表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イルカディア帝国物語  作者: KirinK
ギルドナイツ編
12/27

転移術式

転移術式で飛ばされた3人は伏兵を想定し身構えていた。

しかし、出てきたのは1人の男であった

――某所

「警戒しろ! 魔法壁を忘れるなよ!」

 ラルドは叫ぶ。

 リアロ、セラ、ラルドは転移術式により大陸のどこかへと飛ばされた。リアロとセラは身構えたが、周囲には人影が見えない。無数の柱があり、天井が高い……どうやらどこかの建物のようだった。


「ふつうは……転移術式で飛ばした先に待ち伏せているもんだ……が、闇雲に俺たちを飛ばしたのか……?」

 ラルドは息を切らしながら話す。


「いや、だが3人とも同じ場所へと飛んだということは、ここを指定して術式を展開したんだろう」

 セラは話す、と同時にラルドは地面へと崩れる。


「悪い、マナ切れだ、慣れない魔法なんて使うからだな……」

「いや、あの状況では必要だった、イリアは無事だろうか」

 ラルドに対し、セラは声をかける。




「おいおい……4人の予定だったろ、サクレンなにやってんだ」

 柱の影から男が出てくる。あの時……村の入り口ですれ違った男であった。


「なるほどな、こいつだったら数十人の伏兵を用意する必要もないな」

 ラルドは立ち上がろうとするが、その姿に力強さを感じられない。


「ラルド、かなり疲弊してんな、まさかサクレンに苦戦したとかじゃないよな?」

 男は背中にある大剣を引き抜く。その刃身は分厚く、不規則な溝が刻まれていた。


「リアロ、セラ……逃げろ、想定した状況と違いすぎる、勝ち筋がない……」

 ラルドは二人へ話す、がリアロは短剣を構え、セラは既にマナを練り始めていた。



「……俺がギルドナイツのマスターと知ってのその行動と判断するぞ」

 男、ゼンはそう言って構える。刹那、足元へと魔法陣が広がる。セラは一気に距離を詰める、ワンテンポ置き、リアロもそれを追う。

 セラは掌波を放つが、ゼンは大剣を振り切り掌波を斬る。



「浅はかな作戦だな、斬り際、様らは詰めてくる! 想定済みだ!」

 ゼンの言う通り、リアロとセラは同時に飛び掛かっていた。


「ダウンフォール!!!」

 魔法陣から大量の水が二人を襲う。セラとリアロは大きく吹き飛ばされた。


「ッ!!!」

 天井に叩きつけられた二人は声にならない呻き声を漏らす。魔法陣から水が溢れ出し続け、数十秒後にはあたりは水浸しになっていた。


「浅はかなんだよ、その程度の策で俺を出し抜けると思ったとは、なんともおめでたいやつらだ」

 ゼンは嘲笑う。


「リアロ、セラ! 引け!」

 ラルドは2人に向け叫ぶ、が反応がない。聞こえていないのか、気絶しているのか。ラルドは剣を地面に突き刺し魔法陣を展開させる。


「集まりが悪い、まずいな……仕方ない」

 ラルドはポーチから拳ほどのマナ石を取り出した。マナ石とはマナが高純度で固まり、結晶化したもの。通常、生活や機械の動力源となるものであった。人間が摂取するためにはマナのみを抽出する必要があり、それには高度な魔法を用いる必要があった。

 しかし、ラルドは抽出をせず、マナ石をそのまま食らったのだ。


「……部下が死にそうで頭が狂ったか」

 ゼンはラルドに気づき歩み寄る。ゼンの持つ大剣にはマナが走っていた。


「溝にマナが通りやすくなるように細工でもしてるのか?」

 ラルドは尋ねる。その背景には時間稼ぎもあった。食らったマナ石が自分のマナに変わるまでの時間、トランスさせるための時間、そして2人を休ませるための。


「どうかな、まぁすぐにわかるさ」

 ゼンはそういうと大剣を振りかざし、詠唱を始める。

 

「フォージレイン」

 足場にあった水は宙へと舞、ラルドに向かって鋭い槍となり降り注ぐ。


「魔法壁!」

 同時であった。ゼンの詠唱が終わるのと同時にラルドはマナを回復させてた。剣の魔法陣が増え、さらに効率を上げる。ラルドが反撃の構えを取った時、ゼンの後ろから2つの殺気が刺さる。

