出会いはゲームから
「佐々木さん!…どうか、このゲームを一緒にやりませんか?!」
高校入学から1ヶ月。
いつものように朝早くから学校に来て、1人読書をしていた。
いつの間にか教室に入ってきた、黒髪ボブの彼女…高田 舞が、私の目の前で顔を真っ赤にしながら叫んでいた。
まだ、朝の7時。教室の中には私と彼女しかいなかった。
私がぽかんとしてしまったからか、彼女はあたふたしつつ話を続けた。
「あわわ、えと、怪しいものではなくて!!高田 舞って言います!…あぁ、急にすみません!でも、その、佐々木さんとずっと話してみたくて…そう、このゲーム今日から配信スタートで!!なので…どうでしゅか?!絶対面白そうなので!…あっ、でも…こう言うのあれかな…てか、私めっちゃ変な人になってる…?」
正直、何を言っていたのかはよく分からなかった。
彼女のマシンガントークを聞くのも、あの時は初めてで、呆気に取られてしまった。
でもそれ以上に、私に話しかけようと必死な姿が嬉しくて、おかしくて…
声を出して笑ったのなんて何年ぶりだろう?
私が笑ってるのを見て、彼女が今度はぽかんとしたと思ったら…釣られて笑っていた。
「ごめんなさい。急に笑っちゃって…えと、高田さん?」
笑いが落ち着いて、私達は話し始めた。
「はい!あっ舞でいいですよ!!」
「じやぁ、私も美利杏って呼んでください。」
「はい!喜んで!!…あ、でもクラスの憧れの方を呼び捨てにしてたら、親衛隊に殺されるかも…まぁいいか!」
舞がなにか呟いてた。
「ゲームでしたっけ?やりたいんですが…でも、私スマホゲー厶とか…そのできなくて。」
親がゲームなどしてる暇があったら勉強しろという人なので、スマホを持っていても連絡用であり、ゲームなど出来なかった。
もちろん、スマホも監視対象。
そのせいで話についていけず、余計に人と関われなかった。
「そうなんですね。でも大丈夫!!このゲーム、アニメみたいなシーンも多くてストーリーが面白いやつなので!!小説好きの美利杏なら気に入ること間違いなし!!だから、私のスマホでゲームを映すから…一緒にやろう!」
当たり前のように、笑顔で手を差し出してくれる彼女が…私には眩しかった。
そこから私達は、ゲームを通じて仲良くなっていく。
そう、そのゲームこそが…
「ランロルクス王国物語〜光の聖女と闇の姫〜」だった。
中世ヨーロッパのような魔法の世界。
昔は魔族と人とが争いあっていたが、和平が結ばれ平和となり、人に獣人、ドワーフ、エルフなどいろんな人種が暮らしている。
その中の国の1つである、「ランロルクス王国」の魔法学校が舞台のゲームだ。
乙女ゲームでありながら、本格的なRPG要素、推理要素があり、キャラ1人1人のストーリーが泣けると人気のゲームだった。
この物語の主人公は平民でありながら、高い魔力を持つということで特待生として入学する「マリィ・ベルローリエ」。
おおまかなストーリーは…マリィが学園生活をおくりつつ、謎のゲートから発生するモンスターを倒し、その謎を解いていくというお話。
攻略キャラは隠しキャラも入れて6人。
好感度によって協力を得られたり、仲間になってくれる。
また、各ルートによって恋愛イベントが発生して…その種類がすごかった。
舞と私も、すべてのイベントが見たくて…朝早くから学校に来ては、ギリギリまで一緒にゲームをしていた。




