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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
107/111

やはり体は丈夫に限る

(トムヤムクン視点)


 さて、昨日は船に揺られながらほぼほぼ半日も耐久戦とかマジで死ぬかと思った。

 いや防御力は無駄に高くなってるからあれくらいじゃ多少雑な戦い方しても死にはしないだろうけど、周りの船にも手助けしてたしな。


 俺は今前のイベントでライムがくれた和服を着込んで街を歩いている。


「これはラムネが喜びそうだ」


 表の通りを少し歩いたけど、少し奥に行けば道場らしき建物も見えたかし、あいつなら嬉々として挑みに行くだろうな。


 俺もラムネの爺さんには面識があるけど、あいつの爺さんマジあれでもうすぐ90歳なのかって位に動くからな。


 しかも道場に来た近所の悪ガキに、ガス圧式のアサルトエアガン乱射されてたけど、全部手に持ってたしないで捌いてたしな。


 結局あのエアガンは勝手に持ち出してたらしいけど、子供の手の届く所に置いとくなよって思ったな。

 相手があの爺さんじゃなかったら痣どころか当たりどころが悪ければ失明、歳が歳なら下手すりゃ相手が亡くなるかもしれないしな。


 さて、思い出話もいいけど、そろそろ捜索にも力を入れていかないとな。


 暫くは街中の探索を続けたけど、なんかここじゃない感がするから、思い切って森に入ったんだけど。


「やばいな。迷ったかもしれん」


 思い切った判断で森まで来たわけだけど、入ってそうそうに迷ったな。


 山なら下ればって思うかもしれないが、この山結構上にも下にも急な斜面のある凸凹山だったから、方角がちょっと覚えてらんないんだよな。

 幸いここは盆地だし、今日はこの辺の探索をして、明日辺りに太陽とか参考に適当な方角に向かってみるか。


 そう思って周りの探索に切り替えようとしたタイミングで、背中に突き刺さるような鋭い衝撃が襲ってきた。


「いったあぁぁぃ……あんたなんなのよ!?」

「え?」


 多分今の衝撃の正体なんだと思う女性が、片手を擦りながら恨みがましそうにこっちを睨んでるんだけど、攻撃されたのってこっちだよな。


 というか今気付いたけど、この子の額に角が付いてるんだが。


「もしかしてここは君の住処が何かかな?」

「知らないわよ。だったらどうなのよ」

「別にどうも、こっちはただ探索してただけだし。ここで争うような気は無いよ」

「人間の言葉を信用しろと?」


 あぁ、なるほど。これはあれだな。

 物語ではお馴染みの頑張って好感度を上げていけと、けどなぁ。


「まあ、無理そうなら大人しく帰るよ。その方がお互いのためだろうし」

「あ、ちょっと……」


 穏便に済ますのにそのまま帰ろうかと引き返したんだけど、何故か呼び止められてしまった。


「と、取り敢えず集落に来て。あなたの処遇は村長が決めるわ」


 どういう訳か村に招待されてしまった。

 どう見ても歓迎されてない様だけど、それで村長さんはどなたかな。


 しばらくすると村の広場らしき場所まで来ていて、案内をした女性を挟んで反対側に立ってるのが村長さんか、明らかに纏ってるものが違うし。


「何故人間を連れて来た」

「この人間の処遇を決めるためよ」

「その場で殺してしまえば良かっただろう」

「それが不可能だからよ。私の攻撃じゃ通用しないわ」

「なに?茨姫ともあろう者が、人間に遅れを摂るとは」

「………」


 茨の鬼ってまさかこの女性、現実で茨木童子とかに当たるキャラの可能性があるってことだよな。

 とんだ大物に絡まれたわけだけど、もしかしなくても他にも居たりするのか気になるけど、その前にこの流れをどうにかできないか。


