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018 嬉しい悲鳴

15年6月21日

誤記訂正

発現の許しを求めてきた → 発言の許しを求めてきた


15年6月27日

誤記訂正多数。

 


 開店翌日も店は盛況だった。

 ウォータリングの冷たい水がかなり好評だったようだ。

 普通に女性だけではなく、冒険者のようなゴッツイ男も多く買いに来ている。


 次いで好評なのは上白糖だった。

 庶民には手が出しにくい甘い砂糖がこれまでの半額で手に入るのだから試しに買っていこうという人が多いようだ。


 3日目も4日目も多くの人が来てくれた・・・想定外だ。


 てか、リング4種類について貴族や王国騎士団から問い合わせが多くあり、対応するのが面倒ではあった。

 でも、その甲斐があり幾つかの貴族から注文があった。

 俺も王立魔法学校に入学が決まっていることもあり、多くの生産はできなくなるので今のうちに作り溜めをしておこうと思う。


 クッションの売れ行きも相変わらずのようで増産依頼が来ているが無理!


 今のまま王立魔法学校に入学したら間違いなく生産が追いつかない。

 嬉しい悲鳴だが深刻な事態でもある。


 砂糖については改善策を講じているので近々改善する予定だが、ポーションやリングは魔術師でなくては対応できないしな・・・


 そうか! 奴隷を買えば良いのか!

 適性のある奴隷を2人か3人購入し生産させれば・・・よし、今直ぐ買いに行こう!

 時間は有限なのだ!


 ついでに店の売り子も購入しよう。


「ゲール、奴隷を買いに行くから奴隷商店まで案内をしてほしい」


 いきなり奴隷を買いに行くと言われたゲールはさすがにビックリしていたが、店の盛況さに人手が足りないのをじかに見ているのですぐに納得したようだ。


 店の裏に停めていた馬車で奴隷商店に向かう。


「いらっしゃいませ。スリマス奴隷商店にようこそ」


 痩せ気味のヒョロっとした中年男性が俺を迎えてくれた。


「魔術ができる奴隷数人と、若い女の奴隷を数人と、武器の扱いに長けた奴隷が数人、欲しいのですが」


 俺の要望に奴隷商人も護衛たちも驚いている。

 それもそうだろう、こんな子供が何人もの奴隷を購入すると言っているのだし、護衛たちも店の売り子を1人か2人購入する程度に考えていたのだろう。


「失礼ですが、身分証をお見せいただけますか?」


 身分証というのは大神殿で作ったステータスプレートで問題ない。

 隠せる内容は隠してあるので身分証として名前や身分などはこれで証明ができる。

 身元の確認と犯罪歴の確認をするための確認だと奴隷商人が説明してきた。

 犯罪者には奴隷を売れないってことだ。


「クリストフ・フォン・ブリュトゼルス様、ブリュトゼルス辺境伯家の・・・ありがとうございました。早速、奴隷を用意しますのでこちらの控え室でお待ちください」


 しばらくして用意ができたと別室に呼び出された俺たちの前に11人の奴隷たちが並んでいた。


「魔術師と若い女性に武器の扱いに長けている奴隷です」


 どれどれ。

 ほうほう。

 ふ~ん。


 しばらく黙って奴隷たちのステータスを見ていたので奴隷商が冷や汗をかいているのか、ハンカチで汗を拭いていた。


「奴隷と話しても?」


「触らなければ問題ありません」


 俺は奴隷商に頷き一人一人話しかける。


「君は何ができ、何故奴隷になったのですか?」


 質問はこれだけで、11人分を愚直に繰り返す。


 金髪のエルフで女性

「私は元冒険者で魔術師をしておりましたが、依頼に失敗し多額の借金を抱えることになり奴隷となりました」


 赤毛のヒューマンで男性

「ワタクシめはマジックアイテムの作成に没頭していたら、無情にも借金まみれとなっておりましたのです」


 茶髪モジャモジャドワーフの男性

「前の奴と同じようなもんじゃ」


 藍色の髪の小人族の女の子

「父さんのこさえた借金で奴隷になりました」


 ここまでが魔術師の適性がある奴隷だ。

 全員購入だな。


 黒髪のヒューマン20代女性

「小さな村で畑を耕していましたが、税が払えずに奴隷となりました」


 赤髪の猫獣人10代後半女性

「猟師をしていたニャ。怪我をして働けなくなったニャ」


 薄い緑色の髪のヒューマン10代後半女性

「王都のカフェでウェイトレスをしていましたが、父が病気で薬を買うために借金をして返せなかったので奴隷になりました」


 桃色の髪の魚人族20代前半(に見える)女性

「海で泳いでいたら嵐に遭遇して怪我をしていたところを治療してもらったの。でも治療費を払えって言われたの」


 ここまでが若い女性か・・・

 言葉遣いが微妙な者が混ざっているな・・・


 ゴッツイオッサン

「冒険者だったが、怪我をした」


 ゴッツイオッサン

「冒険者だったが依頼に失敗し借金ができた」


 ゴッツイネェサン

「前の奴と一緒だよ」


 ここまでが武器の扱いに長けた者だ・・・

 みんなゴッツイんだけど?


 ちょっと気になったことを奴隷商に聞いてみた。


「冒険者で依頼に失敗した3人は同じパーティーだったのですか?」


「はい、3人は同じパーティーのメンバーでした」


「君たち3人を仮に購入した場合、君たちは再び仲間としてやっていけるのか?」


「問題ないよ。アタイたちに確執はないよ」


 代表してゴツイネェサンが答えてくれたし、他の2人も頷く。


「店主、この奴隷たちは全員で幾らですか?」


「はい?」


「全員で幾らと聞いています」


 奴隷商も全員を購入するとは思っていなかったのか、俺の問いかけに「何を言っている」状態だ。


「・・・しょ、少々お待ちを・・・」


 やっと計算をしだした。


「ぜ、全員で720万Sになりますが、大量にご購入いただきますので700万Sで、はい」


 ブリュトゼルス辺境伯家に売った金とこの数日の店の売り上げを足せば余裕で払えるので即決だ。


「あ、ありがとうございます!」


 その後は全員と契約をして店に帰ったが、さすがに全員分の寝る場所が無いので近くの宿屋の手配もして仕事の説明をしていく。


「まず魔術師たちにはマジックアイテムを作ってもらう。作り方は私が教えるので、しっかりと覚えてほしい」


 特に小人族のセルカは俺が諦めていたポーション作りに必要な水属性と光属性の適性があったので嬉しい誤算だ。


「戦闘職の3人はこの店の護衛兼手伝いだね。残った女性陣は店員と在庫管理をしてもらうから」


 ポカーンと俺の話を聞いている者たちの中から怪我をしていたゴッツイオッサンが発言の許しを求めてきた。


「俺は怪我をしているので戦闘職としてはあまり役に立たないと思うが?」


「それなら問題ないです。怪我をしている者は私が怪我を治します。まずアナタからだ」


 そう言って俺は光属性の英雄級魔法のレストレーションを発動させる。

 オッサンの傷が見る見るうちに再生されていく。


「な、なんだ?!」


「それはレストレーション!?」


 俺の魔法を見ていた魔術師の小人族のセルカが大声を上げる。


「今見たことは口外しないように」


 奴隷たちでこの魔法に気付いた者は驚愕の顔をし、そうでない者は大した反応を見せないでいる。


 

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