第一話 きっかけ
初めて掲載する話なのでどうぞよろしくお願いいたします!
ー僕は子供のころ何になりたくて生きていたんだろう。ー
ある日、満員電車に揺られながら僕は思った。
僕は山下真司28歳、独身。その辺の会社員だ。
元々近郊の地域に子供のころからいたが、大学進学を機に大都会東京に来た。
上京した当時は夢の東京生活だと思ったが特にそんなことはなく、大学を卒業してからはとある商品会社に就職した。
その中でも営業に配属された。 特に営業成績が取れないことでもなく、安定した生活を送っていた。
ある時、営業の先輩が大きな商談でやらかして、商談会社や上司からこっぴどく叱られた。
この時僕もその商談にいたので僕も一緒に叱られた。この時に上司に言われたことが、僕の心の中の何かを動かした。その時に言われたのが、「君この仕事に対してやる気ないでしょ。」
本来先輩に向けて発した言葉だったが、自分の奥底の気持ちがその言葉に反応した。
帰り、退勤ラッシュの電車に乗りながら僕は思った。「僕は子供のころ何になりたくて生きていたんだろう」
そう思い始めてからしばらく仕事があまりこなせなくなった。
そしてどんどん下がっていく営業成績。叱責される毎日。今までにない嫌悪感とあのときに思ったことが心と頭から離れない。疲弊しきってベッドに飛び込んだ時にあるものが目に入った。それは1本の少し年季の入ったエレキギターだ。「このエレキは実家から持ってきたものだっけ。」そう思った。だが見てみると、そこには高校の友達からのメッセージがあった。「お前東京行っても頑張れよ!」と書いてあり、高校時代の記憶が鮮明に蘇ってきた。
僕は高校の時バンドを組んでいた。バンドと言っても部活的なものではなく、友達と文化祭でやるようなグループだった。しかし僕は楽器というものを弾いたことがなかった。そしてこの時僕は初めてギターというものを触った。
初めて引いたときの快感はとても最高だった。最高というのは言葉に表せないような感覚だった。
そこからはコード進行や指使いを覚える日々だった。僕にとってはこの日々はとても青春していて輝いていたと思う。
そして迎えた文化祭の日、僕達は最高のパフォーマンスした。この時僕は「バンドマンになりたい!」と思うようになった。それは僕が成長してまともに「夢」と言う物が生まれた瞬間でもあった。そして、高校三年生の時に両親に「バンドをやりたい!」と言った。しかし現実は厳しく両親に散々言われて、やがて「夢」は砕かれた。
そんなことを思い出していたら気づいたらギターを持ちながら座りながら寝ていた。
その日から僕の心の中に光が射してきた気がした。また、自分の中にいつしか砕け散った「夢」がまた出てきた。
その次の日、僕は今まで使ったことのない有給を取って、実家に帰ることにした。
実家までは、東京駅から特急に乗って2時間ほど。僕は海景色を見ながら東京駅で買ったシウマイ弁当を食べることにした。そうこうしているうちに、実家のある駅に到着した。実家に帰るのは5年ぶりだろうか。
高校の時の友達も会えるようなので、まず友達に会いに行った。
僕「久しぶりぃ!」
友達「おぉ!久しぶり!」
友達「会うの高校卒業以来じゃない?」
僕「もうそんな経つ!?」
友達「東京での生活はどう?彼女できたか?」
僕「まぁまぁかな、彼女はいまだ無し!お前はどうなんだよ」
友達「俺は高校の時の一緒のクラスだった人と結婚したぞ!」
僕「なんで呼んでくれなかっただよぉ!」
友達「ハワイで式挙げたんよ!」
僕「ハワイで!?」
そんなような他愛のない会話をしていた。
ここで僕は本題を話すことにした。
僕「あのさ…またバンドやらない?」
友達「あの時のか?いやぁー、俺は今嫁さんが産気づいてるし子育てもあるから厳しいかな」
そう断られてしまった。
僕「なるほど…まぁお子さん生まれたら連絡しろよな!」
友達「あぁ!」
そういって僕は実家への帰路についた。
「ただいまぁー」「元気にしてた?」
「お帰りー」「元気にしてたよ
そんな会話を交わした後、夕飯だ。
夕飯はお袋の味のカレーだった。いろいろな思い出が詰まったとても懐かしい味だった。
自分が家を出る前に、小学生の時の物などを押し入れに入れたのをふと思い出したので出すことにした。「なんだこれ?」そこから出てきたのがすごく劣化したお道具箱だった。開けてみると1冊のノートが出てきた。すごく元気な字で「2ねん1くみやましたしんじ」と書いてある。開いてみると1ページ目に電車の絵が描いてあった。当時の僕は電車が好きだったのだろう。しかしその絵には電車の横に「ゆめ」という駅が描いてあった。
これを見たとき、僕は「たとえメンバーが違くても夢に向かって走ろう。」と思えるようになってた。
翌日、僕は両親にまた、バンドをやりたいと伝えた。高校生の時みたいに。
父は、「高校の時は進路とかで却下しちゃったけど、仕事続けながらでもいいんじゃない?」
僕は驚いた。幼少期からあんなに厳しかった父だが初めて、自分の背中を押してくれた。
母は「私は全然いいと思うわ。でも、お金とかは自分の収入からだけにしなさいよ。」
僕は「分かった。また夢を追いかけることにするわ」
そういって僕は実家を出た。
んー眠い