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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
一章
12/111

森の祠と大きな象

 連絡があったのに気付いて慌てて向かっている途中に思ったけど、私のステータスはやっぱり上がりすぎてた。

 これは制作者、運営からの贈り物みたいなもので、その圧倒的と言っていいくらいの力は、ゲーマーなら嬉しいものかもしれない、だけど実際にそんな力を手に入れた私からしたら今の状況は……。


「おっと……」


 早くなりすぎてる……。

 私も立派なゲーマーなのかもしれないけど、こんなに早いと現実との違和感がありすぎるし、この世界での身体には馴染んでても、元が普通の私には頭と常識と、何より感覚が追いつかない。


「早く慣れないと、今日である程度、明日には今の感覚に追いつかないと」


 そんな事を言いつつ急いで街に向かう。

 街が見えてきたら流石にペースをおとす、リズさんのお店の前まで行くと皆揃って待ってた。


「あ!遅いぞ!」

「しょうがないでしょこっちも色々あるんだから」

「まぁいいわ、早速行ってみましょう」

「あっそれと……」


 向かう前に私は、今回はリズさんの護衛に回ることにすると言っておいた。


 街中を出たあと、向かいながらリズさんが今持っている情報を教えてもらうと、場所はどうやら森の中で、場所的に私達の中でもまだ誰も行ったことがなかったから、全員道中はリズさんの案内の元、初見の敵を調べながら倒してる。


「ライムは魔力操作取れたんだね」

「ご飯で餌付けしたらくれた」


『ちょっと!?私は動物じゃないんだけど!』


 何か聞こえたような気はしたけどきっと気のせいだ。

 そのまま森に入ってしばらくすると、問題の祠は直ぐに見つかった。

 というかこの祠実は街からそれほど遠くはなかったりする。


 何より……。


「なんかプレイヤー多くない?」


 ビルドが言うように、今祠の前には結構な数のプレイヤーが集まっていたのだ。

 リズさんが言うには、今話題によく出てくるトッププレイヤーこと某さんがクリアに失敗したことで、その某さんと勝手に競ってたプレイヤーが集まってきて今の現状になっているわけらしい。


 そして祠の見つかった場所なんかは探索好きのプレイヤー達のおかげで誰でも知る事が出来るけど、肝心の中の攻略情報に関しては、競っているだけあって誰も情報を売ろうとはしないらしい、そこでリズさんが考えたのが誰も攻略できていない、誰も情報を売らない、そんな祠のダンジョンを自分がどの商人や情報屋よりも早くクリア、もしくは調査し、それを餌により多くの情報や収入を手に入れようとしてるらしい。


 流石ゲームでも商人をしているだけあって考えがかなりひど……いや凄い、私達も手伝ってるけど別に報酬が欲しいわけじゃないから実質ただの情報を他の情報やお金に変えるとは。


