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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
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フィロの挑戦

 残された4人でフィロの今後の神器について早速考えていくことに。


「神器って言ってもな。別に型に嵌める必要はないんでろ?」

「ですね。他にも見たけどダンベルの神器とかよく分からない人がいましたよ」

「て事は形は自由か……」

「それならフィロが得意なことでもできる神器にすれば?」

「私が得意なこと?」


 フィロが得意なこと……そう言えば前にクラスのオタク集団が何故か迫力満点なフィロのプロフィール紹介をしていたのを思い出した。


「そう言えばフィロはバイオリンできたっけ?」

「えっと、出来るにはできるけど……プロの人からすれば全然だよ?」

「なるほどな。確か演奏系は広範囲なバフができたりしたな……」


 そう、今回私達が考えたフィロの強化、それは即ち単純な支援範囲の拡張。

 シンプルだけど、ただでさえ強力なフィロの支援、私達はあまり必要ないから、最近では一緒に戦闘に参加してるけど、これからあるかもしれない大規模な先頭になれば、フィロの支援はもっと多くのプレイヤーにかけられればそれだけで戦場を動かすことができるだけの凄さがある。


「な、なるほど……でも、そんなすごそうなことが出来る素材ってあるのかな?」

「なあライム、迷宮にはなにかないのか?」

「それっぽいのはもう少し深くまで潜ってみてからかな」

「……前から思ってたが、お前今迷宮何処まで潜ってるんだ?」

「…………」


 いや、別に今はそこに触れる必要を私は感じない、つまりは次の話をしようか。


「おい、こっちを見て話そうか」

「………もう少して4桁………」

「はぁ、やり過ぎてないだろうな」

「しょうが無い、だってもう先頭にも殆ど慣れちゃったし。3桁の階層じゃ多分まともに思考能力を持った相手は出てこない。だから先頭が単純な作業になってて、あれはレベルがあれば誰でも行ける。問題はその先だよ」


 そう、まず問題なのは迷宮の千層からした。

 何でそんな事を知っているのかって?どういう訳か百層降りる事に誰かの日記が追加でドロップするようになって、そこから見た内容だと、どうも千層より下があるみたいで、その存在を知っているのは多分今の所私だけだったんだけど。


