使い方を教えて貰って、普通の鉄鉱石で試した後に本番で魔鉱石を加工していく。

 加工の終わった魔鉱石は本当に数ミリとは思えない程硬くて、とても素材としては使えそうになかった。

 そこで使うのがもう片方の性質付与、これは使った素材と素材を合成して片方の性質を片方に移すスキルみたい。

 付与作業が終わってから触れる魔鉱石の糸は、糸と同じくらいに柔らかいのに鉱石の性質はそのままでとても硬かった、さらに驚いたのは、合成前よりも軽くなっているところ、どうなってるのか驚きながらお婆ちゃんに聞くと。


 性質付与はただ単にもの同士の性質をくっつけるだけじゃなくて、くっつける際にどちらの見た目、どちらの性質、どちらの重量、その他にも細かく選んで合成が出来るらしくて、説明をしてる本人は話に聞き入る私を見て凄い楽しそう。

 その後も少しずつ調整を加えて、満足のできる仕上がりになった。


 教えて貰ったお礼を言って錬金ギルドを後にして、私は見えてきたメイド服作成のスタートラインに、ワクワクしながら家事ギルドに向かう。


 ギルドの中に入ると何時もの受付に言って声をかける。


「すみません、ギルドマスターさんっていますか?」

「あぁギルマスですね、それでは呼んで……」

「誰か私を読んだかしらぁ?」


 いつも通りの登場パターン、いつもこんな感じなのか受付の人もため息はいて諦めてる。


「あらぁ?ライムちゃんじゃないのぉ、今日はどうしたの?お姉さんに何かよう?」

「えっと生地の作り方が知りたくて」

「あら!ということは材料が集まったのね?」

「はい」

「もぅ!そういうことなら早く始めなきゃね!準備するから着いていらっしゃい」


 相変わらずくねくねしながら移動してるけど、ヒールを履いてるとは思えないくらい重心が安定してるんですよねこの人……。


「さぁライムちゃん!ここが貴女の自分だけの服を作る第1歩になる場所よ!」


 通された部屋には、日本人なら見ることはあるだろう機織り機が等間隔でびっしりと並んでる。


「さぁ、早速作って見ましょうか」


 ここで私は生地作りの大変さを知った、糸をセットしてくのはもちろんだけど、一回一回織っては確認の繰り返しで、集中する時間が長くて疲れた。


「さぁ!次はいよいよお洋服の制作に入るわよ!」


 材料に関してはこれで揃った、あとは作るだけ。自分のための装備だし気合いを入れないと。

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