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イルカディア帝国物語  作者: KirinK
ギルドナイツ編
10/27

炎の覇者

次々と倒れるイルカディア兵士…これを止めるべくバンホイルは迎撃に向かうが…


一方村についたラルドの小隊は衝撃を受ける…遅かったのだ…ラルドたちの行動が…

――イルカディア城内

「小隊反応消息…これで6部隊目です…」

「ふむ……」


バンホイルは顎に手を当て苦悶の表情を浮かべる。もしもの時のために、術式を組んでいたが、思いの外早い段階で役に立ってしまった。装備者の生命が停止すると大元へマナが届くよう術式を、組んだのだ。


「当初の作戦とは異なるが、迎撃体制に入るぞ、俺が迎え撃つ」

「ヴァダン、悪いが釣り出しの指示、頼むぞ」

ヴァダンは「りょーかい」と返事をする。


バンホイルは自分の片手剣と大盾を装備し馬に跨る…30名の兵士、つまり小隊6隊分を引き連れて…




――麓の村

ラルドたちは固まった。村の住民達の亡骸を目にして…

イリアは思い出す。自分の村…あの時の情景を…気づいた時には村にいたギルドナイツ兵へと斬りかかっていた。



村には10名ほどのギルドナイツ兵が居たが、その半数をイリアが斬った。


「こいつらはおそらく殺していない」

ふいにラルドは呟く。


「どういうことだ!」

イリアは怒鳴る。


「こいつらの持っている武器ではこのような傷はできない、住民達の傷は皆、ノコギリのような刃物で斬りつけられている…」

セラは補足した。


「それにこれはかなり力が掛けられている…刃身はおそらく短い」

リアロも意見を挟む。


「なんでもいい…絶対に殺してやる…!」

イリアは言い聞かせるように呟く。だが、ラルドがそれを制止する。


「自分を見失うな、復讐に捕らわれることは命を捨てることと同じだぞ」

「あぁ…」

言葉では返すが、内心の怒りは収まらない。


「とにかく、山を登ろう、村長たちはそちらへ行ったはずだ」

ラルドを先頭に4人は歩き出した。







――イルカディア郊外

「何者だ…こいつ…」

バンホイルは地面に手をつき呟く。連れてきた兵士のほとんどは立ち上がることが出来ない…貼り付けにされているのだ、地面に。


ギルドナイツ兵士は容易く倒すことが出来た、しかしバンホイルの苦戦しているのは、1人の二刀流使い…ギルドナイツのフィネであった。


フィネは剣士であるが、魔法を使う…しかしその魔法はバンホイルが見たことないものであった。


「召喚術か…? いや、それにしても頻度が多すぎる…」

バンホイルは呟いた。それに対しフィネは答える。


「そうだな…まぁ教えてもいいか」

そう言うとフィネの周囲の空中に無数の剣が現れる。すべてフィネの持つ剣と同じ形状だ。


「武器召喚、これは知っていると思う、自分だけの空間から武器を召喚したり、マナで様々な武器を象る魔法」

「私は少し特殊な武器召喚でな、この剣以外造り上げることはできないが、この剣は無数に造り上げることができる」


「無数?」

バンホイルは尋ねる。


「そうだ、無数…つまり私のマナが許す限り…」

気づけばフィネの周囲には数十本の剣が召喚されていた。


「もちろんこれらを同時に操ることが出来る」

剣たちは各々が廻ったり上下左右に動いたりと動き出す。


「まるで踊りみたいだろ?私はこれが好きなんだ」

フィネは呟く。微笑みながら。


「何人来ようと、私には敵わんさ」

そう言って剣たちはバンホイルへと向かって行った…

バンホイルは立ち上がり、後方へステップしながら、避けるものの、数本が体へと突き刺さる。魔法壁で防げるものの、既に限界が近い。


一瞬で距離を詰められ、2本の剣で斬りつけられる。と同時にバンホイルの魔法壁が割れた。


「悪いな」

そう呟き、フィネはバンホイルへと剣を突き立てる、が瞬前のところで、マナ弾に吹き飛ばされた。



ヴァダンであった。ヴァダンはバンホイルに向って笑いながら、

「バンホイルさんの兵士達から救難が出たんだ、めちゃくちゃ馬を走らせましたよ、おかげで馬がばててちまってる」



「私に数は関係ない…何人でもかかってこい」

フィネがそう言った時、フィネの通信術式が鼓動した。


「自分の仕事もこなせないのか…」

そう呟くとフィネは魔法を唱え姿を眩ませた…


「くそ…俺は絶対に死んでいた…」

バンホイルは地面を叩きながら、怒鳴る。手も足も出なかった自分に対して…

ヴァダンはバンホイルに肩を貸しながら、バンホイルの部隊を治療するように指示を出した。






――約一時間前、覇者神殿入口

「あれ〜、もう来たのか…まだ途中なんだけど…」

色白の男は振り向きながら話す。足元には無数の亡骸が横たわっていた。


イリアは剣を抜き一気に距離を詰める。マナを霧状に放射させ、目眩しのように使い、ワンテンポ遅らせて斬りつけた。が、見破られ防がれる。


「途中って聞こえなかった〜〜? 耳閉じてんのかよ」

男は剣を弾きながらイリアの腹を全力で蹴り抜く。イリアの肺から酸素が全て無くなり、息を切らす。


