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今日
時の人は言った
汝、汝自身を救えと
沈んだ気持ちに反して
久しく見ない夕方の空はまだ
青が残っていた
ヘイヘイわかりましたよ
認めますよ 心に打った何かを
こんな気持ちでもまだ
拐ってくれるのですね
いつかの日には丁寧にと言った
この頃は忘れていた
何を目指すのか というより
目指して何なのか
月も既に昇っていた
ある人は役目を終えねば
元のところには還れないと語った
知っていると思うが
知らない範囲が人と違うだけ
同心円のなかでの疎外で押し潰されるだけ
本当は違うのに
本物はいつだって円の外なのに
円が実ならその裏側で息しても別にいい
声を殺さなければ
今日の思いがあの日の軛となって
私を狩りたたせる
いつか見た夕陽が陽なら今日の夕方の月は陰だった。そんな詩です。あと一つでこの詩集も終わりですね。第3部に関しては、より載せる頻度を少なくしてましたが、それでも溜まっていくものですね。




