戦闘訓練と交流会6
本格的に、ポイント稼ぎを始めていく。
ニンのヒールもあるため、ずっと外皮を削られ続けている、というのは難しいが、それでもポンポンポイントは増えていく。
俺の外皮の安全圏である9000ポイントを削ったとしよう。
それでおおよそ15000ほどのポイントが入る。
攻撃を食らって回復までの時間はおおよそ5分程度。
一時間にして30万のポイントが入った。
この作業を行っていたのは、おおよそ6時間ほどだ。
さすがに、途中休憩を挟んでもいたが、ポイントにして、150万のポイントが回収できた。
……凄まじい速度だな。
これまでとは比べ物にならないほどに効率の良い稼ぎだ。
とはいえ、ニンを含めて全員が疲労してしまったが。
ニンが作製した二十一階層をひとまず三十階層まで複製する。
複製した後で、構造を全体的に少しずつ弄っておいた。冒険者視点からすると、同じ構造が続くと精神的疲労が溜まるからな。
その後で、魔物を大量に投入していく。
二十一から三十階層までは、ゾンビ、スケルトンといった魔物だ。
レッドゾンビ、パープルスケルトンには、それらをまとめるサブリーダーになってもらい、魔物をどんどん追加していく。
「レイがリーダーとして、この十階層は管理してくれな」
「……(こく、こく)」
少し不安げであったが、レイが頷いてくれた。
……ただ、一人では難しいだろうとも思っているので、ミアを見る。
「ミアも最初は補助として入ってくれ。いずれは、ミアにも十階層を任せるからな」
「わかったわ」
俺の考えでは、十階層ごとに今ここにいる魔物たちで管理してもらおうと思っていた。
……まあ、そこまで階層を増やせるかどうかは分からないが。
二十一から三十階層まで、幅広い魔物で管理ができるようになった。
迷宮の基本構造はこれで完成だろう。
魔物の増加、迷宮の階層を増やしていくという行為が結構ポイントを消費するため、これだけですでに20万ポイントを消費した。
……と、十階層ごとに魔物を配置するという方針で確定したため、一から十階層、十一から二十階層までも変化させようと考えていた。
「一から十階層はゴブリダに任せる」
「わかった!」
「十一から二十階層はアックス、頼む」
「了解だ」
とりあえず、ここにいる全員に迷宮の操作を行えるようになってもらう必要がある。
ニンとともに、一人一人に説明を行っていく。
……まあ、みんな理解は早い。多少の質問だけで、基本的な操作に関しては覚えてくれたようだ。
そもそも、マリウスがほったらかしにしていた間は魔物たちで操作していたようだし、問題ないだろう。
「マスター、確認、いいかしら?」
すっと尻尾の先を挙げたのは、ミアだ。
「なんだ?」
「今後、迷宮を改良したい場合や、追加で魔物が欲しい場合などは、マスターに申請をするという方針でいいかしら?」
「……そうだな」
確かに、全員が好き勝手操作できてしまうのは問題があるだろう。
「それで頼む。ミア、ひとまず階層の管理を行うまでは、ミアにそれらの管理を任せてもいいか?」
「ええ、任されるわ」
「そういうわけだ。迷宮を改良したい、あるいは意見などがあればミアに頼む。ミアは、それをヒューを通じて俺に報告してくれ。俺が最終決断を出すからな」
皆がこくりと頷く。
……これで、問題はないだろう。
「マスター、拙者からもいいだろうか?」
アックスがすっと太い腕をあげる。
「なんだ?」
「十一から二十はオークを中心とした迷宮にしたい。もちろん、ゴブリンなども増やしたいのだが……それらをまとめるサブリーダーを決めてもよいだろうか?」
「ああ、構わない。ただ、それらの管理はすべてその階層のリーダーに任せる」
「了解だ」
「そういうわけだ。ゴブリダもいいな?」
「わかった!」
とりあえず、これで問題はなさそうだな。
「また、欲しいものがあったらある程度は自由にポイントで購入してくれてもいいからな」
「それもマスターに一応、話を通すわね」
ミアからの指摘に頷く。
……ここでの活動は、意思を持たない魔物からすれば気にならないのかもしれないが俺からすると仕事、みたいな感覚だからな。
ある程度、その場で働く人たちの不満を解消できるようにしないとな。
「み、ミアが報告の全部をするの!?」
それまで黙っていたキュイが、慌てた様子で声をあげた。
ミアが胸を見せつけるように腕を組んだ。
「ええ、そうなるわね」
「だ、駄目よ! あたしも何かしたいわ!」
「したい、というけれど……何か報告できるのかしら?」
「……そ、それは――え、えっと……!」
困ったようにキュイが視線をさまよわせている。
ミアがふふっと口元を緩める。
こらこら、そこで喧嘩をするな。リザードを見習ってほしいものだ。今のところ、特に仕事を割り振られていないが、呑気にこちらを見ている。あっ、首が傾いた。……寝ているなこいつ。
「あれ、キュイだっけ?」
「えっ、あっ……うん」
魔導書を見ていたニンが、椅子を動かしてこちらを見た。
キュイはニンを見て、ほっと息を吐く。
一応、魔物たちは一度クランメンバーと会っているが、話をしたことはほとんどない。
キュイは案外人見知りなようだ。キュイは緊張していたようだが、ニンの体を見てからほっと息を吐いた。どこを見て安堵したのやら。
「新しい階層を作製するのはどうよ? これ結構大変なのよ。基礎を一つ作れば、その後は複製して、少しずつ変化させるだけでいいんだけどね……これやればどうよ?」
「……そ、それやるわ! いいでしょマスター!」
ニンの言葉に目を輝かせ、キュイがこちらを見る。
「ああ、任せる。頼んだぞ」
「うん、頑張るわ!」
キュイがぎゅっと拳を固める。ニンを見たキュイは、ぺこりと頭を下げる。
ニンはひらひらと手を振り、口を開いた。
「ルード、迷宮の管理に関してはこんな感じでいいの?」
「……そうだな。ポイントに関してはひとまず、残しておこうか。今後も、冒険者の意見を取り入れて迷宮を変えていかないといけないしな」
俺の言葉に、こくりと皆が頷いた。
そもそも、一階層から二十階層の変更だって、どれだけのポイントが必要か分からないからな。
ひとまず、全員で迷宮を新しく作製することにする。
別に十階層分作製しておき、迷宮内から冒険者がいなくなったところで、作製した十階層分を目的のフロアに入れ替えれば、作製自体は問題なさそうだ。
あとは、ボス部屋だな。
……さすがに、このままゴブリダが十階層にいるのはな。手加減して負ければいいのかもしれないが、それだと皆への精神的な負担があるだろう。
魔導書を操作して、何かないかとみていると、能力一覧にそれらしいものがあった。
『フロアパワー』という能力だ。
その効果は、階層に合わせて能力が変化するというものだ。
低い階層であれば、それに合わせて弱くなり、高階層ならばそれに合わせて能力が上昇するようだ。
ポイントもそれほど消費せずに配下の魔物たちに与えられるようだ。
……これならば、魔物たちの進化などを行わずとも、迷宮内限定ではあるが力をつけられそうだな。
なんなら、すべての魔物に付与させておきたい能力だ。今後は、新しい魔物を作製するときは、一緒につけることを視野に入れたほうがいいだろう。
すべてのリーダーたちに付与したところで、スロースが戻ってきた。
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