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レオナードの過去と今


金が貯まって、そろそろ動こうかと考えていたのに。

俺は組織の奴らに裏切られた。

騙され、気づいたら首輪をつけられていた。

ボスが目の前にいて、クソみたいな笑顔で、告げてきた。

手を出してはいけない組織に手を出してしまった。

だが、相手は俺を売ってくれるならば許すと言ってきたそうだ。

ボスは迷うことなく、俺を売ったとさ。

そもそも俺は、組織内でも上位に入る程に力をつけていた。ボスは自身の脅威になると思っていたそうだ。

お前を売ることで大金も入り、あの方々とも人脈が出来る、何より狂暴な犬を押し付けることができる!あぁ、なんて素晴らしい!!

ざけんなよ。俺は元からオヤジや仲間以外信じてない。

ボスについても悲しいなどは感じなかった。

ただただ、ムカついて自分の弱さに腹がたった。

まぁ、自業自得ってもんだよなとも思った。


そうして俺は牢に入れられた。

他のやつに比べれば扱いはいいほうだろう。

俺はインキュバスの種属だが、家族も昔に失くして周りに同じ種族はいない。

普通の人と同じように生きていた。

それなのに、ここではインキュバスであるということが特別に扱われるみたいだ。

俺はどうにかここを出ようとしたが、だめだった。

この首輪のせいだ。全力で魔力を操れば外れるだろうが、その後逃げるまで体力は持たない。

それと、ここのオーナーはどうやら若くて美形のやつが好みらしく、よく俺に躾だといっては首輪を締めたり電流を流したりしてきた。

苦しみ歪む顔がたまらないと、気色悪くのたまう。

ここに来て一週間。オーナーが俺のとこへ来て偉そうに言う。

「よく聞け!お前の買い手がつきそうだ、今から来るから失礼のないようにするんだぞ!!」

そう言い捨てると急いで去っていく。

はぁーあ。ここにずっといるのも最悪だが…どうなることやら。

オーナーみたいな気持ち悪い変態共に買われるのかと思うとやってらんねぇ。

まぁ、でもどうにでもなるだろう。

今日まで死んだように生きてきた。これからだって同じだ。

死にたくても自ら死なない。

これだけが…呪いで誓いだ。俺を生かしている。


15分くらい経っただろうか?

オーナーが人を連れて現れた。

目の前に立たれた瞬間、ゾワッ…背筋が凍る。冷や汗が溢れた。

なんてやつを連れてきやがった!このオーナ!

二人の男女は魔力を抑えている。

それでも感じ取れる恐ろしく冷たい気配が、溢れている魔力が…ただものでないと悟らせる。

このオーナーはこれを感じれていない…知らないほうがいいこともあるか。

ふと目線を下げると、後ろから一人の少女が姿を現した。

さっきとは違う衝撃だった。

年は俺より下か?二人と同じように黒いドレスを纏っているが、冷たさも恐ろしさもない。

この二人の娘だと言うが、おかしいだろ?どうしてこの二人から、こんな少女になるのかわからない。

奴らは血の香りがする。少女からは一切しない。純粋そうで、目が少し潤んでいる。甘い花の香がした。

愛らしい、可愛らしいという言葉が合うんだろうなと思ったが同時に、こんなとこに来てんだそんなわけ無いだろと思った。

希望や期待なんてするだけ無駄だ。


オーナーが俺を紹介したりする会話をなんとなく聞いていた。

へぇー、インキュバスってそんなんなんだ…

少女を観察する。

大人しく話を聞いている。どうやらこの少女に俺を買わせたいみたいだ。

うーん、この少女相手ならば逃げれるだろうか?こっちの二人や変態に買われるよりはいいかなー。

ふと目が合った。彼女は無邪気に笑い俺を買うと宣言した。

その言葉や表情には毒を含んでいる気がした。

やっぱり一筋縄ではいかないか…

正直このまま奴隷契約されるのは困る。

この首輪はなんとかなっても契約は破棄できるか分からねぇ。

いっそ、今からこのまま逃げるか?

そう思っていると、突然首輪が締まった。

オーナーのやつがニタニタとこっちを見てくる。

少女の方を見ると、顔は青ざめ恐怖に染まってた。

は?天下の吸血鬼の一族の姫なんだろ?

なんでそんな表情をする?

だが、一瞬で空気が変わった。オーナーに向かって魔力を当てながら冷たく見下ろし、語りかけている。

彼女の魔力は両親のそれと同じかそれ以上の力を秘めている。ありえねぇ。

今はまだ操作が慣れてないみたいだが、これが化けたら…俺は勝てるのか?

気高くうつくしい魔力に毒や棘を含ませた言葉でオーナーを追い詰めていく。

このオーナーさっきまではニヤニヤと少女を見ていた。多分好みだったんだろう。

それが今では這いつくばって泣いてるのを見ると馬鹿だなぁと思う。

そんなこんなで彼女はオーナーを追い出し、俺には監視カメラを妨害するよう命じた。

なんだ?…こいつは何を考えている?

わけが分からず戸惑う俺に少女はほほえみながら話しかけてきた。

「それじゃあ、二人だけで話し合いをはしめましょうか?」

その姿を見てると、真っ赤な薔薇が頭をよぎった気がした…。

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