リアロとセラがそれぞれ左右から距離をつめ、リアロは短剣、セラは廻し蹴りを放つ、がそれも防がれる。


「イルカディアのやつらはみんな話聞かねぇのな」

男はマナを込めると自分の身体から放出する…衝撃波だ。リアロとセラは吹き飛ばされる。


「村の人たちを切ったのはお前か?」

ラルドは尋ねる。男は


「ははっ…面白かったぜ?? 家族を斬られた奴らの顔はよぉ…」

嗤いながら男は答える。


「いい反応してくれるぜ…家族がいるやつは!!」

男はダガーをラルドに向って投げる。ラルドはそれを弾き、距離を詰める。左手と右手に異なるマナの量を流しながら。


「吹き飛べ!!」

ラルドはそう言いながら、近距離でマナを放つ。マナは巨大な砲となり、放たれた。


「剣を抜かなかったのがお前の敗因だ…」

男はラルドの後ろへと回っており、もう1本のダガーをラルドの肩へ突き刺し、そのまま下へと斬り裂く。


「ッ…!!」

ラルドは苦痛の表情を浮かべたが、怯まずに腰から逆手でナイフを抜き、振り返りながら、斬りつける。男は避けながらラルドに尋ねた。


「おいおい、お得意の大剣はどうしたんだよ…このままじゃ死んじまうぞ?」

ラルドは笑いながら、


「お前相手にこいつを使う程でもないさ…」

と言って距離を詰める。


「変な意地張りやがって…」

そう言ってラルドのナイフを避け、斬りかかった。

が、その途中、男はセラからの重激を食らう…


「お前、3対1って忘れてないか…?」

ラルドは笑いながら、問いかける。


男は術式を使いながら、立ち上がる。回復術式のようだ。


イリアはようやく立ち上がる。呼吸の乱れも収まった。おばちゃんから貰ったポーションを使う。即効性のある回復薬であった。



「お前らはよぉ…釣り出されたんだよ…」

男はニヤニヤしながら、話す。と同時にラルド、リアロ、セラ、イリアの足元へと巨大な魔法陣が現れた。


「転移術式…!」

セラが叫ぶと同時にラルドはイリアに向かって、魔法を唱える。


「エクシードディスペル!!!」

…魔法や術式を無効化させる上位の古代魔法。魔法が得意ではないラルドにとって、この魔法はラルドのマナをほとんど使う魔法であった。


唱えたと同時に、イリアを除く3人はどこかへ転移させられた。


「なんだよ…そんなの聞いてないぜ…」

男はつぶやく、がすぐに嗤いだす。


「これってよぉ…めちゃくちゃに斬ってもいいってことだよなぁ…?」

男はイリアに向かって、走り出した。ダガーを構えながら。


イリアも走り出す…雄叫びをあげながら…


イリアは男へと斬り掛かるが、見破られ、再び蹴られる。マナを左手に込め、マナを放つが、これも返されより強力なマナを撃ち込まれる。フェイントを交えて斬り掛かるものの見破られ、カウンターを受ける…総合力では圧倒的にイリアは劣っていた。


4度目に蹴られた時、イリアはたまたま、神殿の入口へと飛ばされた。そこで僅かにだが、声が聞こえた。


「…い……こへ……」

それは聞いたことのある声であった。イリアは走り出した。洞窟の中へ。

男はイリアを追いかけるが、炎の衝撃波により吹き飛ばされた。


「よお! 小僧! 昨日よりもだいぶましな顔だな! いろいろあったみてーだな…今もな!」

属性精霊は笑いながら、話しかけてきた。

イリアは叫んだ。


「俺に…俺に力をくれ!」

そうすると属性精霊は突然真剣な表情になり、イリアに問う。


「この力、貴様に授けるとどうなる? 俺に利益はあるのか?」

イリアは答える。


「お前の利益など、知ったものか! 俺はお前の力を利用する! 俺の理想のために!!」

それを聞くと属性精霊は笑いながら言った、


「覇者はそうでなくてはな!!」

突然祠が消え、目の前に溶岩が現れた。


「飛び込め」

属性精霊は言う。

イリアは溶岩の中へと飛び込んだ…








熱い…だが、あの時の…竜の火球に比べれば心地よい熱さだ…心地よい熱に包まれるという感じだ。そう考えていると同時に大量の知識が頭に流れ込む。炎に関する魔法だ。頭痛がする…頭が割れそうだ…

痛みが引き、目を開くと目の前に紅い石があった。


「こいつは覇者石だ…覇者としての証…壊されるとおまえは覇者ではなくなる…大事にしろよ?」

属性精霊が問いかける。そして、こう続けた。


「お前の身体、少し住まわせてもらうぞ」

その声を聞いたと同時に俺は現世へと戻された、祠の前へ…


後ろからは男が走ってくる音が聞こえる。俺は唱えた。覇者としての最初の魔法を…


「アクセルフレイ」

炎を纏った蹴り。その蹴りが男を吹き飛ばす。




「覇者っておもしれーーーー!!!!!」

男は興奮しながら立ち上がる。


…今から始まるのは戦いじゃない…蹂躙だ。









『炎の覇者となったイリア』


『意外に早かったな、お前もそう思うだろ? ***』


『イリアは覇者の力、使いこなせるだろうか』

笑いながら声は話した。

なんか駆け足のように進んでますが、急いではないです…

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