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イルカディア帝国物語  作者: KirinK
ギルドナイツ編
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イルカディアへ

属性精霊と共鳴するイリア。それに対して安堵するラルドであったがイルカディアから連絡が入る・・・

「いやーよかったよかった。まさかイリアが適応するとは」

ラルドは満足げに話す。


「まだ覇者に定められた訳では無いのだろう、安心するのは早いんじゃないのか?」

セラは冷静に言う。ほんとに俺の同期なのだろうか。


「適応者がいるってだけでかなり助かるんだ。ようやくイルカディアにも覇者が・・・」

ラルドがそう言いかけた時、ラルドの腰に下げていた術式符が振動する。どうやらイルカディアからのようだ。


通信術式。同じ術式をお互いに持ち、マナを込めることで相手を呼び出し、会話をすることが出来る。非常に便利なものだ。


「先いっててくれ」

ラルドは術式符を取り出し、話し始める。


「それで村長、俺はどうすれば覇者と認められるんだ?」

俺は村長に尋ねる。

「そうじゃのぉ・・・正直ここまでくれば、属性精霊様の気分じゃ、あとはお主の覚悟。それさえあればお主は炎の覇者として認められるだろう。」

曖昧な回答だ。どうやら何かをするってことではないようだ。


「おい!急いでイルカディアへ戻るぞ!」

突然ラルドは叫んだ。

「なにがあったんだ」

セラは尋ねる。

「イルカディア郊外で巡回中の兵士達がやられた。襲撃だ。」

「それじゃあ村長、俺らは一旦イルカディアに戻る。次来るときには、覇者契約をする時だ」

 ラルドがそう言ったあと、馬を走らせる。俺たち3人もそれに習い、ラルドの後を追った。




 ちょうどイルカディア領地に入った頃だろうか。前方に人影が見えてきた。15人ほど見える。よく見るとボウガンやマスケットを構えている。


「散れ!!」

 ラルドは叫んだが、それと同時に矢と弾が飛んできた。セラの馬が地面へと崩れる。


「お前ら!落ちたやつを狙え!」

 集団が叫ぶ声が聞こえる。

 俺は剣を抜き、刃身へとマナを走らせる。すでにラルドは馬から飛び、1人目へと斬りかかっていた。ラルドが着地をすると同時に先頭にいた男が真っ二つとなる。俺も集団に向けて剣を振る。剣の軌跡は光波となり、まっすぐに敵へと飛ぶ。光波は敵1人の魔法壁を破った。


「イリア、リアロ!全力で行け!」

 ラルドは叫ぶ。すでに二人目の首を切り裂き、返り血を浴びていた。

 俺は馬から飛び降り、最も近くにいた敵へと斬り込む。魔法壁にはじかれたものの、左手でマナを打ち込んだ。敵兵士は怯む。武器も手にしていない、チャンスだ。俺は剣にマナを流し込み、首へと斬り込んだ。

 ・・・この感触は忘れない。自分の想像よりもはるかに軽かった。敵兵士は、血を吹き出しながら膝から崩れ落ちる。その目はどこか遠くを・・・虚ろな目で見ている。俺が初めて人を殺した瞬間であった。



 俺が呆気に取られていると、

「死ね!イルカディア!」

 と叫びながら敵兵士が俺に斬り込んだ。俺は咄嗟に動けず、その様子を見ているしかなかった。刃が俺の右肩へと達しようとしたとき、敵兵士の胴体から刃・・・ラルドが後ろから大剣を突き刺した。


