6話「この世界に呼ばれた理由」
「さぁって……まずはどうしようかしら。庭はあるみたいだし……空から出ることもできるけれど……」
「せっかくだしお城回ってみてはどうですかー?聖女様みたいですし、変な行動しなければ怒られることないと思いますけどー」
「あらシルフィ、久々ね。そうねぇ、シルフィの言う通りね。もし何か言われたとしてもあの王様……確かリアル・グラウンドとか言ったかしら?」
「ドルトル・ガーランドさんですよぉ〜」
「んー惜しかったわね…で、多分約束したしその人がなんとかしてくれるわよ。あと私は聖女じゃなくて魔女ね」
「元女神様の娘なんですから聖女様も間違ってないじゃないですか」
「私に聖女なんて名前は似合わないわよ、お姉様なら別だけれど」
私が初めて生み出した、風の精霊シルフィとそんな話をしながら廊下を飛んで進む。
「というかエアル様〜……あ、春様って呼んだほうがいいですか?」
「どっちでもいいわよ、呼びやすい方で」
「なら春様の方が文字数少なくていいやすいので春様って呼びますね〜」
「わかったわ。で、どうしたの?」
「あーえっと、後ろから頑張ってついてきてる人がいるの、気づいてるかなーって思いまして」
「……あら?」
シルフィに言われ、周りの気配を読み取ってみると私たちを追いかける人の気配を感じる。
「ま、待ってくれ!」
「あなた……確か」
「はぁ、はぁ……あ、アルフォート、アルフォート……ガーランド……だ……この……国の……王太子……第一王子……だ……!」
「……えっと、なんかごめんなさいね」
よほど全速力で走ってきたらしい王子…アルフォートは息切れ切れに自己紹介をした。
「……ふぅ……すまない」
「別に構わないわよ。それで?わざわざ私たちを追ってきたのはなぜ?」
「説明をしていなかっただろう?この世界のことについてな」
「あぁ……もしかしてこの世界が自然災害に多く見舞われていること?」
薄々感じていたことをアルフォートに告げると、驚いたように目を見開き、……そうだ、と一言つぶやいた。
「だが、なぜわかった?」
「あら、私は元とはいえ風の女神の娘であることをお忘れ?その上私は精霊使いなのよ、自然のこと……というより様子には敏感なの。ちなみに原因はないわよ、ただ本当に自然災害が重なっているだけ。精霊たちが騒いでいる様子もないし」
「そうですねぇ」
私の言葉に続き、シルフィも声を出す。
「ただちょーっとこの国の精霊さんたちはお茶目というか元気一杯って感じだけ見たいですねー。多分今まで自然災害があまりなかったように感じたのは、今まで精霊たちをまとめていた春様みたいな人がいたんでしょう」
「そ、そうなのか?」
「あくまで憶測だけれどね」
魔力を体内に宿していればその量や質によっては聖霊を見ることも話すこともできる。
私のように魔力を自然の魂に注ぎ込み、精霊を生み出すということができなくとも、精霊に愛され彼らの力を借りて魔法を使うような人間も一定数いる。
(まぁ私の世界……第一の世界にいた人間は、とてもじゃないけど精霊に愛されるような奴らではなかったからあくまで知識として知っているだけだけれど)
それでもお母様が女神として存在していた頃は、そういう人間もいたそうだ。
(何があって、変わってしまったのでしょうね……私からすれば、そっちの人間の方があまり想像つかないけれど)
きっと、お母様はそういう人間も多く見てきたから、人間を見捨てることも傷つけることもできなかったのだろう。
「……そうか。……その、どうにかできそうか……?」
「舐めないでほしいわね。私は精霊使いよ?それくらいお手のものよ」
もちろん災害を抑えることも……ね?というと彼は安心したように一息ついた。
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