報告と鉱石を求めて
イベントが始まってから既に数時間、お昼に休憩を挟みながらも探索をしていた結果、一日目で探索しつくしてしまった。
2日目はどう行動するかの相談や、探索でそれぞれが手に入れた情報を共有するために皆でリズさんのお店に集合になった。
「それじゃあ今日の探索について皆で報告ね、まず私と氷菓ちゃんは途中で合流したんだけど、その後に誰もいなくなった村を見つけたの」
「それで石碑みたいなのを見つけたんだけどね、そこに書いてあったことに今のイベントの後に出てくるだろうボスの情報みたいなのがあったんだよ」
そこからリズさんと氷菓は村の様子とその石碑に書かれた内容を話していく。
「それって前に象から聞いた話と似てる?」
「「あ!」」
「なんだ?皆して変な声出して」
あの時の一緒に来てなかったクレイさんさんは知らないだろうけど、その他の全員は私の言葉に対して確かにと頷いてる。
「でも、空からと地の外っていまいち合わない?」
「でも可能性の1つとしてはいいんじゃない?」
「でもどちらにせよ彼は戦ってはくれなさそうね」
結局ヒントを貰ったからって一緒に何をするでもないわけで、これ以上の考察はしないことにした。
「じゃあ次は俺だな、実はすごい立地の悪い家を見つけたんだけど、そこに手紙が置いてあって、リズさんの話と合わせるとその石碑のやつが残したメッセージ的なものっぽいんだよ」
書かれた内容を聞くと、確かにメッセージみたいになってる。
「もしかしてその相棒ってのがあの象か?」
「それは違う」
「なんでライム知ってるんだ?」
「さぁ?でもあの子は違う」
そもそもあの象の事をさらにその上の人に聞いてるわけで、だけどそれを言ってもいいのか分からないから今の状況になってるというわけです。
じゃあ残りは私とトムヤムクンかな、ビルドは多分戦闘しかしてないだろうし。
「私は特に何も、あったのは海面に浮かぶ黒い小城くらい」
「いやあるのかよ」
だけどそれ以外ではモンスターを倒したぐらいで本当に何も見つけてない、その小城も結界みたいなののせいで入れなかったし。
そのあとはトムヤムクンから戦ったモンスターとその攻撃の種類とかの報告、それを聞き終わってリズさんがクレイさんに視線を向けると、クレイさんはその視線から逃れるみたいに背を向けた。
「あらクレイ?何か情報はなかったかしら?」
うわぁ……、リズさんすごい笑顔、目は笑ってないけど。凄まじい無言の圧力に耐えきれなくなったクレイさんは言い訳に入った。
「いや仕方なかったんだよ!俺の初期位置に羊が出待ちしてて、島に戻っても即死するんだよ!」
そういえばその羊私も見たけど、あの跳ねられてたプレイヤーの中にクレイさんいたのかな?
話し合いに戻って今度はこれから、イベント2日目をどうするかだけど、正直マップ探索は終わってる、リズさん達生産職は情報から1人での探索は難しそう、私達は今日だけでかなりモンスターの倒してる、結果明日の予定は各自自由行動で決まった。
会議のようなお昼休憩も終わったから、私はクレイさんに鉱山的な場所がないか聞いてみる。
「鉱山か……あるにはあるんだが、あそこはモンスターが強いんだ」
「いいですよ、試しに行くだけですから」
なんか凄く強いみたいだけど、宛が無いわけじゃないみたい。
鉱山の場所を教えてもらって、ギルドの道具屋でピッケルを買った、聞くとスキルがないと採掘が出来ないみたいだから、溜まったスキルポイントから1Pt消費して取得した。
『スキル 採掘 を取得しました』
すごい消費が少ないって思ったけど、元々採取採掘系のスキルは消費が少ないらしい、あとは職業とかの関係で消費ポイントが少なくなったりするらしい。
鉱山までの道はまだ普通で、今までも戦ってきた森のモンスターとの戦闘だけだった。
入口に着いても特にモンスターは出てこなくて、探索に入る前の準備のためなのか森を歩くよりも安全だった。
それじゃあ攻略を始めますかね、中はそこまで暗くなくてよく見ると岩の隙間から小さく光が漏れてる。
掘れないから洞窟内のオブジェクトになるのかな。
しばらく進むと、いかにもなゴーレムが出てきた。
ゴーレムだしやっぱり打撃とかよく効きそうだけど、あいにく私は打撃系のスキルを今は持ってない、だけど今の状態なら多分大丈夫だと思う。
午前中の探索でモンスターを倒す時に、魔魂装で作った武器を使いまくって、新しく作った武器の重量と大きさをいじれるようになった。
スキルとしてじゃないってことは、レベルが上がることに自然とやれることが増えるのかな?
「それじゃあ早速試してみよう」
まず武器は片手剣にした、そこから打撃力を上げるために形を刃の無い四角形の棒状に、丸と迷ったけど角に当てたらこっちの方が痛そうだからそうした。
早速殴ってみると思ってた以上に効果はあった。
しばらく殴り続けるとやっと倒すことが出来たけど、鉄を殴るのって結構時間かかるね。
これなら浮遊させてから操って殴る方が気持ち的にも楽になるし次からはそうしようかな。
ゴーレムを倒した地点から少し進むと、チラホラと採掘のできそうな場所が増えてきた。
「ふふふ、それじゃあ早速行きますか!」
ピッケルと岩がぶつかり合って洞窟の中で何回も反響してる。
鉄の他には火打石なんかがポロポロ出てきた。取れたアイテムはこんな感じ。
鉄鉱石 レア度3 鉱石 品質C
どこでも取れる至って普通の鉄鉱石、武器や防具などに多く使われ、家具や食器ととても身近な金属。
火打石の欠片 レア度1 鉱石 品質F
どこでも取れる至って普通の小石、錬金術で合成することで普通の火打石にしたり、粉末化で爆弾の材料などにも使うことの出来る、料理の際の火起こしなどによく使われている。
この前家事ギルドに行った時は普通にガスコンロ?みたいなのがあったから考えてなかったけど、確かにあれをどこの家庭にもってなると難しいよね。
すると奥から大きな足音後近づいて来て、ゆっくりそっちを振り向いたタイミングで、暗がりから大きな腕が伸びてきた。
洞窟内のあかりに照らされて全身が見えるようになって1つわかった、このゴーレム全身が金属でできてる。
これ倒せるかなぁ……。
どうするか悩んでいると、そんなのお構いないみたいでゴーレムが腕を振り上げてる。
「後ろに引いて躱せる攻撃じゃなさそうですね」
悩んでいたら間に合わない、私の勘が何故だか後ろへの回避をさせてくれない、勢いよく駆け出して足の間から背後に回る。
無理に下がって姿勢を崩すとあの重そうないちげきをもらう、なんだかんだで私まだ初期の装備そのまんまだったりするしね、なんて事をステータスで伸びたせいか思ったより余裕もあって、思考を切り替えて振り返ると丁度腕が地面とぶつかって、それで生まれた衝撃が洞窟内を振動させる。
今の当たってたら絶対死んでたよ。
さて、逃がしてはくれないだろうしどう倒したらいいのやら。




