ギルドナイツ戦線、開戦
イルカディアを出発したイリアたち、向かう場所は覇者神殿。
そんなイリアたちの前にギルドナイツが立ちはだかる
そしてイルカディア郊外、村ではすでにギルドナイツの進攻が始まっていた…
――翌日、イルカディア郊外
「こいつら…こんなやつらが相手なのか…?」
一般兵小隊、最後の1人が呟く。ギルドナイツの兵士数名と目の前に1人の女…金髪の二刀流使い…
「これは早く隊長たちに伝えなくては…」
「……ッ!」
術式を取り出すそうとした腕、肩から手のひらまで4本、剣が刺さる。
「サプライズだ、俺たちが来てるのはな」
後ろのギルドナイツの兵士たちが話す。
「悪いな、強き者が生き、弱き者は死ぬ、それがこの世界の摂理だ」
金髪の二刀流使いはそう言うと、最後の1人へと剣を突き刺す…無数の剣が…
「ここからお前たちが先導しろ、私は少し後方から援護をする、私の間合いからは出るなよ」
そう言うと女…フィネは魔法を唱え、姿をくらませた。
――同じくイルカディア郊外
「急ぐぞ、普通に考えりゃ少しは村へと見張りを置くはずだ」
ラルドは大声で話す。今再び俺たちラルド、リアロ、セラ、俺の四人で小隊を組み、覇者神殿へと向かっていた。ラルドは属性精霊を無理矢理説得し、俺を炎の覇者にするつもりであった…なんて強情な…だが手段は選んでいられない。ギルドマスター、ゼンを倒すためには覇者の力が重要となる。
「あぁ…もう待っているのか…」
ラルドは馬を止め呟く。前方には前日の倍近い人数の男たちが武器を持って構えていた。
「あんまり消耗したくないが、行くぞ、こいつらはしつこそうだ、馬を潰されるなよ」
そういうとラルドは飛び降り、足にマナを流し、突進する。それに習い、リアロ、セラも走る。
俺は剣を抜き、一瞬ためらう。が、悩んでいられない。生きるか死ぬか…ただそれだけだ。
雄たけびを上げながら俺は敵兵士へと走る…一番近くにいた兵士へと渾身の力を込めて斬りかかる。魔法壁は破った。そのまま追撃…前日の感覚が再び俺の手、腕、全身を襲う。だが止めない。腹に突き刺した剣を振り切った。兵士は膝から崩れ落ちる。
兵士は最後の抵抗と言わんばかりに、剣を俺に向ける。だがそれを弾き、首へ目掛けて剣を振り抜く。兵士の首は宙へ舞った…血を流しながら。
俺は二人目へと目を向ける。すでに斬りかかってきているが、それを剣で受け止める。しかし、重く弾くことが出来ない。
不意に剣が軽くなる。セラがそいつの首を折ったのだ。倒れたそいつ向けて俺は剣を突き刺す。少し動いていた動きがゆっくり、ゆっくりと…止まった。
次だ、次だ!! 次だ!!! つぎ!!!! つぎ!!!!!!!!!!
「…剣折れるぞ」
…ラルドに肩を叩かれた。気づけばギルドナイツ兵士は皆血を流して倒れてる。俺は…すでに倒れた兵士に向かって剣を刺し、叩き切っていた。何度も何度も何度も何度も…顔が、いや人間かどうかもわからない肉塊となるまで…
息を切らしていた。俺は立ち上がる、ラルドに肩を支えられながら。
「行こう、もしかしたらここから先も待ち構えているかもしれない」
ラルドはそう言って馬に跨る。
「イリア、これ使っておけ」
リアロから術式符を手渡された。
「それ使えば、剣の切れ味が幾分か戻る…結構消耗しただろ?」
よく見ると俺の剣は刃こぼれを起こしていた。…ここから先何戦か続くだろう。ありがたく受け取り、術式を使った。
馬に跨ったが、途端にどっと疲れが出てきた。ここで初めて俺は人の命を奪った実感が沸いた。一体何人の命を奪ったのだろうか…いや、こいつらは俺たちを殺そうとした、だから殺したんだ。そう…言い聞かせるように馬を走らせた…
――覇者神殿、麓の村
「ん~~~久しぶりだからどきどきする…」
男はつぶやく。足元には村の住民や戦士たちの亡骸がそこにはあった。
「我慢できなかったんですか…サクレンさん…」
色白で病弱そうな肌は返り血で赤く染まる。
「だってよ~~俺らの目的は覇者になろうとするやつを殺すことだろ? こいつら生きてると邪魔でしょ」
嗤いながら話す。ギルドナイツ兵士たちは少し顔を引きつらせながら、
「上に村長と生き残りの村人逃げていきましたよ…」
そう話すとサクレンは、
「あ~おっけぇ~、じゃあお前らはここで見張っててくれよ…来たら術式で頼むぞ~、俺は生き残りを斬ってくるからよ」
自前のダガーを舐めながら山を登って行った…
『サクレンという男は少しネジが外れていたな…』
『そしてフィネという女…この世界では珍しい体質を持ったやつだ…』
『*******************だな』
全く聞き取れない、この声は何を語ったのだろうか…
戦闘表現は一生の課題である(二回目)