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イルカディア帝国

城下街に残されたイリア。途方に暮れていたイリアだったが突然声を掛けられる。

「ようこそ、だなんて言われても俺はいったいどこに行けばいいんだ…」

 ラルドと別れた後、俺はイルカディアの中心街に置いてかれてしまった。なんでも今回の件について報告しなければならないようであり、すぐに行ってしまった。


「じゃ! 一週間後の志願会で! なんて言われてもそれまでどうすれば…火傷や傷もどこで治せば…」

 俺は再びぼやく。



「あんたさっきラルドさんと一緒にいた人かい?」

 後ろから声を掛けられ俺は振り返る。50後半くらいだろうか、おばちゃんという言葉が似合う女性が大きな籠を脇に抱えて立っていた。


「そうです、イリアと申します。」

 咄嗟に自己紹介をしてしまった。不思議と緊張しているようだ。


「どこから来たんだい? 見慣れない服装だけど…あれま!」

「あんたよく見たらケガしてるじゃないか、これ使いな良く効くよ」

 籠から小瓶を取り出し手渡してきた。勢いよく渡されたため、受け取ってしまった。


「魔法で作ったポーションだよ、万屋やってるんだけど、魔法屋で仕入れてきたんだよ。そのポーションは良く効くことで評判いいんだよ」


「ポーション…」

 聞きなれない単語を復唱してしまった。


「おや、ポーション知らないのかい? ポットなんて呼ぶ人もいるが、基本的には薬のことを指すんだよ、この国じゃ生活には欠かせないよ!」


「へぇ…」


「とりあえず飲んでみなさい、ほらほら」

 おばちゃんに言われ瓶の蓋を開け一口飲む。


「あれ、思った味と違う」

 まずくはない、とても飲みやすい味だ、今まで味わったことのない味が口に広がる。


「たまに合わない人もいるようだけど、あんたは合ったみたいだね。よかったよかった。痛みも引いただろう?」

「え?あぁ、ほんとだ、すごいなこれ…」

気づけは火傷や傷の痛みは引いていた。


「街にはいろんな店があるさ、足を運んで見るといいよ。あ、あたしの店にも来ておくれよ!」

「ありがとうございます、一つだけ質問いいですか」

申し訳なさそうに俺は聞く


「あぁなんでもいいよ!」

「志願する場所を教えてほしいですけど…」

おばちゃんは快く答えてくれた。



 おそらくラルドは教育には向いていない。必要なことは何一つ教えてくれなかった。きっと感覚タイプだ。そう思いながら俺は城門の前へと立った。ポーションのおかげで痛みも完全に引いている。俺は城門の前に立っていた兵士に声をかけた。


