表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Gang of AJIPON

作者: 一人ー、ラスク、スズ/カスガイ

※この作品はリレー小説です。

 

 東京の夜風がほほをなでる

「ほ、本当にやるんですか~?」

 高層ビルの屋上で少女がだだをこねる

「あたりまえだろ、今日のために準備を進めてきたんだ」

 そういって男は立ち上がる

「さあ、味ぽんを取り返しにいくぞ!」

 これは味ぽんをめぐる、少年少女たちの物語である。

 男の名前は豚。味ぽんとめっぽう相性がいいことで知られている男だ。

 少女の名前は白菜。人見知りが激しく水対応が多いが性根は優しい子だ。

 そして二人は屋上から飛び降り、背負ったバッグについた紐を引っ張る。

 するとバッグの中から四角いパラグライダーが飛び出してきた!

 そして彼らは飛行を続ける。……かに思えた。

 下から鉛玉が飛んでくる。まだ紙一重でかわし切れているが、いつまでもつか分からない。

「あいつは……豆腐!」

「しかもえのきまでいるじゃないですか! だから嫌だったんですよ!」

 相手の抵抗激しく、鍋の神の悪戯か、不運にも白菜の持つグライダーのワイヤに一発の弾丸が命中してしまった。

「ッ・・・!」

「白菜!」

 急激に落下速度を速める白菜。その伸ばされた腕は寸前のところで豚に掴まれた。

 しっかりと蹄で握りしめた豚は下方に臨むビル屋上、敵中央に墜落する。白菜を守るように。

「くくく、飛んで火に入る鍋の具材とは言ったものだな!HAHAHA」

「豆腐様ぁ!やっちまいやしょうぜ」

 豚たちを豆腐とえのき隊が取り囲む。

「白菜、あれをやるぞ」

「は、はいいつでも行けます!」

「くらえ! 豚バラ白菜ミルフィーユコンボ!」

 その言葉と同時に、豚が油を、白菜が特別な繊維で編まれた布をばらまく。

「な、なんだこれは……お前たち、一体何を!」

 その言葉を待つより早く、豚は手にライターを握り、着火した。

 刹那、油を良く吸収する布に引火した火が次々と燃え広がり、周囲を炎の海にした。

 相手と自分の間に炎の壁を作り出し、敵を遮断する。まるでミルフィーユのように。

「へっ、だがお前らは炎の中!逃げ場を自分から無くすとは馬鹿な奴らだぜ!」

 炎の中へ銃口を向ける豆腐一味。豆腐の一声で、えのき達によって四方八方から鉛が撃ち込まれた。

 あたりに沈黙が広がり、炎が徐々に弱まっていく

「やったか…」

「見てこいえのき!」

 えのきが中心に行く

「ぐぁあああああああああああああああぁぁああ」

「食品が鉛玉たぁ、衛生局がだまっちゃあいないぜ!」

「そうよ! 鉄分だけじゃ体の健康は維持できないわ!」

 二人は奇跡の生還を遂げていた。

「まぁ、この肉の盾がなけりゃ、今頃俺達は駄目になっちまってたろうがな」

 豚の両手には、分厚い豚肉の盾があった。

 肉の盾が、鉛玉をすべてその分厚い脂肪で受け止めたのだ。

「そして――白菜!」

「分かってる!」

 白菜は周囲へ向けて、隠し持っていた食物繊維の糸を張り巡らせる。

 それは一種の曲弦糸のようであった。

 そこからは一方的な虐殺、いや調理であった。

 一口サイズに切り刻まれたとうふと、食べやすい束に分けられたえのきが眼下の鍋へと落ちていく。

 そして味ぽんは豚の手へと渡ったのであった。

「これは俺たちが持っておくべきだな」

「ええ。そして・・・」

 気付くのが遅かった。豚は薄くスライスされる。

「食べるのは私です。お疲れ様でした、豚さん」


 コンロの火はこうこうと燃え続ける・・・





 提供:miz〇an 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