 ゼンはそれに気づき振り返りながら光波を放つ。


「殺気……十分だ」

 セラはつぶやき、構えをとる。今までにない構えであった。

「壱ノ型・始念……弐ノ型・波連」

 セラは一瞬で距離を詰めゼンに向かって2連撃を放つ。そして

「参ノ型・駆心……肆ノ型・充刃……伍ノ型・空滅」

 4連撃……8連撃……16連撃……計30発をゼンへと打ち込んだ。


「お前のような奴がその流派を扱うのか……」

 打ち上がったゼンはセラへと問う。その上からはリアロが追い打ちをかけようとしていた。


「私の流派は、既に名を失った流派、扱えるのは私だけだ……リアロ!!」

「十分だ! お前も合わせろよ!」

 セラはリアロに叫ぶ。リアロはゼンへと今のも暴発しそうなマナを纏った拳を振りかぶり、セラは再び構える


「光陰・螺楽雪」

 足元の水はセラの右足へと纏われ、一瞬で凍てつく。氷魔法の一種であった。その足でゼンを蹴り上げる。上からはリアロ、下からはセラの攻撃がゼンを襲う。

 ゼンは微動だにしなかった。それどころか口角を挙げ、笑う。


「お前たちなりに考えたのだろうが……それで俺を倒せると思ったのか」

 直撃する瞬間、ゼンは解放した。首元に下げていた蒼い石が光り輝きゼンを包み込んだ。

 


 手ごたえはあった。セラとリアロもそれを感じており、一旦距離を取る。



「……!! 2人とも下がれ!!!」

 ラルドが叫ぶ、が遅かった。光の中から8つの蒼い閃光がセラとリアロの周りを囲む。その光は、剣であった、様々な形の剣。


「ここまで俺を引き出すとは、褒めてやる、実際お前達の攻撃は悪くなかった」

「だが現実は非情だ、お前らがどんなに無い知恵を絞り出したとて、勝てないさ」

「これが力だ力の差だ」

 蒼い鎧を纏ったゼンは淡々と話す。持っていた大剣は細く、長剣のようになっていた。8つの光はセラとリアロに向かって飛ぶ。

 2人は防ぐことができなかった。嵐の前では太刀打ちできない。ゼンの放つのはまさに嵐の乱撃であった。




「クソッ!」

 ラルドは剣を抜く、時間は稼げていたが当初の目標には程遠かった。


「……レベル3か、だが手負いにはする!」

 赤黒く光るラルドの剣はどこか不気味な雰囲気を纏っていた。


「切り裂け、ドレッドブルーム」

 赤黒い剣から全く同じ色のマナをゼンに向けて放つ。同時にラルドはゼンに向かって走り始めていた。



「やっとかラルド……待ちわびたぞ」

 手にしていた剣を上に掲げると光がすべて収束し、元の大剣へと戻った。同時にセラとリアロは倒れる。

 2人の剣が交差する。ラルドは多角的に、ゼンは重く力強く攻撃を交える。


「貴様の剣、人を殺すのに特化した剣だな、それで何人を斬ってきたのか……」

 ゼンはにやにやしながらラルドに尋ねる。


「必要な犠牲だ、金さえあればだれでも殺すお前達とは違う」

 ラルドは答えるが、それにゼンは笑う。

「人でなければいいのか? 今や貴重となった生物を殺し、喰らう、大差はないだろう? なぁ、竜喰らい……」 

 ゼンは問う。それを聞いたラルドは形相を変えゼンへと斬りかかった。


「……それをどこで聞いた?」

「有名だぞ、イルカディアの竜喰らいの話は……その様子だとどうやら本当らしいな」

「竜ってうまいのか?」

 ゼンは挑発する。魔法陣を展開させながら。


「貴重な竜を殺す奴は罰せねばならんな……これはギルドナイツではなく水の覇者として罰する」

 古代魔法陣、強力な圧力がラルドを包む。だがラルドは引かなかった。それどころか、持っていた剣にマナを込める。すると持っていた剣がさらに変形する。


「笑わせるな、その程度で俺を殺せると思ったのか」

 ラルドは答える。強力なマナがラルドに纏う。

「俺の技は……この地のマナを利用する」

「それ故に、この地はマナが渇水する、禁忌の技だ」

 纏っていたマナがすべてラルドの剣へと収束する。


「覇者を舐めるな!!」

 ゼンは詠唱し、叫ぶ


「ハイドリック・ノア!」

 魔法陣から大量の水が槍となりラルドに向かう。その水はとてつもない質量の水が圧力により1つの槍となり放たれていた。

 ラルドはそれを避けずに正面から斬りつける。


「無謀だな……覇者の前では何者もひれ伏すのだ」

 ラルドはハイドリック・ノアを斬った。が、2つに割れた槍は再びラルドを襲った。すべてのマナを棒業に移転させたが、ラルドは吹き飛ばされた。ラルドは消えゆく意識の中確信を持った。


(イリアなら、ゼンに勝てる……)

 そしてラルドは深い暗闇に囚われた。


 

更新が遅れて申し訳ないです

よろしくお願いします



ちなみに自分の中では9章あたりまで話があります……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