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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
19/111

探索イベント開始

 忍者さんからの情報を頼りに山を疾走中、しばらくするとどこかから戦闘の音がしてる。

 どこだろ、少し集中しようとしたら、上からプレイヤーが落ちてきた。

 おおお、綺麗に地面に刺さってる。

 こんなギャグ漫画みたいなことをやってる犯人を探すと、奥の茂みから羊が出てきた。


「あ、見つけた」

「メエエ!!」


 なんかすごい興奮してるね、この人達吹っ飛ばしたのってこの羊かな。

 少し見つめあってると、先に羊が突っ込んで来た。

 そこからは結構一方的で、羊の頭突きを躱しながら、スキルで作った極細のレイピアで心臓をついては離れるの繰り返し。それをしばらく繰り返すと心臓の圧力で勝手に大量出血で倒れた。

 うん、これなら素材の品質は良くなるかな。

 解体の結果はこちら。



山羊の羊毛 レア度3 素材 品質A

山の中に住む羊から取れる羊毛、身体能力も高く危険な山に好んで住むため、その羊毛はしなやかだが、そこらの刃物では傷つかない。



 結構いい素材が手に入った。素材を傷付けたくなくてレイピアでプスプスしてたけどそれで正解らしい。

 流石にこれ一つじゃ足りなさそうだからそのあとも何体か見つけて十分な数を確保した。

 森の中はもう十分探したから、ここからは私も戦闘しながらだけどまた探索を始める。



◇ ◇ ◇



 その頃の他のメンバーは各々が自分のやり方で探索をしていた。


「氷菓ちゃんと合流出来て良かったわ」

「リズさん戦闘できないのに1人で来たんですか?」

「元々ランダムの転移にソロもパーティーもないわよ」


 途中で合流したらしい氷菓とリズさんは、2人で森の中の探索をしていた。

 2人は森を歩いていると、苔に覆われた石造りの建物が並ぶ場所を見つけた。


「ここは……」

「半壊してるけど村?かな」


 荒れ具合が酷いけど、まだ村とわかる場所を手分けして見ていくと、村と離れた場所に石碑みたいな物を見つけた。


「何か書いてあるわね」

「えっと、『空を覆う闇、これを払う者ここに眠る、願わくば彼の者の亡き後、奴らが再びこの地を攻めようならば、彼に代わり奴らと戦い、この村を守って欲しい』ふむ、村ってあれですよね(もう守る必要ないんじゃ?)」


 石碑の文字を読み終わった氷菓は、書かれた情報からこれに書かれてるのがさっきまでいた村だと仮定して、既に半壊、人口ゼロ人のあの村をあれ以上守る必要があるのかと思ってしまう。


「取り敢えずほかも探してみましょう、時間もまだあるわ」

「そうですね」


 一応その日の午後に全員で集まって報告的なことはやったけど、この日の氷菓とリズさんの探索はそれ以上の成果は何もなかったらしい。


 場所は変わって私が抜けていったあとの森には、出てきたモンスターを片っ端から倒していくビルドの姿が。

 いつ入れ違いしてたんだろ?


「ハッハッハ!その程度では私は倒せないぞ!」


 転移してから既に数十分、上空から来ようが、地上または地中から来ようがその全てを、自慢の筋力を持って一撃で沈めている。


「ライムが代わりに探索やってくれてるからな!私は沢山ポイント稼ぐぞ!」


 森を進むにつれて、段々とモンスターも攻撃を交わし始めるけど、ビルドの気配察知と予想、それと野生的な直感でたとえ一撃目をかわせても、避けた先には既に拳が迫っていて、無惨にもビルドが通る後には首と身体がお別れ会をしている絵面が続いている。


 それを近くで見たプレイヤーやそれを見つけたプレイヤー、特にリアリティ設定を有効にしているプレイヤーは皆同様に吐き倒れている。


「んん〜この辺のやつは手応えないし、ポイントも少なそうなんだよなぁ、よし!どこか強くてポイントのうまい場所ないかなぁ」


 こうしてビルドによる蹂躙は加速するのだった。

 てか素材回収してよ。


また別の場所では、何かのトラップに引っかかったのか、隙間なく詰め寄るモンスターにタコ殴りにされているトムヤムクンがいた。


「あぁもううざったい!!」


今回トムヤムクンは筋力と敏捷の都合によって満足な探索が出来ないかもしれないから、皆で相談した結果モンスターの情報収集が今回の役割になった。


「こんなタコ殴りになってて情報収集できるのか?」


 口ではそう言いながらも、目では一体一体しっかり識別して、どのモンスターがどの攻撃をしてきたかをしっかり覚えていくトムヤムクン。


 次はラムネだけど、順調に森を進んでいる。それはもう、自分の間合いの内側へのモンスターの侵入を一切許さない有様だ。

すると目の前に登るのも苦労しそうな断崖絶壁が道を塞いでいた。


「はぁ……登るかぁ……」


 実はラムネ、転移させられてからの探索でこんな展開は既に3度目だったりする。1度目は谷底が見えない程低い谷とそこに流れる激流、2度目は何かあるかと思った洞窟に入って、左右どころか上下にも蛇行していてかなりの時間を使っていた。


 崖を登り切った先でラムネが見つけたのは、1本の木とその傍に建っている小さなボロ屋だった。


「人の気配はなし、完全な廃墟って感じか」


 人が居ないなら大丈夫かなと、何も迷うことなく中に入っていくラムネ、中は外観ほどボロボロじゃなくて、むしろ人が住んでないにしては綺麗な方だった。

 部屋をいくつか回っていると、誰かの寝室みたいな部屋の机に紙が置いてある。

 ラムネがそれを手に取って見ると、誰かにあてたものじゃなくて、これを見つけた人へのメッセージみたい。


『この手紙を見ている誰か、君がこれを見ていると言うことは、私は戻れなかったのだろう、一体どれほどの時間が流れたのだろうか。これを見つけた君に1つ頼みたいことがある、この島が未だに魔のものから攻められているのならば、私に代わりこの島をそしてこの地に眠る魔のものを封じる封印を守って欲しい。きっと私の相棒が手を貸してくれるだろう』


 これでこのあとのイベントで島での戦闘が確定しちゃった、そんな瞬間だね。

 手紙を読み終わったラムネは、取り敢えず手紙をアイテムボックスにしまってその場を後にする、そんなこんなで各々が探索を続けたけど、それ以上の成果は特になかった。

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