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11話「踏み入れたるは煌びやかな広間」

「才能がなかったんですよ、私には」

「……」

「あ、春様髪飾りつけるのでちょっと動かないでくださいねー」


(……才能がない?王家の人たちよりも質のいい魔力を持っているのに?……それにしても精霊が見え聞こえるというには魔力の量が異常に少ない……本当に才能がないだけ……?)


『春様春様』

『……やっぱりおかしいわよね』

『はい、何かがおかしいです』

『……でも、何が原因かはわからないわ。少し様子をみましょうか、まだここの魔力がどんなものなのかあまりよく知らないし。もしかしたらよくあることなのかもしれないわ』

『そうですねーもしかしたら魔力欠乏の類かもしれないですしー』


相変わらずリーに着飾らせられている間にシルフィとテレパシーのようなもので会話をする。


「よし、終わりましたよ!それじゃあ春様、そろそろ時間ですので行きましょう!」

「ありがとうリー」

「いえいえ!それじゃあ頑張ってください!私は会場の給仕の手伝いに行ってくるので!」


リーがそう言いながらガッツポーズを作って見せたところでコンコンと扉が叩かれる。


「あ、アル様がきたみたいですね」

「みたいね、入っていいわよ」


私がひゅっと糸を引くようなそぶりをすると扉が開き、護衛を数人引きつれたアルの姿が現れる。


「え!?春様今どうやったんですか!?魔法ですか!?」

「すごいな、扉も開けれるのか……?」

「これに関してはただの能力よ。風を操る力の一種。それよりも時間だから迎えにきたんでしょう?早く行くわよ」


早く披露会を終わらせてこの動きにくいドレスから着替えたかった私はさっさと部屋を出る準備をする。


「あ、あぁ……っと春、少し待ってくれ」

「何?」


さっさと出ようとする私を引き留め、アルは一人の騎士?を呼ぶ。


「春付きの護衛だ。いらないとは思うが一応証人も兼ねているから受け入れてくれ」

「証人……あぁ、王との約束関係かしら」

「あぁ。何かあった時にそれを証明する人間がいるからな」

「ギルベルト・トルリアです。これからよろしくお願いいたします魔女様」


丁寧にお辞儀をした護衛。

その様子と名前が誰かに似ている気がして首を傾げる。

するとそんな私に気づいたアルが言葉を付け足す。


「ギルベルトはリーファの兄だ。家名が同じだろう?」

「あー……」

「……どうした?」

「アル様アル様、春様は名前覚えるの苦手なんですよ。多分家名までは覚えてないです」

「そうなのか!?」


家名が同じ、と言われてもピンと来ていない私をみてリーがこそっとアルに耳打ちする。


「しょうがないじゃない、今まで人の名前なんて家族くらいしか聞いたことなかったんだもの」


二つ目の世界で触れてきた名前とこの世界の名前はかけ離れているし、というと何故か3人とも微笑ましそうな顔をした。


「……何よ」

「いや、春にも苦手なことがあったんだなと思ってな」

「失礼ね、別に魔女は万能なわけじゃないのよ」

「まぁまぁ!それじゃ春様、お兄様のことはギルと覚えたらいいですよ。仲のいいものはそう呼んでますから。ねギルお兄様」

「あぁ、そうだな。魔女様なら構いません、気軽にお呼び下さい」

「わかったけれどとりあえずあなたものその呼び方やめなさい」


護衛……ギルの名前問題はとりあえず解決したけれど私自身の呼び名が気持ち悪い。


「自分で魔女と呼べとは言ったけれど身近な人にそう呼ばれるのは気持ち悪いわ。普通に春かエアルと呼んでちょうだい」

「承知しました。では妹と同じく春様とお呼びさせていただきます」

「ん、わかったわ」


そこまで話したところで、ずっと後ろで様子をみていた騎士(おそらくアルの護衛)がアルに申し訳なさそうに一声かける。


「アルフォート様、そろそろお時間が」

「あぁそうだな」

「はぁ、面倒だわ」

「それは……すまない」

「別にいいわよ」

「それじゃあ行こうか。姫、お手を」


わざとらしく王子らしい雰囲気で手を差し出してくるアル。


「姫ではないけれど、お願いするわ」

「そこはのってくれ」


アルは苦笑しながら私のエスコートを始めた。























「……帰りたい」


主役だというのに私は今すぐにでも会場を去りたい衝動に駆られる。


「……はぁ、アルも挨拶に回っていってしまったし……」


(さすがお貴族様ね。魔女が怖くて近づけないとでもいうのかしら)


私は無事ダンスを終えることができたが、踊ったのはアルトの一回だけ。

興味本位に声をかけてくるものがいるかと思ったが、意外に皆遠巻きにみていた。


『春様、目、目』


二つ目の世界と同じように端の方で辺りを観察しているとシルフィの声が頭に響いた。


『目?』

『怖くなってますよー、そのせいで人が来ないんですって』

『……面倒くさくなくていいわね』

『はいはい直して下さいねー』


シルフィに嗜められた私は渋々自然によってしまっていた額の皺をなおす。

するとちょうどそのタイミングでアルが私の元に戻ってきた。


「大丈夫か?春」

「正直いうと今すぐこの場を去りたいけれどね」

「主役なんだ、流石にそれはやめてくれ」


肩をすくめていうとアルからは苦笑が返ってきた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

よければ次回も読んでいただけると嬉しいです!

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