「話さなきゃダメ?」

「いや、それこそ報告しておけよ」

「迷宮……ちょっと行ってみようかな……」


 報告と言っても、知ってる事なんて千層よりしたありますよーいえーい位なんだけど、他に何かと思い出してみてるけど。


「そう言えば氷菓、前に本作れるかなって言ってたよね」

「あー、魔法のインク的な奴は作れるけど、魔導書的なのは作れなかった」

「なぜ段階すっ飛ばして魔導書なんだよ」

「だって普通の本なんて面白くないし」


 確かにいつの間にかにこの世界の魔法言語解読して、いつの間にかに魔法の改良してて、いつの間にかオリジナルの魔法作ってたり、普通の本なんて今更感がある。


「それに私の図書館もう研究ノートで殆ど埋まってる。だから魔導書である程度内容を纏めたUSBメモリみたいなのを作りたいの」

「おい待てあの図書館が何時からお前のになったんだ」

「だって誰も来ないし。私が個人使用してても問題ない。寧ろ有効活用してる。何か調べたいなら皆も来ればいいよ、魔法に関してなら大抵のことは本に残してる」


 設計段階で氷菓があの図書館を使うのは何となく分かってたから、こうなる事は分かってはいたけど。


「それで、なんで作れないのか原因は?」

「さあ。私に言えるのは、何故かインクが爆発しちゃうってこと。あとは空気中に魔力が残留しちゃうくらい」


 氷菓にしては以外、そういうのは直ぐに解決できそうだけど。


「紙とかかなって思ったんだけど、何使っても変化はなかったし………」


 氷菓って周り見てるようで実は見てないよね。


「ルイーザさんに聞いてみたら?」

「ルイーザ?」

「始まりの街、荒れてる土地、完全に廃屋、見た目ががさ……ちょっとだらしない魔女」

「あー、そう言えば始めたばかりの時にあったかも」


 何であのお店勧めめてきた側の氷菓が忘れてるのかって言いたいけど、多分研究に没頭してて余程重要なこと以外は、古い順番に記憶から消去されていったのかな。


「私の頭は検索サイトの履歴か何かなのかい?」

「実際そんな感じでは」

「それはそうと、フィロの神器をどうするか決めてくぞ」


 と言っても、バイオリン的なデザインは既に決定事項ですし。


「あのね。私実は近接戦をやってみたいなって……皆見てたらね、職業関係無しに皆1人で戦えるから。決闘イベントもあるし、私も1人で戦えるようになりたいの」


 なるほど、フィロがそこまで考えていたなんて。


「それなら、戦闘技術に関してはラムネが担当かな」

「なら私はミューと一緒に作成の手伝いでも」

「ならライムは素材頑張れよ」


 それからフィロの要望を反映しつつの話し合いが始まり、最終的な割り振りはこうなった。


「んで、問題は武器の種類だが。ステータス的にはまあ」

「そもそも私達基準の装備条件の武器があったら逆に見てみたい」

「えっと、私は出来れば細い武器の方が」

「だったらこういうのは」


 そう言って氷菓が軽く線描きしたイメージを机の上に出して来て、見てみたけどもうこれでいいのでは。


「形は普通のバイオリン、ただ素材を金属系にして、そこに私が付与魔法で何か付け足す」

「多少重量が出ると思うが」

「それも私の方で何とかできる。それと剣はレイピア、ただ刃は片方だけにして、もう片方にバイオリンを弾く用の弦を張る」

「なるほどな。耐久性を気にしなくていいなら、これもありか」

「なんか凄い見た目だね」

「本来は武器の用途だけですから。これはこれでとんでもない亜種になりましたね」


 それで案は決定して、次の工程、と言うか私の死蔵のアイテム達をレアリティ高い物を片っ端から試していくだけ。


「と言っても金属系の素材は私達みたいに本人の魔力で作る魔鉱石として、他に素材って何に使うの?」

「弦かな?」

「私もあまり細かい部分はちょっと、ミューちゃんもそこまでは作り込めるか分からないし」


 それなら相性の良さそうな素材群を机に落としていきます。


「……なあライム、これなんの糸だ?」

「世にも珍しい泉で溺れる馬が居て、助けてあげたら仲良くなった。それで毛を数本貰ったけど、今の所使い道が無いから」

「それで本当に大丈夫なのか」

「多分大丈夫、魔力は聖属性そのものみたい、馬だって言うならユニコーンとかじゃないの」

「少し違う名前だったけど、確かにユニコーンとは書いてあったから、多分大丈夫」

「ファンタジー生物見つけてるのにえらい冷静だな」

「だって飼ってるし」

「なら会いに行けるし」


 実はあれから結構な子をうちの島に連れて帰っていたりしてて、アニマルセラピー、基私の私利私欲のための大陸だからね。

 それでフィロが実際に触ってみた感じだけど、なかなかに良好な感じだった。


「これでもういい気もするけど、まだ何か探す?」

「と言ってもなあ、他にそれっぽいのってあるのか?」


 そこで私は氷菓と協力する形で、軸に決定したユニコーンの毛と相性のいい素材を、氷菓は魔力で、私は気なんかを神眼で見てみたりで、幾つか候補を上げていった。


「んで、結局残ったのはこれと」


 フィロ本人との相性チェックで最終的に残ったのは、多分光龍とその派生だと思う聖龍の髭、後はよく分からない上から目線でしか相手してこない変なヤギの毛、それから迷宮で見つけた有効モンスターのマザーバタフライの幼虫の糸、後は賢猿達が自分の毛を紡いで作った糸の系5つ。


「弦として使うなら割とちょうどいい数か」

「かな」


 私もこれだけ残るとは思ってなかった。

 確かに死蔵してるアイテム類は多過ぎるけど、その中で互いに干渉せず、かつ相互効果のありそうな物、そこに更にフィロとの相性のいい物って条件の中で、寧ろよくこれだけの数のアイテムが残ったってくらい。


「それはそうとライム、お前さっきの目どうしたんだ」

「さあ、これに関しては本当に何時獲得したのか覚えてない」

「便利そうだけど、実際はどうなんだ」

「ちょっと不便。前はスキル同士の同時発動とか当たり前に出来たけど、このスキルだとそれにも制限が付いてて、勿論各スキルの能力は引き継いでるし、なんなら持ってなかったスキルとかも使えるけど、それなら今までみたいに持ってる特殊スキル全部乗せできる方がってところ。けどもしかしてら今後ってこともあるから、ちょっと頑張ってるよ」

「なるほどな。長所と短所は確実にあると……」


 今言ったみたいに、神眼何てご大層なスキル名してるけど、実際は同時発動できる能力は現在3つまで、私はよく千里眼とか鑑定眼とかを使ってるかな。

 くらい時には暗視とか、神眼は光魔法とか闇魔法みたいに魔力も使わないし、コスパいいから使ってるけど、そういう場合は枠が残り2つになっちゃうからね。

 けどそういう時なんかは、ムギに力を貸してもらえれば、使用者の気力使用による反動も、生命力や魔力の消費も完全にゼロのチートオブチート神器だからね。


 やっぱりうちの子天才では?


「それじゃあ闘技大会の前のイベントも頑張りつつ、各々準備していこうか」

「「「おー」」」

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