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第2話

俺は今、茹だるような暑さのなか田んぼと山しかない場所で電車に揺られていた。急遽父方の実家に帰ることになったためだ。目的地までは電車を三回乗り換え終点まで行き、そこからさらにバスに乗り一時間ほどの場所にある。


電車に乗ったばかりの時にはデパートやビル、忙しそうなサラリーマンが見えたが、乗り換えを重ねるごとに見えなくなる。そして今、窓の外に広がる景色は見渡す限りの田んぼ四方をぐるりと囲む山々、ぽつぽつ立っている古い民家。


一体いくつの山を越えたのだろう。十、二十、いやもっとか。携帯も圏外ですることのない俺は越えた山を数えることぐらいしか暇つぶしがなかった。



終点までは、まだ一時間ほどある。何もすることのない俺は、流れていく景色を見ているうちに意識が遠のいていった。


またここに来たのか?


そこは夏休み前に来た寂れた神社だ。今回も鳥居の下に立っていた。


またあの声が聞けるのかな。淡い期待をしていたら、やはり神社の奥から歌声が聞こえてきた。


「一つ願わば、一刻供えよ。二つ願わば、二

刻供えよ。願いに時を供えて

我らを降ろせ」


聞いたことの無い不思議な歌だった。


「どこにいるんだ?」


依然姿を表さない声の主に俺はそう問いかけた。


そして帰ってきた返事はこの間とは少し違った。


「こっちに近づいているのね。でもまだ、まだあなたに私は見つけられない。また会いましょう。」


そう言われたとたんに俺の意識は覚醒していく。


「もうすぐね。もうすぐあなたに会える」


完全に目が覚める前にそう聞こえた気がした。


「次は~終点、終点。お忘れものの無いよう・・・」


気がつくと電車は終点に着いていた。

俺は荷物を持ち電車を降りると、そこには祖父がいた。


「そろそろ着く頃だと思ったよ。久しぶりじゃな」


どうやら祖父に父から電話があり、ここまで迎えに来てくれたみたいだ。


正直ここからさらにバスに乗る気力は残っていなかったので、俺は祖父に感謝した。


「本当に助かったよ。思ったより遠くて疲れてたから」


俺は祖父の乗ってきた車に乗り一息ついた。



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