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002 訓練

15年6月27日

誤記修正・・・一杯しました

 


 あれから1年、俺の置かれた状況も把握できたし、今はその状況に溶け込むために色々と勉強をしている。


 ここは日本ではない。日本どころか地球上でさえない。

 あの日コンビニで俺は強盗たちに殺されたようで、今は異世界と思われるヘカートという世界の神聖バンダム王国という国に居る。

 転生なのか転移なのか俺を取り巻く状況は微妙だが、恐らく転生の部類に入ると思う。


 今の俺はクリストフ・フォン・ブリュトゼルスという日本人としては有り得ない名前だし、見た目は金髪碧眼の12歳の子供だ。


 11歳だったクリストフは生まれながら病弱で明日をも知れない状況だったのだが、俺がクリストフの体を奪ったのか、はたまたクリストフとして転生したが死の床にあって前世の記憶が蘇ったのかは解らない。


 11歳までの記憶があれば良かったのだが、残念ながらクリストフの11歳までの記憶が今の俺には無いので、言語も解らない状態だったが、持ち前の言語理解力を発揮して1年で日常に支障が無い程度には言語を覚えることができた。


 これだけでも大きな驚きだが、このヘカートという世界には魔法が存在するのだ。

 クリストフは病弱だったが魔法の才能には恵まれていたそうで、今のクリストフ()にも多くの魔力があるそうだ。


 しかし、魔力があっても俺には魔法の知識が無い。

 言語を覚えるために絵本から始まり歴史書だったり魔導書だったりを読みふけっているのだ。


 最初は母上、あ、母上と言うのはあの日俺に抱きついてきたドレスの美人さんのことだが、母から魔法を覚えるのは止められていたものの、あの日から1年が経ち俺の体調が良いことで魔法を覚えることを許してもらった。


「体外の魔素を取り込むと体内の魔力の消費を抑えることができます。先ずは魔素を感じる練習をしましょう」


 母上に許してもらったので家庭教師として魔法の先生が俺に付けられた。

 彼女は16歳で宮廷魔術師となり20歳の時にお爺様に請われ我がブリュトゼルス辺境伯家の家臣となり今では魔術師団長を務めることになったのだが、魔術師団長の職務の傍ら週に数回俺に魔法を教えてくれることになっている。


 16歳で宮廷魔術師になるなど神聖バンダム王国の長い歴史の中でもはじめてのことだったらしく、非常に有能な人材だと父上が言っていた。


 俺の父上は言うまでもなく、このブリュトゼルス辺境領を治める領主で神聖バンダム王国の辺境伯という爵位を持っている。

 このブリュトゼルス辺境伯家は裕福な貴族らしく俺が成人したら子爵に叙爵され小さな町を治めることになるそうだ。

 それまでに体を鍛え、魔法を覚え、そして町を治めるための勉強をしなければならない。


 この神聖バンダム王国では15歳で成人となるらしく、後3年で俺も15歳なのでとにかく詰め込んでいるという感じとなっている。


 話は戻るが、今は魔法の訓練中である。

 まったくもって魔素を感じられる気がしない。


「ロザリア団長、魔素を感じるのは難しいのですね」

「クリストフ様の魔力は多いので、そのうち魔素を感じることができるはずです。私も魔法の訓練を始めて2週間は魔素を感じることができなかったので、大丈夫ですよ」


 優しく諭すように教えてくれる。


「とにかく、いつでも魔素を感じようと心がけてください」

「はい、解りました」


 簡単に魔法が使えるなんてことはないようだ。


 今の魔法の訓練は魔素を感じる訓練なので1時間ほど瞑想してみる。

 ・・・さっぱりだ。


 魔法の訓練が終わったら剣術の訓練で、先生は騎士団のフェデラー副団長だ。


「剣術の基本は素振りです。連続で100回の素振りができるようになるまでは乱取りはしません。では始めてください」


 俺は剣術が苦手だ。

 前世もそうだが、クリストフ(現在)でも体を動かすのは苦手なのだ。


 大人と同じ大きさの木剣だが、30回も振ると腕がパンパンで息もあがってしまう。


「腰が入っていませんよ」


「もっと振りかぶってください」


「もう限界ですか?」


 五月蝿いっつ~のっ!

 体を動かすのは苦手なんだよ!


 こんな感じで午前中は終わる。

 昼食を摂ると午後は貴族としてのマナーや社交界のお勉強だ。

 現代日本に生まれ、33歳まで庶民として生きてきた俺には苦痛の時間だ。

 剣術とマナーのお勉強とどちらが苦痛かと言うと迷うことなくマナーと言うだろう。


 マナーの先生は侍女長のハンナだ。

 ハンナは我がブリュトゼルス家の陰の実力者で、父上もハンナには頭が上がらないようだ。

 てか、父上のオシメを換えていたのがハンナだという。


「背筋を伸ばして、目線は真っ直ぐ前に、下を見ないでください」


 ハンナは誰よりもスパルタで休憩も無しに3時間以上歩き方やダンスの練習などをさせられる。ゲンナリする。


「そこでターン。もっとスムーズにターンです」


 こんなのが3時間も続くと思うと気が遠くなる。


 ・・・やっと終わった。


 ここからは俺の自由時間だ。待ちに待った自由時間。

 魔導書を読み漁ったので魔法の知識はそこそこあるのだが、魔素を感じることができなければ始まらないので、自由時間は魔素を感じることに使うことにした。


 とにかく、瞑想?を行う。

 剣術の訓練やマナーのお勉強で俺のHPはかなり削られているはずなので、体を休めつつ魔素を感じる訓練を行う。



 

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