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3話「もう戻らない幸せな日常」

「お母様ー」

「エアル?どうしたの?」

「新しい魔法を教えて欲しいんですけど……」

「あらあら、昨日教えたのはもうマスターしちゃったの?」

「マスターはしてませんけど……」


 魔女狩りが勢いを増していたあの頃、私は家族を守りたいがために力を欲した。

魔導書なんてものはほとんどが魔女狩りで燃えてしまっているし、手に入れる方法もないため、魔法を覚えるにはお母様に聞くしか方法がなかった。


「本当、エアルは魔法が好きね」

「お姉様」

「ふふっ、いいじゃない。フティもエアルくらいの頃はいつも教えて教えてときていたでしょう?」

「100年くらい前の話じゃないですか……!もう……お母様、エアルには私が教えておくのでヒメのもとに行ってあげてください、みんな構ってくれなくて拗ねてるみたいなので」

「それは大変ねぇ、いってくるわ」

「はぁい。お姉様お姉様、何教えてくれるんですか?」

「はいはい、ちょっとまってね」


 お母様が忙しい時には、お姉様に教えてもらうこともあった。

私にとってお姉さまは一番近い家族で、一番近い光だった。


「姉上、エアル」

「お兄様?どうしました?」

「父上が少し手伝って欲しいことがあると」

「そうなの?わかったわ、ありがとうクリオ。いきましょうか、エアル」

「あ、はい!」


 魔法が苦手なお兄様はよくお父様の手伝いをしていて、食事の時だったり誰かが呼んでいる時に私を呼びにきてくれるのは大抵お兄様だった。

お母様やお姉様が忙しい時は、お兄様が私に組み手を教えてくれた。

お父様に似て無表情で静かだけれど、それでもいつも優しかった。


「ねえさーん!今暇ぁー?」

「ヒメリノ、どうしたの?」

「私にも魔法教えてー!母様たちに聞きに行ったらエアル姉さんが多分空いてるからってフティ姉さんが!」

「えぇいいわよ。ほら、外にいきましょ。ヒメリノの属性は雷…だったっけ?」

「うん!あと炎!」

「私もあんまり詳しくないけど大丈夫?」

「全然大丈夫!今日は風の魔法教えてもらいにきたから!」

「あぁなるほど、それなら早速やりましょうか」


 風と水が属性の私とお姉様。

時々その属性を習いにヒメリノ……妹が声をかけてきたりする。

私たちはそうやって、支え合いながら、学び合いながら生きてきた。


 でもそれは、長くは続かなかった。


「……アエラ、」

「シフロさん?どうしました?」





























「……人間だ」


 お父様のその一言で、暖かかった家は一気に空気が冷え切り、緊張した雰囲気が訪れた。






ここまで読んでくださってありがとうございます!

学校が始まってしまったので更新頻度は落ちてしまうかもしれませんが、よければ次回も読んでいただけると嬉しいです!

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