1
『宝石の瞳に恋して』
人気を博した乙女ゲーム。
世界観が中世ヨーロッパに似たガーネット王国で貴族の子息子女が15歳から3年間通う国立ジュエル学園が舞台だ。
ヒロインのデフォルト名はステラ。
ダイアモンド男爵の婚外子で14歳まで平民だったが母親が死去し跡取りが生まれなかった男爵へ迎え入れられる。1年後にダイアモンド男爵令嬢として学園に入学するところからゲームが始まる。
儚げで男女とも庇護欲を掻き立てる容姿を持ちながら、好奇心旺盛で平民だった頃の経験から誰にでも分け隔てなく接する心優しい性格とまさにヒロインだ。そして彼女の攻略相手は6人。
攻略対象その1、ジェームス ガーネット
ガーネット王国の第2王子でヒロインや娘の1歳上の金髪の美男子。ヒロイン一途な王子様属性の人気のキャラで私も前世で何度トキめいた事か。
がしかし今の私の立場からすれば可愛い娘の婚約者でありながらヒロインに恋したからと貴族の集う公衆の面前で婚約破棄をし、娘を身分剥奪や国外追放に追い込む敵である。
まあ娘は悪役令嬢なので愛する王子が仲良くするヒロインに嫉妬して酷いイジメや2人の邪魔をするけど、そもそも婚約者がいながら他の女と親しくしたり、まして二人っきりになるなどこの世界では非常識この上ない。一国の王子としてもやってはいけない振る舞いだ。
ジェームスルートではハッピーエンドとバッドエンドで娘は身分剥奪の上国外追放に。ノーマルエンドでは身分剥奪のみだが、上位の貴族になるほど身分剥奪は死刑と言われたのと同義と言えるほどの罰だ。
しかもこのダメ王子、ルートに入らなくても娘がヒロインを虐めたという事実で婚約破棄を必ず行うから腹ただしい。
このダメ王子ルートの不幸を回避するためにすべき事は婚約させない事。ゲームの設定では2人の婚約は娘が8歳の時。まだ時間があるから今は大丈夫だろう。
そして今一番問題なのは、
攻略対象その2、ノア サファイア
私の可愛い息子、サファイア侯爵家の子息。生まれた時期の関係で年子の娘やヒロインと同じ学年で入学する14歳。
ゲームの設定では社交界の華と言われる母、つまり私、と似た可愛い系の美少年。
ゲームの記憶を思い出すまで自分が社交界の華と言われてる存在だとは知らなかった、次の社交にどんな顔して出ればいいのやら・・・それは置いといて。
可愛い顔をしているが、属性はクーデレというギャップ2段階萌えなキャラクターだ。
娘と息子は険悪な姉弟で、身分の低い男爵令嬢のヒロインと息子の恋仲を快く思わない娘はやっぱりヒロインをイジメたり、2人の邪魔をする。
息子がダメ王子と娘の悪事を暴き、ハッピーエンドで身分剥奪、ノーマルエンドで修道院行きという名の幽閉にするが、最悪なのがバッドエンドの結末だ。
ずっと険悪の仲だったため、ヒロインを傷つけた娘に憎しみを募らせ息子が娘に手をかけるのだ。当然人を殺めた息子は死罪。
そう私はこの結果を迎えた場合愛する子供を2人とも失うのだ。