「一週間後の兵士志願会に応募したいんですけど…。」

どうもぎこちない、もう少し崩した感じで行ったほうがいいのだろうか。


「あぁ、志願だな、ようこそイルカディアへ。君の勇気へ敬意と称賛を送るよ。明日からだが今から応募していくか?」

思ったよりも柔らかい雰囲気だ。自然と緊張が和らぐ。


「おねがいします。」

「城門入って少し進んだ後、十字路があるから、そこを右に曲がってくれ。兵舎が見えてくる。そこで受付をしているから。バンホイル兵長という方がいるからさ」


 十字路を右に曲がり、少し進んだ時、突然ずしんとした空気が俺の周りを覆った。すごく歩きにくい…なんだこの感覚は…。まるで俺を拒んでいるようであった。


「あれ、イリアじゃないか、もう来たのかい?」

後ろから声をかけられた、ラルドだった。それと同時に重圧は軽くなった。この人は不思議と安心感を与えてくれる。


「なにをすればいいかわからなかったから、とりあえず志願に来たんだ。」

「明日からのはずだが…まぁその辺はゆるいからいいか。一緒に行くかい?」

「あぁ頼む」

ラルドの後ろをついていく。



兵舎の前へと着いた。兵舎周囲ではイルカディアの兵士たちが鍛錬や装備の手入れなどを行っていた。


「手入れと鍛錬は基本だ。お前も兵士になったら怠るなよ」

ラルドは言う。色々な兵士からラルドは声を掛けられていた。どうやら人望があるようだ。


「中でやってるから適当にやってきてくれ~~」

兵士と受け答えをしながらラルドは話した。


中へ入ると顎髭の伸びた男が椅子に座り机に脚をかけて眠っていた。

「あれ、今日志願日だったか?」

ふいに男は目を覚ます。本当に寝ていたか疑うくらい寝起きがいい男はそう言った。


「バンホイル~~そいつやる気があるみたいだから早く来たんだ。手続き頼むよ~~」

外からラルドの声がした。


「あぁ、なるほどね。じゃあ名前と当日使う武器を書いてくれ、あと魔法使えるか??」

書きながら俺は答える。使う武器はとりあえず片手剣と書いておいた。というよりこれ以外の武器を触ったことがない。


「魔法は…少し? 防御だけだったら使えます。」

俺は竜の一撃を耐えたことを思い出しながら話した。


「魔法壁か? なるほど、それから教えたお前の師は優秀だな。死なないことが一番大切だ。」

バンホイルという男は頷きながら答える。


「これを教えてくれたのは父です。アイフェンという名なのですが…」

父の顔を思い出しながら俺は答えた。


「アイフェン? そうか…お前が…」

バンホイルはつぶやいた。


「奴とは何度か同じ戦線で戦った。そうか…今回は本当に申し訳ないことをした」

「アイフェンの息子とくれば納得だな、これも遺伝か」

そうバンホイルはつぶやいた。


「よしわかった。お前の志願は受け入れた。当日頼むぞ」


「はい、よろしくお願いします」

そう言って俺は兵舎を出た。


「あぁ終わったか、ちょっと待っててくれ」

ラルドはそう言って兵舎の中へと入っていった。






ラルドが入ってきた。自慢しに来たようだ。

「どうだった? 兵長。結構いい感じだろ?」


「最初びびったぞ。兵士でもこんなマナを持った奴はあまりいない。襲撃かと思ったぞ」

俺は話す。


「潜在能力やばいだろ? これから期待大だぜ」

ラルドは得意気に答えた。


「俺の戦友の息子だ。あそこまでだとは思わなかったが、正直期待している」

イリアに対して率直な意見を話す。

「この一週間、お前何かするつもりか?」


「当たり前だろ、デビュー戦は派手にな」

ラルドは何か企んでいるようだ。


「あ、そうだ。他にもいい素材はいるみたいだぞ、ヴァダンとヨン、それぞれで手をかけてるやつがいるみたいだ。」

兵士間の噂を話してやる。兵長の特権だ。


「強襲隊隊長とアサシン隊副隊長からか…手ごわそうだな」


「イルカディア最強がよく言うぜ」

皮肉のように俺は言う。


「差はそこまでないと思うけどな~」

そう言ってラルドは兵舎から出て行った。全くこいつの考えていることはいつまでたってもわからんな…。






「おいイリア、今からお前に稽古をつける」

出てきたかと思ったら突然そんなことを言われた。


色んなことがあったんだ。少しは休みたい。

「いや、それよりもまず休めるとこ」


「うるせ~、強くなりたきゃ鍛錬を忘れるな、さっき言っただろ」

だめだ、話を聞かない。たぶん何を言ってもきっと変わらない気がする。


「まぁ、鍛錬といっても、まずはお前に絶望的に足りないものから訓練していくか」


「足りないもの?」

正直足りないものだらけだろう、いったい何を教えてくれるのだろうか。


「お前に足りないもの、それは知識だ、特に魔法。魔法に対しての知識が無さすぎる。」

ラルドは腕を組みながら話す。


「確かにそれは思っていた。正直仕組みもわからないんだ」

実際に魔法に関しては親父に少し教わっただけでどんなものがあるのか、どういったものなのか全くわからない。


「そんなことだろうと思った。じゃあ、魔法について話していくか。あ、歩きながらでいいぞ、雑にしか説明しないから。」


「雑にって…」

そう言いながらラルドは語りだした。


「まず魔法についてだが、そもそも魔法という言い方よりも“マナ”とこの場では言わせてもらう。このマナというものはすべての生物が持っているものだ。」

「そしてこれはだれでも使うことができる。このマナを強化、または変換させて魔法として出現するんだ。マナを溜めたり、変換させている状態を俗にいう詠唱と呼ばれているな。」

「この詠唱の段階にある魔法陣などは簡単に言えば、効率を良くしてるんだ。実際魔法陣はなくても魔法を使う事ができる。」

…まずい、まったくわからない。ラルドの説明が下手なのか俺の理解力がないのか。


「そしてこのマナというのはな、個体により強弱がある。それによって魔法が苦手な奴、得意な奴が出てくるンだ。」

「詠唱が早いやつ、遅いやつ、単純に威力が出るやつ、出ないやつ。まぁ、いろいろだ。まぁ仕組みはこの辺でいいか、俺も正直わからないしな」


「ほんとに雑だな」

思わず声が出てしまった。


「最初に言っただろ? そもそも俺は魔法専門じゃないし、そもそも説明苦手なんだ」

俺の理解力不足とラルドの説明力不足が合わさり訳がわからない空気が出来上がった。


「じゃあ次に属性だな。つまり魔法の分類だ。といってもわかるだろう?基本属性をすべて答えてみてくれイリア君」

ラルドは問う。


「え、そうだな…炎、水、風、土、雷くらいか…?」

一般的な属性ときいたらこんなものだろう。


「まぁ、おしいな、昔はそうだったらしい。今は氷も基本属性として追加されてんだ、つまり6属性だな」


「なるほど…それも得意不得意があるんだろうな」


「もちろん。他にも特殊属性とかあるが、まぁその辺は経験で学んでいけ」

説明する気はあるのだろうかこの男。ここで一つ気になることを思い出した。


「あ、一ついいか?」

「ん? なんだ? 簡単な質問にしてくれ」


「ラルドが使っていたあれは、属性的には何になるんだ?」

地面に剣を突き刺し、剣の形状が変わる魔法。属性に関しては想像がつかない。


「んー内緒だ。そのうちわかるさ」

にやにやしながら質問をかわす。まだ答える気はないようだ。


「まぁ、何がいいたいかというと、マナを集めて変換できるように訓練するんだ。そうすりゃ魔法は使えるさ」

えらく簡単に締めくくられてしまった。


「まぁ、わかった。その辺も稽古で教えてくれるんだろう?」

「もちろんだ、これから一週間猛特訓だぜ?」






『“マナ”どんな生物でも持ってるとしている。エネルギー。』

『そうだな、先に言ってしまうが、イリアはマナの扱いがうまかった。それゆえに****となることができた。才能だな』

『**になれる素質もあった。いや実際なれるだろうな**に』

『**は様々な要素が必要だ。この先に出てくる****や***、*****などは持ち合わせている力だ。』

『ん?そうか聞こえないのか、それはすまなかったな。そこまで戻っていないのか。』

『お前はどうだったかな、マナの扱い。』

『さて、もうすぐイリアにも出会いが数多く訪れる。奴の運命を変える出会いもその中にあっただろうな』

再掲していきます

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