「あの、さっきから俺の事で揉めてるみたいですけど、俺は別にそのまま帰れればいいんですけど」

「ふん、人間。それはいかんな。貴様は我らの集落に入ってしまった。無事に返すわけがなかろう」


 そう村長が言うや否や、周りに居た住民が一斉に襲いかかってきた訳だが。今の話からするにこれは和解は無理っぽいな。


 ついでに言えば、目の前の茨姫の攻撃を受けて問題なかったみたいだし。


 結論このまま棒立ちで大丈夫と。

 そう余裕かましてた矢先に、どういう訳か生命力が減ってるんだが。


「所詮は人間。貴様はどうやら妖力は知らんようだな」


 いや、妖力はわかるわ。

 お前ら妖怪の持ってる読んで字のごとくな力のことだろ。


「我ら生まれながらに妖力を持つ者とは違い、貴様ら人間はほんの一部の者しかそれを扱える程の者はいない」


 あぁ、はいはい。何が言いたいって、このままその妖力とやらを持ってかれ続けると、成す術もなく殺られると。


 確実に俺の体力が削れてるのが分かるのか、随分といい笑顔だなこの村長。


 けど悪いな。

 俺もただ黙って殺られる訳にはいかないんでね。


 この時点でこの妖力と魔力は違うのが分かったよ。

 要は気力と同じで、魔力とは性質の違う全くの別物。

 そりゃ幾ら魔力でガードしても防げないわけだよ。


 ただ繰り返すけど、俺だってただ殺られるのは御免だ。

 扱い方が分からないなら覚えればいい、幸い自分の回復手段は割とある方で、これらを片っ端から常時発動状態にして。


 多分枯渇してる妖力のせいで減り続ける生命力のバットステータスを、ひたすら生命力回復系のスキルで効果を上回って、耐性が付くのをまつ。


 頼むから持ってくれよ俺の体。



 あれからどんだけこの平行線が続いたのか、見れば周りの多分鬼人族だろう住民達は、疲れたのか交代で常に俺の生命力を削り続けてる。


「貴様何者だ。本当に人間なのか」

「いやどう見たって人間だろ」


 俺が人間じゃなかったら何になるんだよ。



『熟練度が一定に達しました。スキル『妖術耐性』を取得しました。』

『熟練度が一定に達しました。スキル『呪力操作』を取得しました。』

『特殊条件の達成により。呪力を獲得しました。』



 なんかおまけ付きだけどようやっと手に入ったな。

 さて、それじゃあ取られた分でも返してもらおうかな。


 扱いが完全に気力の魔力版的な感じだから、これをこうすればいけるんじゃないかな。


「なっ!?なんだ?」

「急に力が!」


 急に慌て出す住民と、何が起きてるのか分からずに驚いてる村長、その隣ではいち早く警戒する茨姫。



『特殊条件を達成しました。スキル『妖力吸収』を取得しました。』

『特殊条件を達成しました。スキル『鬼人化』を取得しました。』

『特殊条件を達成しました。スキル『妖力操作』を取得しました。』

『スキル『妖力吸収』を取得したことで、スキル『妖術耐性』は、スキル『妖術反射』に上書きされます。』



 うわぉ、さらに色々と貰ってしまった。


 試しに周りの住民の妖術を跳ね返して抜け出してみる。


「なっ!?」

「おお、こりゃ便利だな」

「何故貴様が妖力を、さては我らを騙していたな!?」


 はい?この村長は何を言ってるんだ。


「いやいや、俺はさっきまで妖力ってのは使えなかったぞ」

「嘘を言いおって、所詮は汚い人間よ」

「はぁ、だからずっと耐性が付くまで耐えてたんだっての。生憎と体の丈夫さには自信があったんでな」

「馬鹿な。そんなことが出来るわけ……」

「そんじゃ、もう良いだろ。俺は別に何もする気は無いし、何も問題はないだろ」


 マジで最近は長丁場の戦いばっかで疲れたし、早めに帰って宿屋で寝るか。

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