044 クラン対抗戦・本戦1
二次予選は713点を取ってクラン『MIツクール』は見事にC組の1位となったので、二次予選通過を果たした。
因みに俺がバトルロイヤルで500点を取っているので、魔法陣では213点を取ったことになる。
・・・まぁ、あれだ。
ぶっちゃけ魔法陣の点数は7番目でこれだけでは予選通過は無理があっただろう。
1回生4人のカルラたちの下には1クランもあると考えよう。
そして今日は本戦の1回戦が行われる。
毎年この本戦1回戦だけは同じ競技となっている。
「さて、先ずは第一目標だった予選は通過したわ。ハッキリ言ってクリストフがいなければ予選通過はできなかった・・・これは事実として受け止めなければいけない。しかし、『MIツクール』にはアルティメットクリストフがいるのだからクリストフを前面に立て進めるところまで行くわよっ!」
「「「「おー!」」」」
何かカルラ君が割り切っていますね。
しかし、あれだカルラの目が$マークになっているように見えるのは俺だけだろうか?
で、アルティメットクリストフって何だ?
究極?
究極兵器ってことか?
(`--´メ)ムキー
本戦1回戦はエンターテインメントを競うもので派手さや繊細さなどを競うらしい。
てか、ブッチャケ花火大会だね。
この花火大会は本戦に出場していない生徒も参加が可能になっている。
勿論、本戦に出場しているクラン以外はどれだけ高得点を得ても本戦2回戦に進出することはできない。
当たり前のことだね。
出場制限がないのなら一次予選にすれば良いのにと思いブルーム先生に聞いてみたら『中休み的な?』って言われてしまった。
で、何故に出場制限がないシステムになっているかと言うと、この花火大会の上位3人かチームは収穫祭の時に王立魔法学校の代表として国王陛下の御前で花火を披露する選考会も兼ねているらしい。
国王の前で花火を披露するということは王立魔法学校の生徒としてこれ以上ないほどの誉れとなるのでクラン対抗戦よりも力を入れる生徒も多い。
まぁ、花火に限らず国王陛下の御前で何かを披露をするってことはこの国の人にとって人生最大の誉れになるよね。
俺はどうでも良いかなと思うけど・・・
「今回の花火は事前に準備してきたし出来も良いと思う。でも他のクランだって条件は同じ・・・なんてことはなく、私たちより事前に用意していた人たちだっているはずよ。とにかく、最終確認をして今夜の披露までに万全を期すわよっ!」
カルラ率いるクラン『MIツクール』は一つの魔法陣に花火の術式をビッシリと書き込んでいる。
花火の魔法陣は過去に多く発表されているので過去の魔法陣を元に改良を加えているのだ。
魔法陣は1つでも複数でも構わないが、1つの魔法陣だと複数の効果を効率良く発動させるのが難しく、複数魔法陣だと1つ1つの魔法陣は簡単になるのだがそれぞれを結合させたり発動のタイミングを合わせるのが難しい。
一長一短があるってことだね。
で、花火に関して俺は終始アドバイザー的な立場だ。
花火の魔法陣作成は必ずクラン対抗戦の本戦の1回戦に出題されるのは慣例であり、事前に準備ができたのでカルラたちが主体となって魔法陣の作成を進めていたので、俺は最低限発動するかどうかの確認程度はしているがそれ以上は手を出していない。
そして先ほどのカルラの発言である・・・
ほぼ半日で花火の魔法陣を上位に食い込むように修正しろと完全に割り切った指示が飛んできた。
さすがはカルラだ。
気持ちの切り替えが素晴らしく速く、切り替えた以上は貪欲に要求をしてくる。
「お昼、ここに置くね」
ペロンが魔法陣を修正している俺の横にサンドイッチとアップルジュースを置く。
「ごめんね。僕たちにもう少し魔法陣の知識があればクリストフ君にこんな負担をかけないですむのに・・・」
「別に構わないよ。魔法陣の構築は趣味でやっているようなものだし、寧ろ楽しいからね」
発動させる魔術が複雑だったり高威力だったりすると、魔術の制御をするために複雑な魔法陣が必要になる。
しかし、何故か俺はその魔法陣を頭の中で構築できるので羊皮紙などに書き込む作業の方に時間がかかってしまうのだ。
「クリストフ君って本当に何でもできるんだね」
「プリッツたちだってそのうちできるようになるさ」
「そうだと良いんだけどね・・・クリストフ君を見ていると少しだけあった自信もなくしてしまうよ」
何と言って良いやら・・・
「あれだったら、教えるけど?」
「「本当に!」」
あれ、プリッツだけじゃなくペロンも食いついてきましたよ。
まぁ、ペロンはクランだけじゃなく、パーティーメンバーだし魔術の錬度を上げればダンジョン攻略も早まるから良いけどね。
てなわけで、クラン対抗戦が終わったら魔法陣について教えることになりました。
さて、修正していた魔法陣だけど、最早修正のレベルを超えていると思われます。
ほぼ1からの書き直しですね。
あのままでは発動はするけど・・・発動するだけだったからね。
俺が本腰を入れるのであれば魔法陣自体の強度をあげなければならないし、殆ど全てのバルムス古代語を書き換える必要があったので仕方がないよね。
夕方になったので生徒たちが第2競技場に集まってくる。
出場する生徒は勿論のこと、観戦する生徒も集まってくる。
花火は暗くならないと打ち上げないので今のうちに打ち上げの順番をくじで決めていく。
くじの結果、俺たちクラン『MIツクール』の打ち上げの順番は何と最後である。
え、あまりにもご都合主義だって?
良いじゃないですか、真打は最後に登場するものですよ。