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メタイ神様降臨?

お久しぶりです。

こんかいは少し長めのお話です。


佐々木 美利杏は死んでミリアーナ・ディアローズへと転生した。

それは理解できたけど…これからどうすればいい?

こういうときって、神様みたいなのが出てきて状況説明してくれるんじゃないの?


「ほぉ~、それいいなぁー!」

どこからか声がしたと思ったら、視界がぐにゃりと歪んだ。

一瞬のことだった。

今までいた黒い部屋から白い空間へと変わっていた。さっきまでとは違う何もない白。

天井も壁も見当たらない。白い空間。

そこに青年が立っていた。

長髪は白と翠のグラデーション。瞳は金色と赫色のオッドアイ。

優しそうな表情のイケメンなんだけど…格好がなんか残念。

白い片方だけの肩紐ワンピースみたいな服装もまぁ、似合ってるからいいよ?

その肩からさげてる物さえなければ…

「我、神なり!!」そう書かれたたすきをつけてるの。堂々と!!

ヤバい人だ…


「やっほ〜はじめまして。佐々木美利杏ちゃん。…て、そんなドン引かないで!!」


いや、チャラい。?私の名前何で知ってるの?!え、ストーカー…?確実に変人!

逃げようと一歩ずつ慎重に距離を取る。


「違う!違う!そんな目で見ないでー!…最近の若者は怖いのぅ。これは、つけてたらわかりやすいかなぁ?と思ってつけてただけ!毎日はつけてないの!」


あれ?何でことばにしてないのにわかるの?

たすきはそこまで、今重要じゃないし…

本当に神様なの?これが?


「酷い…そう、この世界を取りまとめてる神様なのだ!だから、そなたの心の声も聞こえるの。」


金色のカードを私に差し出してきた。

そこには、神様検定、1級異界神と書いてある。

こんなのあるの…これ本物かどうか私にはわかんないし。

「そなたが状況説明しろって思ってたから出てきたわけ!いや〜便利じゃろ!」


うん、メタい。自称神様チャラい。

胡散臭いけど、今はこの人に話聞くしか方法もないしな…

「ちょくちょく思うけど、心の中の性格きつくない?口も悪いし…」


この自称神は何言ってんだか。

あんな家に生まれて品性方向なわけないでしょ?!

話すならとっとと話してほしいんですけど…?

「おう、ソーリー。はい!ごめんなさい!我の名はラルザ。この世界の管理を任されてる神!

OK?」


うーん、まぁ、はい。

ラルザはあからさまにほっとした顔をした。

話してるときの動きは大袈裟で見てるの面白いなぁ…

「そして、そなたの魂を転生させたのは我。この世界のミリアーナの魂が死んでしまってな…そこで、波長の合っていたそなたの魂を入れさせてもらったの。」


え?ミリアーナが死んだ?

こんな早く死ぬことは、ゲームではなかったのに。

「そもそも、そちらの世界にあるゲームというのはこの世界では1つの預言の書みたいなものだよ。間違えていけないのは、ここは現実でゲームではないということ。」


厳かに、戒めるように語る。

はじめてこの人は神様なのだと理解した…いや、そう見れただけかな?


「預言通りならばアンが聞くはずだった、両親の計画を聞いてしまい、なぜかは分からないが…預言の書の自分の未来の結末を知ってしまったミリアーナは…自ら短剣を刺して死んでしまったんだ。悪事を阻止するために、悪に身を落とさぬために。」


まだ、9歳の少女ができる決断ではないと思う。

その行いは、私に衝撃を与えた。

ミリアーナ様の気高さを、改めて思い知った。

「だがな、事態は上手くいかない。彼女という存在はこの世界にとって必要だ。強い因縁で結ばれている。…後ろを見てみろ。」


促されるまま後ろを振り向いた。

そこには大きな赤と黒の玉座のようなものがあり、それに座っているのはミリアーナ様だった。今の私とは違う、ゲームで見た16歳頃の姿の…。大きな鎖のように茨が全身を縛っている。

けれど何かがおかしい。

その瞳は暗く淀んでいる。生気を感じさせないその姿に、…ゾッとした。


「本来ならば、死んだら肉体は滅び、魂は黄泉の国へと向かう。ただ、彼女の肉体は滅びず、魂だけは死を受け入れてしまった。このように魂はここで、幽霊みたいになってしまったんだ。肉体もそのままにしておいたら、預言以上の人死が出ることがわかってしまった。

そこで、我はそなたをミリアーナの体へと入れたんだ。新たにミリアーナ・ディアローズとして生きてもらうために。」


私が転生した理由はなんとなくわかった…。

けど、ミリアーナ様の魂はどうなるの?

「彼女は生きる希望を無くし、自分自身を呪ってしまった。今の彼女の魂は悪夢の中にいるのと同じ状態だ。

そなたに頼みがある。彼女の魂を救うために、彼女の魂を縛り続けている鎖を解くのに協力してほしい。」


ラルザが真剣な顔で頭を下げる。

解くってどうやって?


「そなたが自由にこの世界を生きてくれればそれだけでいいよ。あとのことは我がどうにかしよう。それに、それこそがそなたの最期の願いだったろう?」


それだけでいいの?

…正直私にとってはありがたいだけの話だ。

そう、私はこんどこそ自由に生きたい。


「まぁ、この世界でミリアーナとして生きることは難しいことだろう。彼女を縛る因縁の鎖は強固なものだからな…。

我の願いを聞いてくれると言うなら、我もそなたの願いを一つ叶えよう!なにかあるか?…たとえば、前世でやり残したこととかな…」


前世でやり残したことか…たくさんあるけど、一番に思いついたのはこれだった。

両親の罪を暴いてほしい。

ラルザは意外そうな顔で首を傾げた。

よく、考えてみてほしい。

私が死んだのは確実に親のせいだし、私だってこの18年間色々と思うことはある。

何より私を刺した男の人のように、あの人たちのせいで苦しんでいる人がいるならば…裁かれるべきでしょう?

それにそうじゃないと、私が刺され損だもん。

私はミリアーナの、両親の罪を暴き、裁く。ならば、私の両親の罪をラルザには裁いてほしい。


「ふむ、それがそなたの望みなら叶えよう。あと、これまでのミリアーナの記憶も見れるようにした。そうすれば今後の対策も立てられるし、周りに怪しまれることもないだろう。」


良かった。

案外話の分かる良い人で…いや、神様か。


「我は余り人に干渉しすぎてはいけないんだが…。正直今回のこともバレたらやばい。1級から3級に、降格するかも…下手すりゃ剥奪だってありえる…。今後は簡単に手助けすることはできないが、そなたならば大丈夫だろう。思いっきり今世を、楽しんでくれ!!」


ラルズはニカッと笑うと、指パッチンをする。

途端に視界がグニャリと歪み、私は元いた黒い部屋に戻っていた。

いや、急すぎ勝手すぎません?

もっと聞きたいことあったんだけど…!

心のなかで悪態をついても、現れる気配がない。本当に今後は干渉してこないのかな?

わからないことだらけだし、不安はあるけど。まだ見ぬ未来に少しワクワクした。

今世こそ自由に生きる。そのために、私はどうすればいいんだろう…?

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