ランロフェ
依頼を受注し、ランロフェへと着いたイリア、リアロ、セラの3人
翌日の任務に備えて準備をするのであった
――ランロフェ
「よし、着いたなさっそく商会の方へとあいさつに行こう、依頼主はそこだろう」
門番はあっさりと3人を通してくれた、イルカディアとランロフェは半同盟国のようなものらしい。実際に依頼を隣国のイルカディアまで依頼するのだから
セラの提案に2人は頷いた。朝のうちに出たが、日は既に高く昇っていた。
「……商会ってどこだろうか」
さすがのセラでも初めて訪れた国までは詳しくは知らない様子だ。
「商店に行って聞いてみるか? すぐそこにポット屋があったのを見かけた」
「あぁ、そうしよう」
「失礼、もしかしてイルカディアの方々ですか?」
3人はポット屋へと足を運ぼうとしたとき、声をかけられた。金髪の長髪で髪を束ね、鎧を纏い、腰には一般的な剣よりも少し長い剣を下げている男だった。
「えぇ、そうですが」
「あぁ! よかった! 門番からイルカディア兵が入国したと連絡を貰ったので、探しに来ました」
「私の名前はナイティです、ランロフェでは一応兵長の肩書です」
ナイティは自己紹介をする。それに習い、3人も自己紹介をした。
「今回はありがとうございます、なにせランロフェでは兵士が少ない上に今出回っている噂のせいで、誰も貿易護衛をやりたがらないもので……」
ナイティは申し訳なさそうに話す。
「報酬額がよかったもので……」
リアロは余計な事を言う。
「なるほど、やはり今は噂があって、普通の金額では誰も受けてくれないかと考えて」
ナイティは笑いながら答える。
「さっそく依頼の件についてお話を聞きたいのですが、いつ出発ですか?」
イリアは尋ねる。
「あぁ、そうですね。明日出発になります、それまではこちらが宿泊費を出しますよ」
「もし……噂通り襲撃者が現れたら無理をせずに」
ナイティは念を押す。
「わかりました」
「では、お疲れだと思うので宿へと案内しますよ」
3人はナイティの後をついて歩いて行った。
「いい宿だな!」
リアロは部屋につくなりベッドへと飛び込む。セラは別室だが、イリアとリアロは2人部屋だった。
「剣の手入れでもして早めに休むか」
イリアがそんな提案をしたとき、扉がノックされる。
「明日のことを話しておきたい」
セラだった。イリアがドアを開けると、いつもとは違う深刻そうな顔をしている。
「噂について、新しい話を聞いた」
「新しい話?」
イリアとリアロは聞き返す。
「あぁ、襲撃者の目的についてだ、襲撃される馬車には法則があるようだ」
「積み荷の中身に関連しているようだが……どうやら表向きの貿易ではないようだ」
顎に手を当てながらセラは話す。
「“デビルの血玉”」
「デビル?」
イリアはあの時のサクレンを思い出す。
「そう、デビル。昔話でも聞いたことはあるか? 神と悪魔の戦争の話」
「あぁ、確かそれに出てくるデビルだよな」
リアロは思い出しながら話す
「今大陸中でその“デビルの血玉”が流行している、特に戦いに身を置く兵士にな」
「デビルになると圧倒的な身体能力とマナを手に入れることができる」
セラは話す、その知識いったいどこで手にいれたのだろうか。
「なるほどな、つまり襲撃者はそれを狙ってるってわけか……でも、それだけ集めても使い道はないんだろう?」
リアロは問う。
「よくはわからないが、血の濃さに影響するらしい」
(わかってんじゃねぇか)
セラの言葉にイリアは1人突っ込む。
「わかってんじゃねぇか!」
……声に出すのはリアロだ、短剣を研いでいるので、睨まれていることに気づいていない。
「確証のないことを伝えるわけにはいかないだろう」
「まぁたしかに!」
約1か月リアロと一緒にいたが、たぶんリアロは良く言えば考えるよりも感覚で行動するタイプなのだろう、悪く言えば馬鹿とかそんな感じだ。
「それと何となくだが、私はナイティが気になる」
この場合のセラの勘は当たる、念頭に置いておこう。
「とにかく、明日の護衛をこなそう、可能性を考えることは必要だが、目先の目標を達成することができなければ意味がない」
セラは立ち上がる。準備をして休むつもりなのだろう。
「やっぱセラは良いこと言うね~~」
適当に言うリアロを再び睨みつけながらセラは出て行った。
「さて、俺も準備を始めるか」
イリアはそういうと、覇者の剣を抜き、研ぎ始めた。
――商会
3人の人影が小さいランタンを囲い、小声で話しをしている。
「イルカディアに依頼を送ったんですか?」
綺麗目の服装と整えられた髪型の男は問いかける。男の名前はワグロ、商会の副代表を担っている。ワグロが話しかけている相手はナイティだった。
「あぁ、この国で護衛を募っても集まらないと思ったしな、それに目的の物は兵士にばれると少々めんどくさいだろう?」
腕を組みながら答える、その様子はほかにも何か考えている様子であった。
「これからイルカディアと本格的に同盟を組むって噂もあるみたいだし、同じようなものでは?」
ワグロは尋ねる、だがナイティは口角を挙げて答える。
「もしもの時は、国王に密告するさ、俺と国王の信頼関係は厚いからな」
「今の時代、簡単に戦争にも持っていけるさ」
「そういえば、何個集まったんすか」
明日の貿易ではこの男、フランダルがドンケルノまで行き、取引を行う。
「今2個だ、今回の取引で2個の予定だろ? そうすると合計で4個か」
「いい感じじゃないですか! 喰えば十分じゃないですか?」
フランダルは興奮したように答える。わかりやすい男だ。
「あぁ、この取引後俺は喰らい国王を殺す……ようやくこの召喚術式を使えるってわけだ」
ナイティは大事そうに持っている術式に目を向ける。
「そしたら頼みますよ、約束忘れてないですよね?」
ワグロはにやけながら問いかける。
「あぁもちろん、それじゃあ明日、頼むぞ2人とも」
そう言ってナイティはランタンの明かりを消し、姿をくらませた。
おねがいします