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イルカディア帝国物語  作者: KirinK
ギルドナイツ編
11/27

フィネ

覇者の力を手にしてもイリアは苦戦していた。

力尽きても良いであろう、サクレンの生命力に……


「……フレアグレイ!」

これも知識として得ていた魔法だ。左手から放射状に放たれたマナが男に向かって収束する。前方からの多角的な攻撃を可能にした魔法だ。


「あちい……」

身体の半分が焼け、燻っている男はつぶやく。こいつがなぜ生きているか、イリアは理解ができなかった。それはまさに、人外の者の雰囲気すら纏っていた。


「お前……なぜ死なないんだ……?」

イリアは口を開く。男は淡々と話す。



「元々俺が任された仕事は覇者の誕生を防ぐこと……まさかお前が覇者の適応者だったとは思わなかったがな……」

そう言うと男はイリアへと走る。イリアは剣を構え、マナを流す。その剣は炎を纏った……

男のダガーによる一撃をイリアは剣で受け止め、問いかける。


「おまえの名前はなんだ」

「…サクレンだ」


「そうか……その名前、決して忘れない」

そう言ってバックステップで距離をとる。イリアはさらに剣へとマナを流す。剣の炎はさらに燃え盛る。



(これで一気に決める……!)

イリアは剣を十字に斬りつける。

「クロウフラム……!」

炎の十字架はサクレンへと放たれる。サクレンは……避け無かった。避ける必要がなかったのだ。



サクレンの周りを大量の剣が覆う。イリアの放った一撃はいともたやすく防がれた。

「フィネ、待ってたぜ……」


「お前が役割を果たせず、私に押し付けるとは、何を考えている? なぜ炎の覇者が誕生している?」

金髪の二刀流……フィネであった。イルカディア郊外からここまで飛んできたのだ……転移術式で。


「こいつ、適応者だったんだ……気を抜いちまった」

サクレンはにやにやしながら話す。傷を抑えながら。


「悪いがフィネ、ポットくれ……こいつの足止めで全部使い切っちまった」

そう言いながら手を差し伸べた。


「マスターの予感は当たるようだな。」

フィネと呼ばれていた女は呟く。そして再びサクレンへと振り返り、


「サクレン、悪いがお前はギルドナイツには必要ない……殺しすぎだ……」

いつの間にか出現していた剣はサクレンの心臓を突き刺していた。次第にサクレンの目から生気が消えていく。




「同情などはしないが……なぜ?」

イリアは尋ねた。


「ギルドナイツ……私達は金で動くが、誇りは忘れない、無意味な命はとらないさ」

「が、こいつは関係ない者達……今回でいえば、村の住民の命は奪った、必要はないことだ」

「ギルドナイツ全体でも、こいつの行動は少々問題視していてな、いいタイミングだから始末した、それだけだ」

フィネは淡々と話した。


「さて、私がここに来た意味だが、サクレンの後始末をしなくてはならない……貴様を殺す、それは必要なことだ」

フィネの周囲に10本の剣が召喚される。イリアは同じように左手に10個の火種を練る。


刹那、10本の剣はイリアへと飛んでくる。火種から、魔法盾へと変更し、防御を取る。

3本、フィネの剣はイリアの魔法壁に突き刺さりダメージを与えた。


「なんだ、この魔法……」

フィネは既に再召喚し終わり、既にイリアに向けて、剣を発射させていた。

魔法盾を構えながら、距離を詰める。イリアの間合いに入った時だった、


「サザンクロス!」

フィネは叫ぶ。4本の剣がクロスし、イリアを斬りつける。魔法壁は破れた……が、イリアは動きを止めずフィネへと剣を放つ。


「……私が魔法重視の剣士だと思ったのか?」

いともたやすく防がれる。

「噛みつけ」

フィネは呟くとイリアの上下から剣が突き出した。右へローリングし避け、再び魔法壁を唱える。フィネ相手に魔法壁なしでは、即死であろう。


「反応は良いようだな。が、これはどうだ?」

フィネは一瞬魔法陣を出すが、遅かった。


「踊り狂え! 剣の舞!」

フィネの周囲10m、大量の剣が個々に動き回り、イリアを切りつける。

瞬間的に魔法壁は剥がされ、鎧を切り裂き、イリアの肉体を斬りつける。一つ一つの傷は浅いものの、イリアへの切り傷は数十にも及んだ。


「炎の覇者、ここで殺せればかなり楽だな……」

地面へと手をつくイリアにフィネは語りかける。

不意にイリアの精神へと問いかける声が聞こえる。

『初戦で死ぬのか……小僧!』

『お前はまだ覇者の力を三割も使っていない、そもそもその剣はなんだ』

『覇者の剣ねえのかよ』


属性精霊であった。

「どうやって使うんだよ、覇者の力は!」

イリアは叫ぶ。

『まぁ初戦てことで、大目に見てやろう……俺のマナを貸してやる』


そう言われた瞬間だった。イリアの鎧が紅色の鎧へと換装される

『覇者の鎧……機動性だけじゃなく、防御力も、凄まじい上に、炎特化だ威力を底上げしてくれる』

『ほんとは手前のマナでやるんだがな』

イリアは内なる底からマナが溢れ出るのを感じだ。

「これが……覇者の力か……」


「覇者の鎧……なるほど」

フィネは笑いながら、呟く。


「遊ぶのはやめにしよう、私のとっておきだ」

そう言うと、フィネは自分の実剣2本を空へと掲げる。


「古代魔法……エンシェントマジックだ、恐らく、もう私しか使える者はいないだろう」

フィネの足元に魔法陣が展開され、平行する剣の中央から、1本の巨大なマナの剣が現れる。


『お前もエンシェントマジックで対抗してやれ』

精霊の笑う声が聞こえる、と同時に新しい魔法の知識がイリアの頭の中へと流れてくる。単純だ、炎の放射それだけの魔法だった。


イリアは魔法陣を展開し、左手に全神経を集中する。覇者の鎧はそれに共鳴するかのように燃え盛る。


「消し飛べ!」

フィネはマナの剣をイリアへと叩きつける。


『叩き込んでやれ!!!』



「テウスイグナイト」

神々が使ったとされる炎。それと同種の炎が、古代の剣へとぶつかり合った……










『テウス……懐かしい響きだ』


『あの戦争でも使ったものだ……』

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