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詩「天国」
遠く音楽を聴いても天国へ行けるわけではないし
受肉を滴る官能美が行き過ぎても天国へ行けるわけではないし
色は空で太陽の中心のようならば天国は遠くではないし
墓は地下で寝静まるなら天国は最も遠い
地上はまた広大でめまいがするし
生き物がいてそうでないものがいて
男がいて女がいて
囀って掻き鳴らして毛づくろいしてはためいて
コツコツと日の出と日の入りに虚ろに
生活を繰り足していく
私や僕に何があるからといって
安寧じゃあない
満ち足りている事が不幸なら
今が幸せだったりもする
大方は比べることの嘆きや蔑みで
ますます荒んでいく
何章も続く物語を読み終えたからといって
それが血肉になるとは限らず
自分のペンがまだ白紙に着地していず
狂って粗雑になる
だがそれも狂えぬ由縁のことなので
そんなものかと
わだかまりと共に過ごす