 という訳で早速お邪魔しようか、入る時は順番待ちになって、感覚を開けながら入っているようで、競ってたりしててもその辺は以外にしっかりしていた。

 だけど周りの表情を見ると、やっぱり早く挑みたいプレイヤーもいるのも当然で人にもよるけど凄い貧乏ゆすりしてる人がいたのがすごい目立った。


 内は祠?から洞窟みたいなところに繋がってる、石レンガの作りにになってて外から見てて予想した通り地下に降りてく階段が続いている。


「暗いわね、誰か明かりを確保出来る?」

「それなら私がするよ、その輝きで我が道を照らせ『ライト』」


 氷菓が厨二病を発症しながら魔法を使ったから笑うのを我慢してると、めっちゃ怒られた、仕方ないじゃん知り合いが厨二病を発症してるんだもん。

 それ以外だともう哀れな視線を送る他ない、と言ってるけど私も詠唱はしてるしなぁ……どこかに無詠唱ができるようになるスキルとかないかな。


 しばらく進んだけどモンスターなんて全然出てこないし、何かがありそうな石造りの扉まで着いちゃった。


「多分この先が例のボス部屋だと思うけど準備は大丈夫?」


 その言葉に私達は全員が首を振って準備万端の合図を出すと、リズさんが扉を開ける。

 しかし出てきたのはボスではなく、部屋の床全てを覆う謎の魔法陣だった。

 しかも全員が入った瞬間に扉が閉まるからの即起動のフルコンボ、さてさてこの後はあの世か別の世界か、どこに連れて行かれるのやら。

 魔法陣の起動からしばらくたって視界が開けると、そこはどうやらどこかの神殿のような、そんな感じの建造物の前に飛ばされていた。


「ここに入ればいいのかしら」

「周りは?」

「行けなくなってる」


 気になったので周りを神殿から離れるように動いてみようとしたら、すぐに見えない壁に阻まれてそれ以上は行けなくされてた。

 仕方ないから神殿に向かって、また暗い通路を歩く羽目になった。


 そしてしばらく歩けば、またさっきと同じ石造りの扉が出てきたけど、今度はその大きさが倍以上あるのだ、流石に今度こそボス戦になると思う。


「それじゃあ、今度こそ準備はいいわね」


 再び全員が首を振っているのを一人一人しっかり確認し、その重圧な扉を開けて中に入る。

 すると中で待っていたのは、一頭の巨大な象だった。それも現代の象とは比べ物にならない、それこそ博物館で見るようなマンモスと同じ、もしくはそれ以上の立派な牙を持ってる。


 そして識別してわかった、この象はそもそも倒すものじゃない、誰かにそう言われた訳でもないのに、なんでかそう思えた。


 だから戦闘に入る前に、私は全員にそれを伝える。


「皆待って、この象多分倒しちゃダメ」

「ライムちゃん?いきなりどうしたの」

「理由は……特には無さそうだな」


 私のいきなりの言葉に対して、ラムネは何となく察してくれたみたいで、何も言わずに武器をしまってくれた。


「リズさん、悪いけどこの依頼、降りさせてもらう、もちもん報酬も途中モンスターの素材も結構だ、それにこいつの動物好きは相当でね、このゲームの在り方はここ数日で俺も、ある程度だが理解してるつもりだ、だからこの依頼は受けられない」


 ラムネからの説明で、リズさんや皆もしょうがないと割り切ってくれた。

 それとさっきの私とラムネの話たこの情報は、もしかしたら貴重な物になるかもしれないからと、報酬も素材もくれるらしい、リズさんは優しい人ですね、さっき誰かが酷いとか言いかけてたけど誰だろうね一体。


「だけどどうすんだ?ここから出るなら言いたくないけどあいつに殺されろってことだろ?」

「そういうこと、だけど大丈夫試しにトムヤムクンを生贄にする」

「あれ?なんか俺が先陣切って死ぬの確定?」


 そんなこんなで、ボスを目の前にどうするかふざけあってると、どこからかいきなり声がし始めた。


『ふむ、我を前に戦おうとしないのは、お主らが初めてだな』


 言動からすると話しているのは目の前の象なんだろうけど、話せたんだね。


「あの、貴方は一体どう言った存在なのかしら?」

『我がどのような存在かか。よかろう、主らには話してやるか、我は霊獣の王よりこの地の守護を任された守獣だ、名等は特にない、忘れてしまったし、必要も無いのでな。そしてこれより起こる厄災に会うことになるだろう主らには、1つ忠告だ、悪しき者は地の外より現れる、精々気お付けておくと良い』


 何かよく分からないけど忠告を貰ったらしい、聞いた感じだと何かを予言したようなものだから、多分今後のイベントに繋がってくるんだろうけど、そもそもがイベントの告知すらされてないのにこれを推理することなんでできるわけが無い、だからもう何も考えないようにしよう。


「貴重な話感謝する、あと俺らってここからどうやって帰りゃいいんだ?」

『仕方ない、そこの床に乗れ、我が元の地へと返そう』


 そう言われた先には、起動しそうな気配が全くない魔法陣があった。


「これ動くの?」

『いいから乗って待て』


 どうやらこの象にも動かせるみたいで、全員が乗ってしばらくすると、魔法陣は私達の知ってる輝きを放ち初めてその場から転移した。


 転移先は私達のよく知る場所で、始まりの街の噴水広場だった。リズさんはこの情報を早速売りにするか、掲示板に載せるかでお店に向かって行っちゃった。

 それとこの情報は思ったよりも貴重な物になるらしくて、むしろ報酬は色を付けるってことだった。


「これで今日は終わるか?」

「そうだね、流石に明日も学校だしね」

「えぇ!」

「ライムそいつ落としとけよ」

「大丈夫、ゲームのやり過ぎは母さんが怒る」

「あのお母さん怒るんだね」


 そりゃうちの母さんも人だから当然怒る、ただの私と姉さんが生まれてからの数年で本気で怒った所を見たことがないだけだ。

 流石にビルドも、怒られるとわかってまでゲームをしたい訳ではないから、すぐにログアウトはした。

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