これは異世界転生ってやつ?
目覚めて一番に目についたのは、黒。
私は生きてる?
おそるおそる起き上がって、あたりを見渡してみる。
病院…ではないと思う。
そこは、西洋風の豪華な部屋だった。
しかし、全てが黒い。
天井も壁もカーテンも…どれも上等なものと一目見てわかる。だが、全て黒いのだ。
よっぽど、この部屋の主は黒が好きなのだろう。
唯一違うのは、窓際に飾られている薔薇の紅。
私はなんとなく、その紅に魅せられてベッドから降り、近づいた。
ふと、近くに置いてある鏡の中の女の子と瞳が合い立ち止まる。
違う。
自分の手を身体を確認してみる。
周りに目を奪われていて気づかなかった。
小さな手だ。おかしい私は一応18歳で…身体もこんな小さくない。
胸がぺったんこだ…
覚悟を決めて鏡の中を除くと…美少女がいた。
銀髪は肩までのストレート。
紅い瞳の小学生くらいの女の子。
誰?てか、これはどういう状況?
頭の中がパニックになる…私は死んで生まれ変わった?
そういえば…以前に舞と話した内容が頭に浮かんだ。
「ねーねー!美利杏!
最近ね異世界転生ってのが流行ってんだよー!…なんかね、主人公の子は事故やら病気で死んじゃってね…気づいたら異世界に生まれ変わってんだよ!で、なんだかんだあってその世界を満喫する〜みたいな話!!めっちゃ良くない??
あー!!私も異世界転生したい!!推し様を眺めたい!!…」
うん…この状況にピッタリ合う。
舞、なんだかんだあってのところをちゃんと聞けばよかった。
あの後はひたすら舞と何に生まれ変わりたいか論争して聞けてないんだよな…。
もう一度鏡の中の女の子に目を向ける。
でもどこか見たことある気がする?
さっきは気づかなかったが、八重歯がまるで吸血鬼みたい…吸血鬼?
まさか。
バタン!!
大きい音にびくりと振り返ると、扉の前に女の人が立っていた。
「姫様!!目覚めたのですね!あぁ、よかった、よかったぁ〜!!」
そう言って彼女は私を抱きしめて泣き崩れた。
…こんなに誰かに心配してもらうのはいつぶりかな?
この人は誰だろう…茶髪の髪を2本に纏めてメイドの服装。
ふとこちらに彼女が顔を向けた。
この人知ってる、このキャラは…
「…アン?」
私がそう呟くと、彼女は満面の笑みを浮かべた。
「はい!姫様!ほんとーーーに心配したんですからね?お医者様に診て頂いても原因も分からず…3日も姫様は眠ってて…あぁ良かった。」
てことは、私は…
「アン…確認なんだけど私の名前って…」
彼女はきょとんとした顔で答えてくれた。
「姫様?急にどうしたのですか?貴方のお名前は、ミリアーナ・ディアローズ様ですよ?」
あぁ、やっぱり。
てことはこの世界はあのゲームの世界だ。