10/19
エピローグ 出立
「――……本当に大丈夫?」
「平気、です! このリュックサック、意外と軽いですし……それに、置いて行くわけにはいきませんから……ね、『アダムス』」
「……アダムス?」
「鍋の名前です! シャルも鎌に名前つけてるでしょ? 『ベル』って」
「あぁ、聞こえてたのか……」
「星の代わりに、天望人という名前が残ったみたいに……こうしておけば、忘れないで済みますから……きっと、ずっと」
「そうか……うん、そうだな」
彼が遺した松葉色の装束に身を包み、少年は鍋を被せたリュックサックを背負う。
その傍らには、彼よりほんの少しだけ背の高い、黒衣を纏う死神の少女。
歩きながら、二人はお互いに顔を見合わせて……小さく笑った。