「イリア、慈悲は捨てろ。この世界では強くなければ生き残れない。あの時・・・お前は故郷で見たはずだ」

 ラルドの目は恐ろしく冷たく、底が見えない闇のようであった。

 気づけば敵兵士は全滅していた。リアロとセラもその骸の上に立っている。俺だけだった。1人殺して戸惑っていたのは・・・


「やはりこいつらギルドナイツですね」

 リアロは短剣の血を拭いながら話す。

「ギルドナイツか・・・というとそれを依頼したのは、アレキサンダーと考えるのが妥当か・・・」

 ラルドは顎に手を当てて答える。

「巡回中の兵士を襲ったのもこいつらだろうか」

 セラも手甲の血を拭いながら話す。

「イリアも剣の血は拭いておけ、剣の寿命に関わる」

 リアロは俺に声をかける。俺は返事をしながら剣の血を拭う。「慈悲は捨てろ」ラルドの言葉を思い返しながら・・・

「イルカディアへ戻ろう。襲撃について具体的な被害を知りたい」

 ラルドはそう言い、馬へ跨る。

「イリア、私も乗せてくれ」

 セラに声を掛けられる。馬に跨った際に、「気にするな」と小声で肩を叩かれた。この声かけにより、幾分か救われた気がする・・・



「ラルド、戻ったか」

 城門前でヴァダン隊長に会う。彼は強襲隊隊長であり、重装でありながら体術を得意とする。戦闘においては、最初に敵へと攻め込み、勝利へと導く。強襲隊は中装の兵士が多く、大剣やウォーハンマーなど一撃が重い武器を扱う者が多い部隊だ。


「妙な攻め方だ、まとまってではなく数隊で攻めてきている。強襲隊も以来から帰還する際にギルドナイツ兵と戦闘になっている」

 ヴァダン隊長は話す。それを聞いたラルドは

「今巡回している小隊をすべてイルカディアに帰還させる。このままだと1個ずつ潰されるぞ」

 ラルドはそう言い、術式を取り出す。小隊は基本的には5名で結成される。先ほどの状況と同じであれば、15人・・・つまり3小隊で敵は攻めている。一般兵であれば勝敗は明白であろう。


「ギルドナイツ自体、大きな団体ではない。一気に叩けば被害も減らすことができると思うのだが」

 セラは話す。それに対してヴァダン隊長は、


「大きな集団ではないが、ギルドナイツの幹部はかなりの手練れだ。それに加え、ギルドマスターであるゼンは覇者という噂だ・・・」

「ラルドでも敵わないんですか?」

 俺はヴァダン隊長に尋ねる。

「覇者の力は未知数だ。ラルドは確かに強いが、この世界は広いからな」


「昔、一度ゼンと手合わせたことがある」

 撤退命令を出し終わったラルドが話す。

「その時は決着つくことはなく、お互いの援軍が来たことによりそこで終わったんだ。だが今は・・・あつが覇者だった場合、俺は間違いなく負ける。それだけ覇者の力っていうのはすげーんだぜ」


「とりあえず、今後の方針を決めるために一旦将軍と隊長を集めて話し合うか。お前たちは休んでてくれ。時が来れば再び招集なり命令を出す」

 ラルドはそう言うとヴァダン隊長と共に城へと歩いて行った。












――ギルドナイツ本部

「イルカディアへ襲撃はどうなった」

アレキサンダーからの使者は問う。


「一般兵の小隊は4部隊、全滅または敗走させた、だがラルドの率いる小隊に我々ギルドナイツの小隊が3部隊全滅させられた」

マスターは答える。


「ラルドか・・・奴を止めるための手段は考えているのか?」

 使者はあくびをしながら話す。・・・興味はあまりないようだ。


「俺またはフィネであれば止めることはできるだろう、共闘すれば殺すこともできるかもしれん」

 マスターは私を見ながら話す。

「フィネ・・・あぁお前か、こんな奴がラルドを止められるというのか・・・色仕掛けか?」

 使者は笑いながら話す。完璧に舐めている目だ。


「まぁ、どんな方法であれ、イルカディアへと爪痕を残せば我々も文句は言わん。これは陛下のご意向だ」

 そう言いながら扉から出ていこうとする、が手前で振り返る。


「あぁ、そうだ。色仕掛けするならもう少し肉をつけておけよ。特に胸にな」

 にやにやしながらこちらを見る。

「フィネ・・・耐えろよ・・・」

 色白でいかにも病弱そうな男・・・サクレンは私に小声で声をかける。案ずるな、この程度の挑発に乗っかるような私ではない。


「それじゃあ頼むよ」

 そう言って男は出て行った。


「あいつ・・・いつか殺す・・・」

 独り言を言う私を幹部全員がこちらを見ていた。・・・恐怖の眼差しで。















『イリアにとって初めての戦争だな』


『一体どうなることやら・・・』

声は楽しそうに呟く


『ギルドナイツ・・・救われん連中だ』

戦闘描写は一生の課題である


※ここまでR18からの再掲

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